■Octaviania mortae (オクタビアニア モルタエ)

■ 2018年01月14日 撮影

最初はノナエだと思って掲載しようとして途中で違和感に気付きました。 新春地下生菌観察オフにてガガンボ氏が広葉樹下で群生を発見しました。 オクタビアニア三姉妹の1人であり、胞子観察による消去法で本種としました。 こう見えてヤマイグチ属に近縁であり、イグチの寄生菌に感染することが知られています。

種小名の由来はローマ神話の運命の三女神の一柱である「モルタ」です。 外見の似た種に同じく三女神の「O. nonae」と「O. decimae」、隠し子の「O. celatifilia」が存在します。 3種類だと思って命名したらもう1種類居たんだそうです。ナンテコッタイ。 あまりにも外見もミクロな特徴も似ているので、この同定も怪しいと言うか意味があるかどうかと言うか。


■ 2018年01月14日 撮影

子実体は塊状で大きいものでも1cm強と言った感じ。 本種の近縁種は皆そうなのですが、本種は傷付くと黒変すると言う性質があります。 また本種はノナエやデキマエと比べて子実体がいびつになりやすい傾向があると言われています。 まぁココらへんは感覚的なものもあるかも知れませんが。


■ 2018年01月14日 撮影

断面はこんな感じで厚く白い外皮の中に暗褐色の胞子が詰まった小腔室を無数に持っています。 その見た目から「こしあん」って良く言われてますね。 また切ってみると顕著なのですが、子実体は油臭いと言うか青臭いと言うか独特の臭気を放ちます。 そのニオイで虫を寄せて子実体を食べさせ、胞子を拡散させると考えられています。


■ 2018年01月14日 撮影

帰宅後に断面を黒バック撮影してみました。確かに断面が丸くない気がします。 柄の名残りの無性基部を持ち、その下から太い根状菌糸束が伸びています。 切断する際はこの菌糸束を通過するように刃を入れると無性基部が観察しやすいですよ。


■ 2018年01月14日 撮影

胞子を観察してすぐにデキマエではないと気付きました。そう表面のとげが細かいのです。 なので単純にノナエだろうと思ったのですが、掲載作業の段になって違和感に気付きました。 胞子サイズが大きいのです。ノナエは大きいものでも11μmまでのハズ。 しかし本種の胞子はデキマエとほぼ同じどころか少し大きいくらいです。 ここまでの特徴は同倍率同縮小率で掲載されているデキマエの胞子写真と見比べると一目瞭然です。 これはいくら何でもノナエじゃないです。 そこで調べるとモルタエがこの特徴に当てはまることが分かったのです。 ここまで読めば消去法だとお分かり頂けるかと。 この辺はもはや家庭環境での同定作業はほぼ不可能なレベルだと思って良いと思います。

ヤマイグチ属に近縁ならば無毒か弱毒くらいのものでしょうし、生物に食わせたいなら毒は持たないかな? ただクッサイですし食用価値無しだと思われます。

■ 2018年01月14日 撮影

本種を観察して思ったのは虫食いが酷いと言うことでしょうか。 ノナエやデキマエはむしろ大きな虫食いは見かけないのですが、本種はこんな感じです。 ニオイがキツいんでしょうかね?
■図鑑TOPへ戻る