★Ophiocordyceps heteropoda (オオセミタケ)

■ 2017年04月30日 撮影

ようやく地元で安定して発生するフィールドに出会う事ができました。 ずっと県外で発見した写真がTOPだったので、念願の差し替えですよ。 春に土中の各種セミの幼虫から発生する冬虫夏草「大蝉茸」です。 冬虫夏草としては比較的大型な種なので見付けやすいのが救いです。 そのため他のキノコを探していて偶然発見するって話を良く聞きます。

「オオミタケ」と書かれた図鑑も有りますが、正解は濁点無しです。 結実部の色が薄い品種、結実部が長い品種、アルビノなどが存在。 それぞれ和名の前に「ウスイロ」、「ツツナガ」、「シロ」が付きます。 またクサアブタンポタケと言うハエ目生のそっくりさんも居ます。


■ 2017年04月30日 撮影

頭部は赤褐色でやや光沢が有ります。表面に細かな点が見えますか? これは子嚢胞子を内部に持つ子嚢殻と呼ばれる構造の先端です。 感覚的にはアミガサタケの凹部が小さくなって入り口が絞られたモノ。 この先端部から胞子を吹き出して他の宿主となるセミを探します。 ちなみに表面の白く見えるのは子嚢殻から飛び出した子嚢胞子です。


■ 2017年04月30日 撮影

慎重に断面を作成しました。と言っても本種はかなり掘りやすい部類。 地下部がかなり頑丈なので、多少荒っぽく掘っても切れないでしょう。 ただ細根状の分岐が多数出ているので、こちらはギロチンに注意。 本種は水捌けの良いパサパサした土が好きみな虫草みたいですね。


■ 2017年04月30日 撮影

宿主となるセミは様々で、一般的には大型のアブラゼミが多いようです。 今回はやや小型でツクツクボウシっぽいですね。菌糸に覆われてますけど。 吹き出した菌糸は巣穴の壁面にまで達し、部分的に黄色を帯びます。


■ 2017年04月30日 撮影

帰宅後にクリーニングしてみたら胞子の飛散が始まったので焦って採取。 顕微鏡で観察しました。子嚢胞子は糸状で円筒形の二次胞子に分裂します。 加工して何とかここまで見れるようになりました。後の顕微鏡写真を見たほうが良いかと。

冬虫夏草の中には薬用になる物も有りますが、本種は薬用価値無しです。 基本薬用価値が有る冬虫夏草は鱗翅類に寄生するタイプのヤツですしね。 ただ虫草屋でなくとも発見が容易で発生量も多く、入門編としては最適。 もし野外で見付けたらチャレンジって事で掘ってみると面白いですよ?

■ 2014年05月10日 撮影

地元でも発見していました。思えばこれが長い長い戦いの始まりでした。 この時は薄暗い森の中で発見したため不用意に掘ってあえなくギロチン。 その後本格的に虫草に興味を持ち探しますが・・・全く見付からない。 何度この場所を訪れても影も形も無い。そんな敗北が何年も続きました。

前述の通り本種はかなり一般的でどこでも見付かる初心者向けの種です。 しかし地元でセミタケやツブノ、ウメムラを見付けるも本種は見付からず。 あまりに見れないので地元には分布してないと言い聞かせていたホド。 そのため今回地元で見付けられた事はレア虫草発見より嬉しかったです。

■ 2014年04月13日 撮影

実は初発見は地元ではなく京都御苑で開催されている観察会でした。 この日の目玉キノコとも言うべき扱いで、参加者の注目の的でしたね。


■ 2014年04月13日 撮影

掘ってみると下からアブラゼミの幼虫が出て来ました。嗚呼、哀れセミ。 柄は黄褐色で上部はやや白くなります。地下ではかなり細くなるようです。 そして言われて気付きましたが、これ一つの宿主から3本出てました。 人が多くじっくり撮影できず、ピンボケしてしまったのがちょっと残念かな?

■ 2014年04月13日 撮影

同日御苑観察会終盤。モクレンの樹下でキンカクキンを探していて発見。 キノコの少ないこの時期に鮮緑色の苔の中から生えていると目立ちますね。

■ 2015年04月11日 撮影

アネモネタマチャワンタケを探しに行った山の登山口近くで偶然発見です。 足元に気を取られて目線が下に行っていたので発見できたんだと思います。 画質が悪いのは実況撮影中で動画のキャプしか残っていなかったためです。


■ 2015年04月11日 撮影

随分小さいので掘るのは楽だと思って軽い気持ちで掘り始めましたが・・・。 いくらなんでも長すぎだろ!オオセミって結構ストローマ短いハズだぞ! て事で今から1000m登るってのにこんな事で労力を使ってしまいました。


■ 2015年04月11日 撮影

未成熟な結実部です。子嚢殻の先端部がほとんど飛び出していませんね。

■ 2016年04月30日 撮影

どろんこさん主催でいんたーさんと早春の冬虫夏草狩りオフに行きました。 中々虫草が見付からず肩を落としていた時にいんたーさんが発見です。


■ 2016年04月30日 撮影

結実部を思いっ切り拡大してみました。日差しが強くて色移りしてます。 本種の子嚢殻は典型的な埋生型で、先端が僅かに突出するだけです。 そう言えばシンプルなタンポ型のセミ生虫草って意外と居ないですよね。

■ 2017年03月04日 撮影

どろんこさん主催でガガンボさん木下さんの4人で春の虫草オフ実施です。 そこでの第一目標だった未熟なオオセミタケ、ガガさんが発見しました。 これどろんこさんが追培養目的であえて早い時期に探索したんですよね。


■ 2017年03月04日 撮影

目論見通りの幼菌発見。見た目にも若々しくて撮影が捗りますねぇ! 幼菌は地味であまり見付けられない種なので貴重な発見となりました。


■ 2017年03月04日 撮影

こちらはやや成熟した結実部。下方から子嚢殻が突出して来ています。 しかし流石に4月に見られる物と比べると結実部の色が淡いですね。 特に印象的なのは白い柄でしょうか。ここまで色合いが違うとは・・・。


■ 2017年03月04日 撮影

私が動画撮影し、どろんこさんが断面を作成。その後無事掘り取れました。 掘る前から小さいと話していましたが、宿主はツクツクボウシなのかな? 確かにここは夏場ツクツクボウシタケも居たので、可能性としては高いです。 今までの経験ではアブラゼミの幼虫から出る印象が強い種なんですけどね。

■ 2017年04月30日 撮影

地元発見で歓喜した後に訪れたマルミアリタケの坪。しかし発見はできず。 肩を落として帰りかけた時に車道の脇に見慣れない色の突起物を発見。 近寄ってすぐ結実部の色が淡いウスイロオオセミタケだと分かりました。

ただウスイロに関しては「品種(f.)」扱いの上に、単なる発育不良説も・・・。 実際結実部の色が淡いものの多くは地下部が長かったり分岐が有ったり。


■ 2017年04月30日 撮影

まぁ既にネタバレましたが断面作成超絶難しかったです。何なのさコレ。 真横に伸びている上に地下部が細く、しかもY字に分岐とか嫌がらせだよ! しかもここ車道脇なので礫が多く、スコップが通らないのがキツかった・・・。 でも無事に採集はできたので、持ち帰ってクリーニングする事にしました。


■ 2017年04月30日 撮影

掘り採った状態がコチラ。かなりの大モノでしたね。ん?右に何か・・・。 実は隣接して別のが居ました。結実部の色の違いが良く分かります。


■ 2017年04月30日 撮影

帰宅後にクリーニングして白バック撮影。うーん、やっぱり迫力有ります! やはり和名に「オオ」と付くだけあって純粋にボリュームが有りますから。


■ 2017年04月30日 撮影

オマケで真っすぐ伸ばして黒バック背景で撮影。黒背景も映えますねぇ。


■ 2017年04月30日 撮影

宿主は立派なアブラゼミの幼虫。ここまで育って殺されてしまうなんて・・・。 他のセミ生もそうですが、菌糸は頭部から腹部にかけて多く見られます。 子実体発生がほぼほぼ頭部なのは単純に地下で上を向いているからかと。


■ 2017年04月30日 撮影

子実体拡大です。柄は太く淡黄褐色。表面はややササクレ立っています。 柄の上方は色が淡く、地面との境界付近は黄色を通り越して赤みを帯びます。


■ 2017年04月30日 撮影

結実部拡大。ウスイロオオセミタケタイプなのでかなり色が淡いですね。 細かな粒一つ一つが子嚢殻です。この中に子嚢胞子が入っています。 結実部の縁部を見ると子嚢殻に透明感が有るのが良く分かると思います。 これはウスイロならではで、赤褐色のものではここまで綺麗に見えません。

■ 2017年04月30日 撮影

ちなみに手に乗せている写真の端に写っていたのはコイツ。かなり大型です。 この特徴的な結実部の色・・・これがオオセミの本来のカラーリングですね。


■ 2017年04月30日 撮影

実は隣にも居たりして。と言うか掘ったら同一宿主から出ていました。 立派だったので宿主の頭だけ確認して埋め戻しました。子孫繁栄を願って。 でもそれ言っちゃうとセミの方は子孫残せなくなっちゃうんですけどね・・・。

■ 2017年05月04日 撮影

実況動画で掘ったヤツです。実はこれ再封印後に撮影したものなんです。 まぁぶっちゃけ掘る前に撮影するの忘れてたんですよ。本当に申し訳無い。 今年は地元で安定した坪を発見する事ができました。大切にしたいですね。

■ 2017年05月14日 撮影

4月30日に訪れた場所を再度訪れてみました。すると有るわ有るわ! 道すがらボコボコ出ていました。これは実況を録るしか無いですね。 でも普通に録っても面白くないし、ここは少し趣向を変えてみよう。


■ 2017年05月14日 撮影

と言う事で実況動画でも上げていますが、ただただありのままを記録。 このように胞子が飛んでいるんだと言うのが伝われば、と思います。

■ 2017年05月14日 撮影

見れるとは思いませんでした。オオセミの品種ツツナガオオセミタケです。 ウスイロオオセミタケ同様あくまでも品種。奇形レベルかも知れません。 ちなみにコイツも撮影中にバンバン胞子を飛ばしていて面白かったです。


■ 2017年05月14日 撮影

名前からも分かりますがツツナガの意味は見たまんま結実部が長い事。 とは言っても本種の結実部の形状にはかなり個体差が有るんですよね。 なので一応分けられてはいますが、ここでは同種として紹介します。

■ 2017年05月14日 撮影

かなりしっかりした子実体を発見!ちなみに車道から30cmの場所です。


■ 2017年05月14日 撮影

この黒背景写真ですが、実は採取せずに野外で工夫して撮影してます。 背後に黒い物を少し離して置き、手前だけにライトを上から当てています。 こうするとデジカメは手前にステ振りするので背景が真っ黒になります。


■ 2017年05月14日 撮影

野外では自然光の手助けも有るのでかなり光量の強い写真が撮れますね。 こうして見ると子嚢殻の透明感が良く分かります。魚卵みたいですね。 でもこれ見る人によっては完全にグロ画像ですね。閲覧注意だったかな?

■ 2018年03月31日 撮影

昨年発見したフィールド、今年もしっかりと発生してくれていました。 ただ昨年よりも数が少ないかな?雨の少なさが影響しているのかも。


■ 2018年03月31日 撮影

見付けられたのはこの1株だけ。しかしスタイル的には申し分ない子実体。 被写体的には結実部が球形に近ければ近いほど撮る側としちゃ嬉しいです。 掘ってクサアブタンポタケか確認したかったですが実況撮影中で断念。

■ 2018年06月09日 撮影

木下さんとのアマミカイキタンポタケ捜索オフにて帰り際に発見した冬虫夏草。 オオセミタケにしては時期が遅く、もしかするとクサアブタンポタケではないかと推測。 そのため無理して翌週も見に行ったのですが、普通に地下にセミが居ました。残念。


■ 2018年06月09日 撮影

雰囲気が随分と違いますが、これが時期外れの結実部の形成不全のようですね。 クサアブタンポタケじゃなかったのは残念でしたが、ちょっと嬉しい発見でもありました。


■ 2018年06月09日 撮影

それは子嚢胞子が観察できたこと。以前撮影していますが、この時は旧顕微鏡のため画質が非常に悪かったのです。 子嚢胞子は糸状で長さは600μm前後。数えてみると図鑑通り64個の二次胞子に分裂します。 子嚢胞子がメチャクチャ長いので複数の写真を深度合成した上で連結しました。


■ 2018年06月09日 撮影

二次胞子を拡大です。両端に油球が有るのが特徴です。


■ 2018年06月09日 撮影

二次胞子は約9μmで5.8〜11.6μmの記述の範囲内ですね。 クサアブタンポタケは両端に油球を持った上でこのほぼ倍の長さが有るため、やはり別種と考えられます。 過去の顕微鏡写真は今回と比べると非常に画質が悪いですが、記念に残しておきます。
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