■Nyctalis lycoperdoides (ヤグラタケ)

■ 2006年07月25日 撮影

自分の中ではトップクラスに愛着の有るキノコだったりする和名「櫓茸」。
ベニタケ科キノコの老菌の上に生えると言う奇妙な性質のキノコです。
その姿がまるで櫓の上に立っているように見えるために付いた名前です。
写真のヤグタタケの下の黒い部分は朽ち果てたクロハツの老菌です。
他菌上に発生するハラタケ型菌は本種やタマノリイグチなど極小数です。

自然界ではベニタケ科、特にクロハツやクロハツモドキの上に発生します。
老成し黒変し始めた部分に白い菌糸が広がり、そこからキノコが出ます。
どの段階で寄生しているかは謎で、宿主が成長する段階からとの説も。

ちなみにヤグラタケ自体は不快臭が有り食不適。確かに美味しそうではない。

■ 2006年07月25日 撮影

何度か見た事有るんですが、こんな群生は初見です。つか生えすぎオマエ。


■ 2006年07月25日 撮影

拡大するとこんな感じ。全体的に肉厚で粉っぽいような雰囲気が有ります。
てか古くなると傘のてっぺんからきな粉っぽい厚膜胞子に変化します。
上の写真でも傘の中央から黄土色の胞子に変化している個体が見えます。

この厚膜胞子に変化する無性世代では学名が「Asterophora」になります。
今回学名として使用しているNyctalisはひだに胞子を作る有性世代の名前。
これが本来なのですが自然界ではほぼ確実に厚膜胞子が作られます。
なので図鑑等でも主に本種の属名にはAsterophoraが使われています。

■ 2007年07月08日 撮影

今回のヤグラ役を務めるのはクロハツではなくクロハツモドキの方でした。
傘表面に白色菌糸が広がり、そこから子実体が出る様子が分かります。
真っ黒な老菌の上に生えるので、白が際立つんでしょうね。だから夜か。
実験的には他科キノコにも生えるのに、自然界ではベニタケ科限定です。
言い換えればベニタケ科のストーカーです。一途なキノコですねぇ。

■ 2007年07月22日 撮影

ヤグラも宿主も朽ちちゃってました。完全に厚膜胞子に置き換わってます。

■ 2007年07月22日 撮影

近くに綺麗な子実体も残ってました。すでに傘の表面がボサり気味ですね。
学名が「夜」や「星」に由来するのは黒背景に白いキノコだからです。

■ 2009年07月11日 撮影

久々に良い感じの個体に出会えました。傷みやすいキノコなので嬉しいです!
これは老成したクロハツモドキかな?本当に何でこんな生え方するんだろう?
分かりますか?いままで撮影した写真、偶然とは言え全て7月撮影です。
と言うかクロハツやモドキのピークを過ぎた頃ってだけなんですけどね。


■ 2009年07月11日 撮影

粉臭い!!!これはクロハツモドキの臭いなのか、それとも本種の臭いか。
本種の傘はこのように傘の中央部から黄土色の厚膜胞子に変化します。
少しでも高い位置から胞子を風に乗って飛ばすための工夫なんでしょうね。
この胞子は表面に星型突起を備え、顕微鏡で見ると一目瞭然ですよ。
ちなみに学名の「Asterophora」も「星を担う」と言う意味のラテン語です。


■ 2009年07月11日 撮影

ひだは白色でやや不完全さを感じます。波打ったり、厚みが有ったり。
本種にとっては傘の上から飛ばす胞子が本命なのでこんな感じなのでしょう。

■ 2014年07月13日 撮影

かなり老成した子実体を発見!もう明らかに傘の表面が変化しちゃってます。


■ 2014年07月13日 撮影

傘の上に乗った黄土色の粉は土ではなく傘が変化して出来た厚膜胞子です。
横の葉にも乗っているように崩れて飛び散り胞子を拡散するシステムです。
しかし宿主の老成と同時期に発生する、それまでどこに居るんでしょうね?

■ 2015年07月11日 撮影

属名が「夜」に因む本種、それがこの黒背景に白い傘が夜空に見えるため。
クロハツの仲間は老成するとビックリするほど黒くなるので映えますね。