★Ophiocordyceps sp. (ハトジムシハリタケ)

■ 2019年07月06日 撮影

初参加の虫草祭で出会って以来、ずっと再会したいと願っていた冬虫夏草です。 各種林内地上のヒゲナガガやマガリガなどのガの幼虫から発生する「葉閉虫針茸」です。 二枚の広葉樹の葉の破片を貼り合わせたケース内の幼虫から発生します。 ハリタケ型としては比較的大型で、高さ5cmを超える事も有る冬虫夏草です。 不思議と低地ではあまり見られず、冷涼な地域で良く見られます。

大型とは言っても子実体が極めて細く、発見難易度はやや高いようですね。 現在は種小名が未決定となっています。魅力的な種なのでちょっと残念です。 似た種にハマキムシイトハリタケが存在しますが、形態的特徴が全く異なります。


■ 2019年07月06日 撮影

子実体の形状と子嚢殻のできかたが面白いです。 子実体はハリタケ型で長さは2〜6cm。全体的に淡黄色〜黄土色で不規則にゆらいでいることが多いです。 その途中に褐色の裸生型の子嚢殻をまばらに形成するのが最大の特徴です。 ハマキムシイトハリタケは子嚢殻がより濃色である程度まとまって形成されます。


■ 2019年07月06日 撮影

宿主の入ったケースを拡大してみました。この中にガの幼虫が居ます。 宿主は主にヒゲナガガの仲間ですが、マガリガの幼虫からも発生します。 両種はケースの構造が異なり、この場合は片面に複数の葉を使用しているのでヒゲナガガかな?


■ 2019年07月06日 撮影

同時に標本にしたので同時掲載の別個体です。 落葉を貫通して子実体が伸びていて面白かったです。 ケースはこっちのほうが綺麗だったかな?失敗失敗。


■ 2019年07月06日 撮影

ストローマは若い時は白っぽいです。 障害物を避けるように伸びるのでこんな感じで曲がりくねっています。 それにしても綺麗に落葉の穴を抜けてますね・・・光を感じてるのかな?


■ 2019年07月07日 撮影

帰宅後にクリーニングしたものを黒バック撮影してみました。 本種がどのように発生するのかが分かりやすいですね。 ストローマはケースを形作っている葉の隙間から発生しています。 ケース中央から出ているのもそこに継ぎ目があるからですね。


■ 2019年07月07日 撮影

子嚢殻はこんな感じでかなり間を空けて形成されます。


■ 2019年07月07日 撮影

子嚢殻は裸生でストローマ表面に点々と形成されます。 若い時は赤みが強いですが、成熟するともっと暗色になります。 それでもハマキムシイトハリタケの黒さに比べると褐色と言った感じですね。


■ 2019年07月07日 撮影

残念ながら私が採取した子実体は若いか老成しているかのどちらかだった模様。 胞子は自然噴出せず、子嚢殻を潰しても成熟した胞子は見られませんでした。 残念ですが胞子観察はお預けです。比較したかったんですが、腹いせに子嚢殻を撮っておきます。


■ 2019年07月07日 撮影

今回何としても見ておきたかったのが宿主です。 ケースを貫通しているほうは解体が難しかったので、ケースの縁から出ているものをチョイス。 慎重にケースを剥がしてみると中には確かにガの幼虫がお亡くなりになっていました。 ケースの形状的にヒゲナガガかな?と思いますが、ストローマの大きさに比べて宿主が小さすぎるんですが。

極めて小型の種であり、当然ですが食不適です。食うトコ無いですからね。

■ 2015年08月02日 撮影

第35回虫草祭で出会ったのが馴れ初めです。 ハマキムシイトハリタケと同時に出会い、同時に擬人化デザインを考えたんですよね。 この時は冬虫夏草探しに夢中でしっかりと撮影していませんでした。 そのため図鑑に載せる写真に良いのが無くて困ったんですよね。


■ 2015年08月02日 撮影

子嚢殻は成熟すると先端が尖るので、この時のほうが成熟してるかな? この子嚢殻の色とストローマの色の違いが本種らしさです。


■ 2015年08月02日 撮影

宿主が入っているケースです。この時は1株しか採集ができなかったので分解はしませんでした。 宿主は見てみたいと思っていたのでリベンジの機会が後々来たいのは本当に嬉しかったです。 この場所も冷涼な高地で、低地で見ないのは何か理由がありそうです。
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