■Ophiocordyceps acicularis (コロモコメツキムシタケ)

■ 2016年08月11日 撮影

原稿に追われながらも地元の里山へ「山の日」突発散策に行き一発OK!
最初はマメザヤタケの仲間かと思いましたが違和感に気付いて良かった!
地中のコメツキムシ科の幼虫から発生する冬虫夏草「衣米搗虫茸」です。
以前コメツキムシタケを見ていますが、似ていてもれっきとした別種。
事実、以前はコメツキムシタケと混同され、多くの同定ミスを産みました。

発生場所はスギの放置林内を流れる沢の苔生した斜面。不毛な場所です。
本来ならばキノコ探しでは絶対に見ない場所ですね。盲点でした。


■ 2016年08月11日 撮影

最初は落枝から出たいつものXylaria属の仲間何かだと思いました。
ですが何かが引っかかり気になってルーペで見て虫草と確信しました。
マメザヤタケの仲間ってもっと黒くて硬質、子嚢殻の雰囲気も違います。


■ 2016年08月11日 撮影

図鑑で見た写真では結構深く埋まっていたので慎重に掘りました・・・。
が、宿主はコケのすぐ下に居てくれたので断面作成は簡単でしたね。
この赤茶色のボディーは紛れもなくコメツキムシの仲間の幼虫。


■ 2016年08月11日 撮影

帰宅後にクリーニングしました。やっぱ甲虫生は白バックが映える!
宿主は完璧な状態で残っていました。頭部周辺から発生しています。
子実体は2本の場合も有りますが、基本的には1本の単生です。
コメツキムシタケが複数本出す事が多いので、そこも相違点かも?

ちなみに大きく見えますが子実体の長さはたったの4.5cmです。


■ 2016年08月11日 撮影

結実部を黒バックで撮影してみました。うーん惚れ惚れするフォルム。
子実体は暗褐色で太針型〜突き抜き型。肉質はかなり強靭です。
結実部と柄の境界線は不明瞭で、先端部は子嚢殻を形成しません。


■ 2016年08月11日 撮影

子嚢殻は裸生型なのですが、このように褐色の菌糸に埋もれています。
一見埋生に見えますが、子嚢殻がまばらな部位ではちゃんと裸生です。
ただしコメツキムシタケもこのような子実体を作る場合が有ります。


■ 2016年08月11日 撮影

見分ける最終手段は胞子。乾燥後の子嚢殻を潰したので傷んでますね。
胞子は糸状でコメツキムシタケより短く太いのが一つ目のポイント。
それと子嚢胞子の隔壁がハッキリしているのがもう一つのポイント。
また子嚢殻が小型である事と子嚢殻の菌糸の覆い方から本種としました。

当然ですが食用価値無しのようです。薬効成分も特に無いみたい。
ただ甲虫生の虫草としてはスタイルが格好良いので観賞価値は高いか。

■ 2017年07月22日 撮影

岡山県の調査に参加した際、終わり際にHibagon氏が発見した発見したコロモ。
先端が妙にクネッていて変な感じ。コチラはガガさんが断面作成しました。

■ 2017年07月22日 撮影

ガガさんが掘っている間ヒマなので周囲を見回していたら素直な子実体を発見。
と言うかまぁこれが本来の姿。先程のが捻くれているだけだと思いますが。
斜面に生えていて掘り取るのは簡単だろうと判断、時間優先で断面作成開始。


■ 2017年07月22日 撮影

慎重に掘っていなかったのですぐ宿主のコメツキムシの幼虫が登場しました。
どうやら無印は黄色い幼虫、コロモは赤い幼虫から出る傾向が有るとか。
・・・そう言われてみれば以前地元で発見した物も宿主が赤系だった気が。


■ 2017年07月22日 撮影

帰宅後にクリーニングし黒バック撮影。宿主も地下部も丈夫で掃除は簡単です。
基部が暗色で膨らむのが共通の特徴なんだなと眺めていて気が付きました。
また無印コメツキムシタケと比べて地下部が短いのも本種の性質みたいですね。


■ 2017年07月22日 撮影

以前見付けたものよりもずっと大型で、結実部の特徴が良く表れていますね。


■ 2017年07月22日 撮影

非常に分かりやすい!子嚢殻の基部を菌糸に覆う着衣型と呼ばれるもの。
分類的には裸生なのですが、この菌糸のせいで埋生に見えてしまうのです。
写真下、子嚢殻が密に一直線に並んだ辺りは裂け目のようになっています。


■ 2017年07月22日 撮影

同じ顕微鏡でもカバーガラスとスライドガラスを変えるだけでここまで変わる。
今回は新鮮な胞子を探したので、二次胞子の短さ隔壁がハッキリ分かります。
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