★Ophiocordyceps sp. (イトヒキミジンアリタケ)

■ 2016年12月23日 撮影

先にお断りしておきますが、この発生状況はイレギュラーです。 地元で夏に発見したものを冬まで定点観察して成熟を見届けました。 和名「糸引微塵蟻茸」。ミカドオオアリを中心に複数種のアリを宿主とする気生型の冬虫夏草です。 本種は主に木の幹に付くことで知られますが、葉裏や石にも付くそうです。 日本で見られる冬虫夏草としてはかなり一般的であり、 地域にもよりますがその辺の里山に入れば大抵見られる、それくらいありふれた種です。

酷似した種にタイワンアリタケがあり、実際に混同されていた過去があります。 ですがタイワンは主に沢筋の葉裏に見られ、宿主もチクシトゲアリが大半・・・と言うか全て。 イトヒキの宿主は多岐に渡り、子実体の形状も微妙に違いがあります。 タイワンアリタケは記載論文が存在するので種小名が決定していますが、本種はまだ「sp.」扱いです。


■ 2016年08月20日 撮影

真夏に発見した幼菌の状態。以前から何度も見ていた種ではありますが、そのサイズに驚きました。 ストローマの先端が紫色を帯びていますが、これは実にOphiocordyceps属菌らしい見た目ですね。

TOPでこの発生状況はイレギュラーと言いましたが、それはこのストローマの本数です。 本来本種のストローマは宿主1匹につき1本、多くて2本が普通です。 このイトヒキは1匹の宿主から7本ものストローマが出ているんです。 これ理由は簡単で宿主が女王アリだからです。 本種を含む気生型のアリ生冬虫夏草は大半がワーカー(働きアリ)であり、 単純に宿主が大型で栄養が豊富なので数多くのストローマを伸ばしたようです。


■ 2016年12月23日 撮影

12月になって子実体が成熟しました。 ストローマの中程に見える黒い塊が胞子を形成する結実部です。 ちなみに宿主の周囲はトビムシの住処になっていました。 本種は他の小型動物の隠れ家になっていたり卵を産み付けられていたりします。


■ 2016年12月23日 撮影

標本用に採取してみました。この後撮影中に落として壊しましたけどね!


■ 2016年12月23日 撮影

せっかく綺麗にクリーニングしたのに、貴重なクイーン生標本を壊してしまうなんて・・・俺の馬鹿! 栄養状態が良いとここまで沢山のストローマを伸ばすんですね。 ただどれも完全な体調と言うワケではないようで、結実部が出来ていないストローマも見られます。


■ 2016年12月23日 撮影

ストローマは最初紫色を帯びた褐色ですが、成長すると褐色でやや毛羽立った質感になります。 子実体の形状タイプ的には首折れ型になり、ストローマの途中に円盤状の結実部を形成します。 結実部は黒色で子嚢殻は埋生。タイワンアリタケに比べると若干厚みが無く平らなのが相違点です。

言うまでもなく食不適です。そもそも木の幹に貼り付いてて剥がすのも大変です。 ただ気生型冬虫夏草の入門種としては非常に優秀です。是非一度探してみて下さい。 特に近縁種のタイワンアリタケが発見難易度高めなので、気軽にアリ生種の魅力が味わえますよ?

■ 2016年02月21日 撮影

初発見は新機材での動画撮影テストでオイラセクチキムシタケを見に行った時のこと。 実況撮影中にふと隣の木の幹を見た時、妙な物が目に飛び込んで来ました。 これが本来の発生状態です。 幹のオーバーハングした場所に貼り付いたワーカーから1本発生しているのが普通なんです。 イレギュラーをTOPにするのは悩んだんですが、やっぱカッコイイのを上に持って来たくて・・・。


■ 2016年02月21日 撮影

宿主はあのヒアリ警察氏からミカドオオアリとの回答を頂きました。 ここで気になったのは宿主が乾燥でしぼんでいること。 と言うのもタイワンアリタケは多湿環境を好み宿主も萎まないのです。 この環境は沢も湿地も無くごく普通の里山で空中湿度はかなり低いはずです。 この点からタイワンアリタケと比べて本種は乾燥に強いと思われます。

■ 2016年02月21日 撮影

本種は気生型の冬虫夏草の中では時間経過による劣化に強いようですね。 コケが生えたような古い子実体も朽ちずに残っているので驚きました。 その中でも特に新鮮な子実体を発見!結実部に新しさが感じられますね。


■ 2016年02月21日 撮影

結実部を拡大。このように3つも形成されることは本種では稀かな? 結実部は黒色で子嚢殻は埋生。子嚢殻の先端は少し突出しています。 一応子実体は首折れ型なのですが、結実部が小さくてそう見えませんね。

■ 2016年02月21日 撮影

発生状況はこんな感じ。1本の幹に複数のアリが貼り付いて死んでいます。 この周囲一帯が発生坪のようで、ざっと見ただけで50匹は居ました。

■ 2016年02月21日 撮影

幹の隙間から無数のストローマが伸びていたので指で剥がしてみたらこの通り! 2匹のアリが場所を取り合うかのように並んで事切れていました。壮絶な光景です。 基本幹に貼り付いているので、こう言う状態だと持ち帰りやすくて助かります。


■ 2016年02月21日 撮影

マクロレンズを使って結実部を拡大してみました。ストローマは黒褐色ですね。 結実部は真っ黒でタイワンアリタケと比べると暗色で扁平なのが分かります。 ストローマは長いのに結実部が小さいのでタイワンとはかなり雰囲気が違います。

■ 2016年02月21日 撮影

向かい合うように死んでいる2匹を発見。何を思って最期を迎えたのでしょう。 結実部にツヤがあるのでどうやら未熟で子嚢殻が形成途中みたいですね。 コイツらは持ち帰って追培養すれば胞子の観察ができるかも知れませんね。 にしてもホントに空中湿度が低い場所なのに良く生育できるモノだと関心。

■ 2016年02月27日 撮影

虫草屋お三方をお招きしてのプチ虫草祭り開催!1ヶ所目の目玉となりました。 こうして見ると大半が木の幹のオーバーハングした部分に付いていますね。

■ 2016年02月27日 撮影

やたらアクロバティックな付き方してる宿主を発見。褐色の菌糸が目立ちます。 やはり宿主はミカドオオアリで間違い無さそうですね。大きくてカッコイイ!

■ 2016年02月27日 撮影

驚いたのがこの子実体。なんと頭だけになったアリから発生していました。 樹皮の端にガッチリ噛み付いているため胴体が落ちても頭が残ったようです。 と言うかこれで本種の菌本体は頭側にあるってのが確信できたって感じです。 アゴの周囲に菌糸が集中していること、胴体が萎んでいることにも合点がいきます。

■ 2016年02月27日 撮影

いんたーさんが調査終了間際に不思議な宿主を発見。皆見慣れない姿です。 幹に付いたかなり古い宿主から何やら白い物体が出ていますね・・・。


■ 2016年02月27日 撮影

カビ・・・ではない・・・?これはもしかしてイトヒキのアナモルフなのでは? 過去に発見されてはいるので可能性アリ。標本用に採取して持ち帰ります。 ただ本種の不完全世代はハナサナギのようにはならないとの説もあります。

■ 2016年02月27日 撮影

大抵噛み付く場所のあるような幹に付いてますが、タケにも付いてました。 現地では先端部が白くなっているのは別の菌の重複寄生と思ってました。 ただもしかするとコッチがアナモルフかもとのこと。果たして真実は?

■ 2016年03月20日 撮影

1ヶ月振りに坪を訪れてみると、以前確認していた範囲より遠くでも多数確認。 もうこの里山一帯が発生範囲と考えて良さそうです。凄い規模ですわコレ。 この範囲でこの密度ならば100単位どろか1000行ってそうな気がします。

■ 2016年07月23日 撮影

朽木生を探して小さな倒木をひっくり返していたら意外なヤツと出会いました。 今まではミカドオオアリばかりでしたが初のムネアカオオアリが宿主です。 やはり大型だからでしょうか?ストローマが複数伸びていてカッコイイです。

■ 2017年01月28日 撮影

地元のフィールドが「手入れ」と称して大規模破壊されて愕然としました。 枯れ行くナラ枯れを残して広葉樹の低木が根こそぎ伐採されたのです。 そのため林内湿度が下がり、イトヒキが付ける程良い木も消え去りました。 ショックを受けて遠く離れた以前から訪れていたフィールドへ行きました。 は?普通に居るし!何年も通っていたのに今まで気付かなかったとは! どうやらウチの近所では本種はかなり普通種みたいですね。少し安心です。

■ 2017年10月07日 撮影

あるびのさんをお招きしての地元オフの目標の一つ、無事見付かりました。 かなり環境が破壊されて心配しましたが、何だかんだで元気で安心です。 この木はミカドの墓場となっており、一本の幹に無数の死骸が・・・。


■ 2017年10月07日 撮影

面白かったのはコチラ。ニイニイゼミの抜け殻が覆い被さっています。 恐らく宿主は年を越していると思われるので、セミは後付のようです。


■ 2017年10月07日 撮影

構図に凝って撮影した1枚。良い感じの子実体だったので気合い入れました。 撮影している時は気付きませんでしたが、ストローマにトビムシが居ました。

■ 2018年05月20日 撮影

今まで一度も観察したことが無かった本種の子嚢胞子が観察したくて標本を採取してきました。 まずは結実部を薄くスライスして子嚢殻の断面を観察。 みっちり詰まっていた子嚢と側糸が大量に漏れ出してきました。 埋生なので分かりにくいですがちゃんと子嚢殻なんだなと感じたり。


■ 2018年05月20日 撮影

子嚢殻の内部の子嚢を拡大。子嚢先端の肥厚部がハッキリ見えます。


■ 2018年05月20日 撮影

子嚢と子嚢胞子が同時に見れましたので撮影。 この先端部の厚みは実に冬虫夏草の子嚢だなって感じですね。 タイワンアリタケに比べるとあまり子嚢の先端が尖っていないような。


■ 2018年05月20日 撮影

子嚢胞子は細長い紡錘形で長さはかなり差はあれど100μm以下。 近縁なタイワンアリタケよりも少し短いのかな? この辺は過去の文献とも食い違う部分もあるようで、今度タイワンも観察しようと思います。 本当は隔壁があるのですが、未熟なことと私自身の観察技術の低さから確認できませんでした。

■ 2018年05月22日 撮影

メルツァー試薬で染めると観察しやすくなると聞き、2日後にゴミ箱を漁って小さな小さな結実部をサルベージ。 染色してから観察すると肥厚部がハッキリ見えて感動しました。 胞子が吹き出すための頂孔も染色によって見えやすくなっています。試薬ってホント大切ですね。


■ 2018年05月22日 撮影

メルツァー試薬で染色した子嚢胞子です。確かにところどころ隔壁が見えています。 過去の文献によるとこの隔壁部から二次胞子に分裂するそうですが、不思議とその後確認されていないみたいです。 確かにこの隔壁の感じは分裂するようなタイプには見えないかも。 この胞子はやや未熟の可能性が高く、次は成熟した胞子で隔壁を数えたいと思います。

■ 2018年07月01日 撮影

実は5月の顕微鏡観察を見たK.Y氏より「子嚢殻の感じからして未熟」とのご指摘を頂きました。 やはり子嚢殻を潰して観察するのは当たり外れがあるようで、胞子の自然噴出を待つのがベストのようです。 まぁ潰したおかげで子嚢なんかも観察できたのでそれはそれでヨシとし、今回はしっかりと胞子を噴いてもらいました。 空気の流れが生じない容器内に逆さ釣りにして落ちるのを待ちました。


■ 2018年07月01日 撮影

前回はメルツァー試薬で見ても隔壁が見えなかったので最初からメルツァってから観察しました。 もうこの段階で明らかに前回とは違う結果が出ているのが分かりますね。


■ 2018年07月01日 撮影

見えました、これぞイトヒキの子嚢胞子!外見的にはタイワンアリタケとほぼ同じです。 長さは110μmくらいのものが多く、自分の目で観察したタイワンアリタケよりも少し長い感じです。 何よりも今回は前回全くと言ってよいほど見れなかった隔壁がハッキリ見えています。


■ 2018年07月01日 撮影

絞りと光源を調節したらもっと見やすくなりました。 隔壁の数にはバラつきがありますが、数えてみると5個であることが圧倒的に多いようです。 となると6つの細胞から成るワケですが、順当に分裂すれば8個になるので少し足りない感じです。


■ 2018年07月01日 撮影

撮影に時間かけすぎて発芽しちゃいました。胞子も痩せてます。


■ 2018年07月01日 撮影

文献で気になっていたタイワンアリタケとの相違点「本種は二次胞子に分裂する」ですが、確かにそれっぽいのは見れました。 しかし子嚢胞子観察段階ではあの隔壁が分裂するものには見えませんでした。 実際に分裂したと思しきものを観察しても、分裂した部分がどうも切れただけにも見えます。 もしかすると外的要因で切れやすいだけで自然には分裂しないのではないか?と思われました。

■ 2020年01月03日 撮影

2020年菌初め探索。狙うは地下生菌だったんですが、這いつくばっていたら発見しました。 コケに隠れていましたがボディが新鮮で光沢があったので気付けました。 しかもこの場所での発見は地味に初。新発生地発見となりました。 イトヒキは以前からずっと観察していたフィールドが伐採で荒れてしまい絶望に浸っていました。 しかし最近では出そうな環境が少しずつ分かってきた気がします。

■ 2020年01月03日 撮影

比較的若い子実体を発見しましたが、どうも成長が止まってしまっているっぽい? ライトを当てて光に透かすと先端が紫色なので、成長を一旦休止しているのかも。 梅雨頃になったら急成長するかもですね。

■ 2020年01月03日 撮影

結実部を形成している子実体もありました。 ざっと探しただけでもかなりの数の発生が見られたので、ここは要チェックですね。


■ 2020年01月03日 撮影

先端部の紫色がハッキリ現れており、結実部も未熟なので今年の夏に成熟するのでしょう。 そう言えば年末の地下生菌オフにて近縁なタイワンアリタケを見たばかりです。 そのため本種の結実部の扁平さは凄く体感できました。別種だと確信できましたね。

■ 2020年02月23日 撮影

初めて本種に出会った地元のフィールド。そう、不適切場伐採でスカスカになった場所です。 予想通りと言いますか、残されたコナラはナラ枯れで立ち枯れに変貌。 低木はことごとく伐採されたので、残るのは植林のヒノキ、モウソクチク、そしてアセビやネジキなどの低木。 これでは高湿度を保つことができません。マジで余計なことしてくれたなと言う感想です。 それでも比較的まだ木が残っている場所を探すと残っていました。


■ 2020年02月23日 撮影

この子実体は少し古めかな?でも他に感染初期と思しき宿主もあったので、とりあえずは大丈夫そうです。 夏を経験して秋以降にどれだけ新規発生があるかをチェックする必要があるかも知れませんね。

■ 2020年06月27日 撮影

また新しいフィールドを発見!最近本種のある環境が分かってきた気がします。 と言うか許容できる環境の幅が広く、どこにでも居るんじゃないでしょうか?

■ 2020年07月23日 撮影

久し振りに初実況の山へ来てみました。いっちゃん最初に実況を撮影した山です。 カバイロコナテングタケがサムネだったんですよね。懐かしい・・・。 そこを歩いていて居そうだなと思ったらホントに居ました。やっぱ乾いた場所好きだなぁ。

■ 2021年04月18日 撮影

食虫植物熱の再燃を受けて久々に地元のイシモチソウの自生地を訪れた際のこと。 目的地に向かうまでの林道の両側が非常に良い雰囲気なので覗いてみたら2秒で見付けました。 イシモチソウは乾き気味の湿地に出る食虫植物なので、やっぱ乾いた場所が好きなようで。 にしても中々の発生密度ですね・・・ここは優秀だ。

■ 2021年04月18日 撮影

新規発生も問題無さ気。頸部から薄紫色の幼菌が伸び始めています。 そう言えば本種はいつ見ても成菌か老菌で、ここまで初期段階のものを見るのは初めてな気が。

■ 2022年08月25日 撮影

しんや氏にクビオレアリタケの発生地を案内して頂いた時のこと。 氏が「ここではクビオレしか見付からない」と仰ることが不思議でした。 今まで探しても一度も見付からないとのことでしたが、凄くイトヒキミジンが出そうな環境なんです。 何でしょう、今までの経験則で居ないはずがないと確信して探し始めると・・・やっぱりね! しかもニイニイゼミの抜け殻とセット。こんな光景前にも見ましたね。


■ 2022年08月25日 撮影

しんや氏は初めてのイトヒキミジンに大興奮!気合い入れて撮影しておられました。 イトヒキと言えば冬虫夏草を知っている方なら決して珍しい種ではないハズ。 ですが地面スレスレの細い幹のオーバーハング部を探すと言うのは冬虫夏草屋だけの常識。 他の趣味の方なら探さない場所なんだと認識する出来事でした。

■ 2022年11月12日 撮影

関西型のミヤマタンポタケを初地元発見達成したフィールドは2021年4月18日に訪れたのと同じ場所。 ついでに探してみたら相変わらずの発生量!写真内に感染個体が7匹も居ます。 この場所は生えている樹を適当に調べるだけで見付かるレベルの凄まじいパンデミック状態。 ミカドオオアリからするとたまったものじゃないでしょうね。

■ 2022年11月12日 撮影

やや古いですが非常に写真映えする発生状態に出会えたのでパシャリ。 樹皮が滑らかで噛む場所が無いように見えるんですが、他にも数個体付いていました。 イトヒキミジンは他の気生型アリ生種と比べて脚などからの菌糸による固定が強いのかな?

■ 2023年01月07日 撮影

2023年初冬虫夏草はイトヒキミジンさんになりました。 新しく見付けたこのフィールドはかなり安定して本種の発生が見られます。 我が家からも近いと言う親切設計。 と言うか地元はどこ行っても居るレベルで普通に見られます。 他の地域の方に聞くとそうでもないらしいんですが・・・地形的な要因でもあるのかな?


■ 2023年01月07日 撮影

本種は出会ったとしても未熟だったり残骸だったりすることが多く、新鮮な子実体に意外と出会えません。 この子実体は結実部が2つで見た目も良いですし、子実体先端に紫色が残る良い状態ですね。


■ 2023年01月07日 撮影

反対側から見てみました。結実部がストローマを抱き込むこの感じ、好きです。 こうして見ると菌糸の広がりが凄いんですよね。 他のアリ生冬虫夏草と比べても、イトヒキミジンの茶色い菌糸は広範囲に広がることが分かります。

■ 2023年04月16日 撮影

オオセミタケを探して訪れた林道脇で普通に発見。ホントどこにでも居ますね。 と言うかウチの地元は本当に本種が当たり前のようにその辺の雑木林に居るんですよね。 最も広く分布する冬虫夏草は本種なんじゃないかと思えて来ました。

■ 2023年10月21日 撮影

関西型ミヤマタンポタケを地元で見付けた場所は元々本種の大発生地。 適当に地面に伏せて周囲の低木の幹を確認すると、大抵は付いていると言うレベルです。 今回もオマケで撮影。実はかなり奥行きがある2本の幹を深度合成しています。


■ 2023年10月21日 撮影

本種は宿主の付いている位置が低いため、降雨による泥跳ねでかなり汚れます。 ですが子実体は汚れてからも成長するので意外と綺麗だったりします。 タイワンアリタケやクビオレアリタケなど他のアリ生気生型は高い位置に発生するので宿主が綺麗なんですが・・・。

■ 2024年01月20日 撮影

2024年初のフィールドは冬虫夏草5種も見られる中々の出出し。 メインターゲットはオイラセでしたが、この時期にも成熟個体が見られる本種も美味しいですね。 菌生冬虫夏草も良いですが、やっぱ昆虫から発生する種を見たいってのはありますからね。


■ 2024年01月20日 撮影

拡大すると明らかに結実部が新鮮です。 明らかに残存個体ではなく、リアルタイムで成熟したものと思われます。 タイワンアリタケでもそうですが、冬季でも胞子飛散能力を持つ子実体が見られますね。 クビオレやコブガタが明確に越冬するあたり、少し性質が違うのでしょう。



■ 2024年01月20日 撮影

2個の結実部を形成した子実体です。どちらも鮮度は良いようです。 タイワンアリタケと異なり本種は宿主が見づらいのが若干勿体無いですね。 乾燥に強いため宿主がボロボロな上に菌糸に覆われるのが原因です。
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