★Paraisaria heteropoda (オオセミタケ)

■ 2019年04月27日 撮影

地元で比較的安定して発生するフィールドにて大発生に出会うことができました。 春に土中の各種セミの幼虫から発生する冬虫夏草「大蝉茸」です。 冬虫夏草としては比較的大型な種なので見付けやすく、発生量も多いのが救いです。 そのため他のキノコを探していて偶然発見するって話を良く聞きます。

「オオミタケ」と書かれた図鑑もありますが、正解は濁点無しです。 結実部の色が薄い品種、結実部が長い品種、アルビノなどが存在。 それぞれ和名の前に「ウスイロ」、「ツツナガ」、「シロ」が付きます。 ただこの辺は単なる生育環境に起因する個体差レベルとの説も存在します。 またクサアブタンポタケと言うハエ目生のそっくりさんも居ます。

また、本種はアナモルフの形態から「Paraisaria属」になるとの論文が発表されました。 国内では上記のクサアブタンポタケとウスイロタンポタケ、そして本種がコレに属するそうです。 暫くは従来のOphiocordyceps属で掲載していましたが、新属での掲載に変更となりました。


■ 2019年04月27日 撮影

頭部は赤褐色でやや光沢があります。表面に無数の細かな点が見えますか? これは子嚢胞子を内部に持つ子嚢殻と呼ばれる構造の先端です。 この先端部から胞子を吹き出して他の宿主となるセミを探します。 ちなみに表面にうっすらと白く見えるのは子嚢殻から飛び出した子嚢胞子です。

ちなみにこの子実体、凄まじい大きさです。結実部を見れば良く分かると思います。 基本的に子嚢殻は密度が変わらないので、子嚢殻が沢山写っているほど大型の子実体の証拠です。 今まで幾つも子実体を見てきましたが、ダントツで大きいですね。


■ 2019年04月27日 撮影

実況撮影中だったので断面写真はありませんが、綺麗に掘り出すことができました。 柄は黄色で表皮が裂けてだんだら模様になっていることが多いです。 柄は地下部でやや細まり、オレンジ色の細根状の菌糸が広がっています。 ただ基本的には直根状で頑丈な地下部を持ち、宿主のセミの幼虫の後頭部から発生しています。


■ 2019年04月27日 撮影

結実部を拡大してみました。表面に見えるつぶつぶが子嚢殻の先端です。 ここから子嚢胞子を噴出しますが、これだけ大型ならば飛散量も凄そうです。


■ 2019年04月27日 撮影

宿主を拡大してみました。非常に大型の宿主です、アブラゼミかな? 根のように菌糸が広がっているのが「菌感」があって良いですね。 外見はセミの幼虫ですが、内部は白い菌糸で満たされており、虫の組織は残っていません。 地中の幼虫は元々目が白いですが、この透明感の無さは・・・そう言うことでしょうね。

冬虫夏草の中には薬用になる物もありますが、本種は薬用価値無しです。 基本薬用価値がある冬虫夏草は鱗翅類に寄生するタイプのヤツですしね。 ただ虫草屋でなくとも発見が容易で発生量も多く、入門編としては最適種です。 もし野外で見付けたらチャレンジってことで掘ってみると面白いですよ?

■ 2017年04月30日 撮影

ずっと県外で発見した写真がTOPだったので、この時が念願の差し替えでした。 2014年に地元で一度発見していたのですが、その際は宿主に辿り着けずその時はソコで終了。 その後この場所を何度も探索したのですが一度も出会えませんでした。 しかし懲りずに通い詰めた結果、3年振りの再会を果たせました。


■ 2017年04月30日 撮影

発生場所は薄暗いスギ林で、この子実体以外にも数株発生を確認できました。 スギの葉が積もっていて探すのが結構大変なんですけど。


■ 2017年04月30日 撮影

慎重に断面を作成しました。と言っても本種はかなり掘りやすい部類。 地下部がかなり頑丈なので、多少荒っぽく掘っても切れないでしょう。 ただ細根状の分岐が多数出ているので、こちらはギロチンに注意。 本種は水捌けの良いパサパサした土が好きみな虫草みたいですね。


■ 2017年04月30日 撮影

宿主となるセミは様々で、一般的には大型のアブラゼミが多いようです。 今回は宿主がかなり小型なのでアブラゼミではないっぽいですね。 吹き出した菌糸は巣穴の壁面にまで達し、部分的に黄色を帯びます。


■ 2017年04月30日 撮影

帰宅後にクリーニングしてみたら胞子の飛散が始まったので焦って採取。 顕微鏡で観察しました。子嚢胞子は糸状で円筒形の二次胞子に分裂します。 加工して何とかここまで見れるようになりました。後の顕微鏡写真を見たほうが良いかと。

■ 2014年05月10日 撮影

地元でも発見していました。思えばこれが長い長い戦いの始まりでした。 この時は薄暗い森の中で発見したため不用意に掘ってあえなくギロチン。 その後本格的に虫草に興味を持ち探しますが・・・全く見付からない。 何度この場所を訪れても影も形も無い。そんな敗北が何年も続きました。

前述の通り本種はかなり一般的でどこでも見付かる初心者向けの種です。 しかし地元でセミタケやツブノ、ウメムラを見付けるも本種は見付からず。 あまりに見れないので地元には分布してないと言い聞かせていたホド。 そのため今回地元で見付けられたことはレア虫草発見より嬉しかったです。

■ 2014年04月13日 撮影

実は初発見は地元ではなく京都御苑で開催されている観察会でした。 この日の目玉キノコとも言うべき扱いで、参加者の注目の的でしたね。 ちなみに場所的に当然ながら許可を得ての断面作成です。


■ 2014年04月13日 撮影

掘ってみると下からアブラゼミの幼虫が出て来ました。嗚呼、哀れセミ。 柄は黄褐色で上部はやや白くなります。地下ではかなり細くなるようです。 そして言われて気付きましたが、これ一つの宿主から3本出てました。 人が多くじっくり撮影できず、ピンボケしてしまったのがちょっと残念かな?

■ 2014年04月13日 撮影

同日御苑観察会終盤。モクレンの樹下でキンカクキンを探していて発見。 キノコの少ないこの時期に鮮緑色の苔の中から生えていると目立ちますね。

■ 2015年04月11日 撮影

アネモネタマチャワンタケを探しに行った山の登山口近くで偶然発見です。 足元に気を取られて目線が下に行っていたので発見できたんだと思います。 画質が悪いのは実況撮影中で動画のキャプしか残っていなかったためです。


■ 2015年04月11日 撮影

随分小さいので掘るのは楽だと思って軽い気持ちで掘り始めましたが・・・。 いくらなんでも長すぎだろ!オオセミって結構ストローマ短いハズだぞ! てことで今から1000m登るってのにこんなことで労力を使ってしまいました。


■ 2015年04月11日 撮影

未成熟な結実部です。子嚢殻の先端部がほとんど飛び出していませんね。

■ 2016年04月30日 撮影

どろんこさん主催でいんたーさんと早春の冬虫夏草狩りオフに行きました。 中々虫草が見付からず肩を落としていた時にいんたーさんが発見です。


■ 2016年04月30日 撮影

結実部を思いっ切り拡大してみました。日差しが強くて色移りしてます。 本種の子嚢殻は典型的な埋生型で、先端が僅かに突出するだけです。 そう言えばシンプルなタンポ型のセミ生虫草って意外と居ないですよね。

■ 2017年03月04日 撮影

どろんこさん主催でガガンボさん木下さんの4人で春の虫草オフ実施です。 そこでの第一目標だった未熟なオオセミタケ、ガガさんが発見しました。 これどろんこさんが追培養目的であえて早い時期に探索したんですよね。


■ 2017年03月04日 撮影

目論見通りの幼菌発見。見た目にも若々しくて撮影が捗りますねぇ! 幼菌は地味であまり見付けられない種なので貴重な発見となりました。


■ 2017年03月04日 撮影

こちらはやや成熟した結実部。下方から子嚢殻が突出して来ています。 しかし流石に4月に見られる物と比べると結実部の色が淡いですね。 特に印象的なのは白い柄でしょうか。ここまで色合いが違うとは・・・。


■ 2017年03月04日 撮影

私が動画撮影し、どろんこさんが断面を作成。その後無事掘り取れました。 掘る前から小さいと話していましたが、宿主はツクツクボウシなのかな? 確かにここは夏場ツクツクボウシタケも居たので、可能性としては高いです。 今までの経験ではアブラゼミの幼虫から出る印象が強い種なんですけどね。

■ 2017年04月30日 撮影

地元発見で歓喜した後に訪れたマルミアリタケの坪。しかし発見はできず。 肩を落として帰りかけた時に車道の脇に見慣れない色の突起物を発見。 近寄ってすぐ結実部の色が淡いウスイロオオセミタケだと分かりました。

ただウスイロに関しては「品種(f.)」扱いの上に、単なる発育不良説も・・・。 実際結実部の色が淡いものの多くは地下部が長かったり分岐があったり。


■ 2017年04月30日 撮影

まぁ既にネタバレましたが断面作成超絶難しかったです。何なのさコレ。 真横に伸びている上に地下部が細く、しかもY字に分岐とか嫌がらせだよ! しかもここ車道脇なので礫が多く、スコップが通らないのがキツかった・・・。 でも無事に採集はできたので、持ち帰ってクリーニングすることにしました。


■ 2017年04月30日 撮影

掘り採った状態がコチラ。かなりの大モノでしたね。ん?右に何か・・・。 実は隣接して別のが居ました。結実部の色の違いが良く分かります。


■ 2017年04月30日 撮影

帰宅後にクリーニングして白バック撮影。うーん、やっぱり迫力あります! やはり和名に「オオ」と付くだけあって純粋にボリュームがありますから。


■ 2017年04月30日 撮影

オマケで真っすぐ伸ばして黒バック背景で撮影。黒背景も映えますねぇ。


■ 2017年04月30日 撮影

宿主は立派なアブラゼミの幼虫。ここまで育って殺されてしまうなんて・・・。 他のセミ生もそうですが、菌糸は頭部から腹部にかけて多く見られます。 子実体発生がほぼほぼ頭部なのは単純に地下で上を向いているからかと。


■ 2017年04月30日 撮影

子実体拡大です。柄は太く淡黄褐色。表面はややササクレ立っています。 柄の上方は色が淡く、地面との境界付近は黄色を通り越して赤みを帯びます。


■ 2017年04月30日 撮影

結実部拡大。ウスイロオオセミタケタイプなのでかなり色が淡いですね。 細かな粒一つ一つが子嚢殻です。この中に子嚢胞子が入っています。 結実部の縁部を見ると子嚢殻に透明感があるのが良く分かると思います。 これはウスイロならではで、赤褐色のものではここまで綺麗に見えません。

■ 2017年04月30日 撮影

ちなみに手に乗せている写真の端に写っていたのはコイツ。かなり大型です。 この特徴的な結実部の色・・・これがオオセミの本来のカラーリングですね。


■ 2017年04月30日 撮影

実は隣にも居たりして。と言うか掘ったら同一宿主から出ていました。 立派だったので宿主の頭だけ確認して埋め戻しました。子孫繁栄を願って。 でもそれ言っちゃうとセミの方は子孫残せなくなっちゃうんですけどね・・・。

■ 2017年05月04日 撮影

実況動画で掘ったヤツです。実はこれ再封印後に撮影したものなんです。 まぁぶっちゃけ掘る前に撮影するの忘れてたんですよ。本当に申し訳無い。 今年は地元で安定した坪を発見することができました。大切にしたいですね。

■ 2017年05月14日 撮影

4月30日に訪れた場所を再度訪れてみました。するとあるわあるわ! 道すがらボコボコ出ていました。これは実況を録るしか無いですね。 でも普通に録っても面白くないし、ここは少し趣向を変えてみよう。


■ 2017年05月14日 撮影

と言うこと胞子飛散動画を撮影してみました。ただただ1分半、ありのままを記録しています。 このように胞子が飛んでいるんだと言うのが伝われば、と思います。 実況動画としても投稿していますが、結構ハッキリと胞子が飛ぶんだなと感じるのではないでしょうか?

■ 2017年05月14日 撮影

見れるとは思いませんでした。オオセミの品種ツツナガオオセミタケです。 ウスイロオオセミタケ同様あくまでも品種。奇形レベルかも知れません。 ちなみにコイツも撮影中にバンバン胞子を飛ばしていて面白かったです。


■ 2017年05月14日 撮影

名前からも分かりますがツツナガの意味は見たまんま結実部が長いこと。 とは言っても本種の結実部の形状にはかなり個体差があるんですよね。 なので一応分けられてはいますが、ここでは同種として紹介します。

■ 2017年05月14日 撮影

かなりしっかりした子実体を発見!ちなみに車道から30cmの場所です。


■ 2017年05月14日 撮影

この黒背景写真ですが、実は採取せずに野外で工夫して撮影してます。 背後に黒い物を少し離して置き、手前だけにライトを上から当てています。 こうするとデジカメは手前にステ振りするので背景が真っ黒になります。


■ 2017年05月14日 撮影

野外では自然光の手助けもあるのでかなり光量の強い写真が撮れますね。 こうして見ると子嚢殻の透明感が良く分かります。魚卵みたいですね。 でもこれ見る人によっては完全にグロ画像ですね。閲覧注意だったかな?

■ 2018年03月31日 撮影

昨年発見したフィールド、今年もしっかりと発生してくれていました。 ただ昨年よりも数が少ないかな?雨の少なさが影響しているのかも。


■ 2018年03月31日 撮影

見付けられたのはこの1株だけ。しかしスタイル的には申し分ない子実体。 被写体的には結実部が球形に近ければ近いほど撮る側としちゃ嬉しいです。 掘ってクサアブタンポタケか確認したかったですが実況撮影中で断念。

■ 2018年06月09日 撮影

木下さんとのアマミカイキタンポタケ捜索オフにて帰り際に発見した冬虫夏草。 オオセミタケにしては時期が遅く、もしかするとクサアブタンポタケではないかと推測。 そのため無理して翌週も見に行ったのですが、普通に地下にセミが居ました。残念。


■ 2018年06月09日 撮影

雰囲気が随分と違いますが、これが時期外れの結実部の形成不全のようですね。 クサアブタンポタケじゃなかったのは残念でしたが、ちょっと嬉しい発見でもありました。


■ 2018年06月09日 撮影

それは子嚢胞子が観察できたこと。以前撮影していますが、この時は旧顕微鏡のため画質が非常に悪かったのです。 子嚢胞子は糸状で長さは600μm前後。数えてみると図鑑通り64個の二次胞子に分裂します。 子嚢胞子がメチャクチャ長いので複数の写真を深度合成した上で連結しました。


■ 2018年06月09日 撮影

二次胞子を拡大です。両端に油球があるのが特徴です。


■ 2018年06月09日 撮影

二次胞子は約9μmで5.8〜11.6μmの記述の範囲内ですね。 クサアブタンポタケは両端に油球を持った上でこのほぼ倍の長さがあるため、やはり別種と考えられます。 過去の顕微鏡写真は今回と比べると非常に画質が悪いですが、記念に残しておきます。

■ 2019年04月06日 撮影

アメジストの詐欺師氏がオフ会にて発見しました。冬虫夏草と言うより虫側から気付いたそうです。 もう彼がキノコ屋から虫屋の世界に旅立ってしまった感が否めませんが、これはファインプレーと言わざるを得ない。


■ 2019年04月06日 撮影

この子実体、何と宿主のアブラゼミの幼虫が地上に露出しています。 ネット等で写真を調べると分かりますが、本種は宿主が比較的地表から深い場所に居ることが多いです。 恐らくこれも斜面が崩れて露出したものと思われます。

■ 2019年04月27日 撮影

実況撮影でいつも通っているオオセミの発生地を訪れてみました。 以前発生していたポイントを探してみても中々見付かりません。 辛うじて見付かったのはウスイロだけ・・・ガッカリしかけましたが、ここからが本番でした。

■ 2019年04月27日 撮影

何と30株以上のオオセミパラダイスに遭遇しました。TOPの大型子実体もその中の1つです。 足の踏み場がないと言うのが誇張ではなく、ホントに気を付けて歩かないと気付かずに踏んじゃうレベル。

■ 2019年04月27日 撮影

フタマタオオセミタケとでも呼ぼうかな?揶揄です。

■ 2019年04月27日 撮影

で、これがツツナガオオセミタケですね。正直個人的には個体差レベルとの認識です。 中間的な結実部を持つ子実体も少なくありません。 ちなみに横から見ると黄色い柄が目立つのですが、上からだと意外と気付けません。

■ 2019年04月27日 撮影

一番見付けやすいのが強い光が当たっている場所です。 結実部に光沢があるため反射で気付けることが多いです。 にしてもここまで幹の際に出ているのは珍しいかな? 普通は幹を中心に半径1m前後くらいに出ている印象なんですけど。

■ 2019年04月27日 撮影

かなり大きな子実体なのですが、成長不良を起こしたようで結実部が奇形になっています。 柄が裂けてしまったのが原因でしょうか?そのせいで子嚢殻が一部裸生になってます。

■ 2019年04月27日 撮影

今回の発生密度の高さを物語る写真が撮れました。 隣接しているものは同一宿主から出ている場合がありますが、これは明らかに別個体。 しかもこれ2株ともちょっと面白かったです。


■ 2019年04月27日 撮影

まずは柄を何者かに齧られた手前の子実体。 結実部が中途半端にツツナガな典型的な中間個体です。 以前見付けたものもそうでしたが、こう言う子実体は結実部と柄の境界がナナメになっていますね。


■ 2019年04月27日 撮影

面白かったのがこの子実体。結実部がパーンしていました。 何がどうなればこんな状態になるのか分かりませんが、可能性としては過熟でしょうか? 浮いてしまっている結実部表層も健在のようです。・・・エイリアンの卵かな?

■ 2019年04月27日 撮影

凄く良い雰囲気だったので思わず撮影。天然のスポットライト構図です。 大型キノコでは良くある自然の悪戯ですが、小型の冬虫夏草では貴重な一瞬ですね。 とりあえずこの日は数年分のオオセミ成分を摂取できた気がします。

■ 2019年12月29日 撮影

恐らく最も遅い時期に・・・いや、最も早い時期に発見したオオセミでしょう。 2019年忘年地下生菌オフにて発見しました。翌年の春に成熟する子実体だと思われます。 幼菌については2017年春に同じ場所で行ったオフにて発見しています。 しかしそれよりも更に若い子実体は何気に珍しいのではないでしょうか?

■ 2020年03月15日 撮影

新型コロナウイルス騒動が本格化し、あまり外に出歩く気が起きなくなって来た頃。 でもオオセミタケには会いたい!ってことで近所なのでササッと見に行ってみました。 前年ほどの大発生ではありませんが、それでも安定して出ているのは流石です。

■ 2020年03月15日 撮影

発生数は昨年ほどではありませんが、見応えのある大型の子実体が多くて、僕満足! 良く見ると結実部表面をマルトビムシが歩いていました。 種までは分かりませんがこの赤いマルトビは春のキノコに良く群がっています。 宿主特異性があって命拾いしたなぁオマエ。

■ 2021年03月14日 撮影

1年振りの出会いはまさかの新発生地!と言うかスギ黒点枝枯病菌のフィールドでした。 黒点さんもキチャワンタケ類似種も無くて肩を落としていたら、まさかのオオセミでビックリしましたよ。 少し前までは「地元には無い」と言っていたと言うのに・・・。


■ 2021年03月14日 撮影

ただこの子実体、時期的なものもあるのでしょうが、普段見るものよりかなり小さかったです。 今年は季節が変な感じだったので、大きくなれずにそのまま成熟したのかも知れませんね。


■ 2021年03月14日 撮影

一応掘ってみましたが、最初から埋め戻す予定だったので断面作成はここまで。 宿主はアブラゼミの幼虫かな?この後埋め戻して綺麗にしておきました。 本種の属名が変更になったのは分生子形成細胞の構造の違いによるもの。 以前から気になっていましたが、地下の根状菌糸表面にアナモルフが出来るそうです。 今回は時間が無くて断念したので、いつかはチェックしないとですね。

■ 2021年04月11日 撮影

春の子嚢菌類オフにてgajin氏とすず姉氏をお招きしたいつものフィールド。 昨年に比べて発生量は控え目でしたが、それでも綺麗な子実体を見付けることができました。 以前から言われていますが、本種を含むセミ生冬虫夏草は何かしらの発生周期がある気がしています。


■ 2021年04月11日 撮影

綺麗なコンビだったのでマクロ撮影。流石に掘り採りや断面作成はできませんでした。 この見た目だと多分同一宿主から出ているのでしょうが、たまにこんな感じで別の宿主からそれぞれが出てたりするので侮れません。

■ 2021年04月11日 撮影

すず姉氏が発見したオオセミタケ。立派でしたが結実部が生育不良のようでいびつな形状に。 発見者のすず姉氏が心配しておられましたが、ルーペで見るとしっかりと結実していましたよ。 上の方にもありますが、本種は結構こんな感じの結実部の奇形が見付かります。

■ 2022年04月03日 撮影

今年は年度始めが非常に多忙で中々オオセミタケが発生する安定の坪に足を運べませんでした。 しかし道端だからといつも立ち寄っているツバキキンカクチャワンタケの脇にチョロッと出ていました。 結局2022年中に見れた子実体はこれ1個だけだったかな?

■ 2023年04月09日 撮影

毎年オオセミが沢山発生するフィールドを訪れるもボウズ。 心配になってその翌週に再訪問すると、無事見付けることができました。 心配させんじゃないよホント・・・。


■ 2023年04月09日 撮影

実は数日後に冬虫夏草を案内する予定があったため、この場所も候補に入れていました。 ただ他に見れる種が無いので却下。最盛期だと良い感じなんですけどね。 一応断面作成の練習と言うことで掘ってみました。 クサアブタンポタケ発見報告を耳にしていたので念のため、ってのもありますけど。

■ 2023年04月16日 撮影

長らく訪れていなかったフィールドへ。目的はアミガサタケでしたが期せずして遭遇。 とても状態が良かったです。珍しく比較的鬱蒼とした森の斜面に顔を出していました。 本種は開けた林道脇の平らな場所で良く見る印象なのでワリと新鮮さがあるかも?


■ 2023年04月16日 撮影

発生場所が変わっていたのでひょっとしてクサアブ?と思いつつ、 この色はどう見てもオオセミだろと思いながら断面作成。 最初に太いオレンジ色の地下部が見えて「まさか?」と思いました。 そうそう良い話は転がっていませんでしたが、この地下部もまた新鮮なような?

■ 2023年04月18日 撮影

この日は白水氏御一行を冬虫夏草のフィールドへご案内。 先日の下見でオオセミタケのフィールドはあまり良くないと選択肢から除外。 菌生冬虫夏草が多いフィールドを選択したのですが、やっぱ昆虫生種を見たいよなーとは思っていました。 しかし同行者さんの1人が「これ何ですか?」と指差した先にまさかのオオセミ! しかもいわゆるツツナガタイプです。 捜索開始2〜3分の発見に白水氏に「osoさんヤラセでしょコレ!」と疑われる始末。

ちなみに掘り取りにチャレンジして頂きましたが、見事に冬虫夏草の洗礼を浴びておられました。 そこも含めて計画通りではあるんですけどね♪

■ 2023年05月03日 撮影

GW初日にいきなりしんや氏と冬虫夏草オフ! 狙いはマルミアリタケだったのですが、アッサリ見付かったので自分はすぐ近くでオオセミ撮影。 正直今まで見過ぎて写真枚数がとんでもないことになってるんですが、悔しい・・・でも撮っちゃう・・・。 良い感じに後光が差していたので自然と良い色合いに写りました。

■ 2023年05月03日 撮影

笑っちゃうほど大きかった子実体。今まで見て来た中でも上位に入るサイズです。 柄がスパイラルしてるのも良い感じですね。

■ 2024年03月30日 撮影

発見RTA記録更新です。左の側溝脇に車を停めて、ドアを開けて2秒で視界に入りました。 オオセミの魅力は何と言ってもこの身近さですよね。ヒトの生活圏に近い冬虫夏草だと思います。

■ 2024年03月30日 撮影

上の子実体は若干奇形気味でしたが、すぐ近くにキレイな形状の別個体を発見。 このフィールドは狭い範囲に大発生はしないものの、 かなりの広範囲に点々と発生していることが分かりました。 春の菌生冬虫夏草の聖地だと思っていましたが、本種やオイラセなどワリと他の種も優秀ですね。 あとこの子実体はワリと黄色いので、一瞬クサアブタンポタケかと思いました。


■ 2024年03月30日 撮影

試しに掘ってみましたが、地面の下がすぐに曲がりくねっていて、オオセミだとすぐ分かりましたね。 掘り進めると地下部がぐるりと回って地下の宿主に繋がっていました。 ただこの日は採取予定は無かったのでそのまま埋め戻して終了。

■ 2024年04月07日 撮影

いつものオオセミポイントを訪れました。前月末にクサアブタンポタケを観察しており、 その後初のオオセミ遭遇です。ただこの段階ではまだクサアブタンポタケが胞子を吹いておらず、 オオセミタケも顕微鏡観察が必要だったことに気付いていませんでした・・・。 この日は先週訪れた際には見付けられなかった新規子実体を複数発見!

■ 2024年04月07日 撮影

何も考えずに撮影したら左端に葉っぱが映り込む失敗写真になっちゃいました。 その後色々あってこの子実体を採取することになるので、2つ以上の意味で失敗ですわ。 位置的に1つの宿主から出てそうだな〜と思って掘ってみると・・・。


■ 2024年04月07日 撮影

宿主がメチャクチャ浅い場所に居て断面作製が超簡単でした。 ただ段階では採取する予定は無かったので、埋め戻しました。 ちなみに白く濁った複眼部に土の粒が乗ってこっち見んな状態ですね。


■ 2024年04月14日 撮影

4月7日にフィールドから帰宅すると追培養していたクサアブタンポタケが胞子を吹いていました。 そこで無事子嚢胞子を観察できたのですが、オオセミタケと比較しようとしてビックリ。 何と綺麗な子嚢胞子の写真も無いし、しかもアナモルフの観察もしていないではないか! そこで1週間前に観察していたこの子実体を再度掘り直して採取しました。 日付が進んでいるのはそのためです。


■ 2024年04月14日 撮影

宿主から結実部までを1枚に納めてみました。この宿主から湧き出すような地下部が堪りませんね。 今回は今まで全然観察してこなかった根状のアナモルフもしっかり観察。


■ 2024年04月14日 撮影

てことで目的の子嚢胞子の観察も成功しましたが、ぶっちゃけメッチャ苦戦しました。 と言うのも本種の子嚢胞子は糸状なのですが、超分裂しやすいんです。 ルーペで胞子を見てから顕微鏡観察しても、水封時の衝撃でバラバラになっちゃいます。 辛うじて成功した完全な子嚢胞子ですが、長さは580〜680μmと記載より若干長いかな? 注目すべきは分裂数で、最大64個の二時胞子に分裂します。 クサアブタンポタケは32個にしか分裂せず、やっぱり別種なんだなと納得しました。 また両端の胞子は弾丸型になりますが、他の種に比べてあまり尖りません。


■ 2024年04月14日 撮影

二時胞子は円筒形で両端に油球様内包物が存在します。


■ 2024年04月14日 撮影

アナモルフも観察してみました。根状のアナモルフの表面を観察してみると、 先端が尖った分生子形成細胞が確認できました。この尖った先に分生子が作られます。 この形状がOphiocordyceps属のソレとは異なるため、Paraisaria属に移動しました。 またオオセミタケの分生子形成細胞は先端が分岐することがあるのが特徴です。


■ 2024年04月14日 撮影

恐らくこれが本種の分生子だと思います。論文でも似た写真がありましたし。 形状は楕円形でクサアブタンポタケより短いですね。

■ 2024年04月14日 撮影

未熟だった頃から定点観察していた非常に立派なデュアル子実体です。 恐らく位置的に1つの宿主から出てるだろうなと予想していました。 ただ後述しますが残念ながらこの子実体ズの採取は断念しました。


■ 2024年04月14日 撮影

凄い立派な子実体だったので拡大して撮影。結実部がちょっと縦長ですね。 ツツナガオオセミタケと呼ばれることもありますが、多分個体差レベルで同種でしょうね。


■ 2024年04月14日 撮影

断面作製に挑んでみると地表付近にアナモルフが発達していて求めていた状態ではあったんですが、 残念なことに写真手前に太い木の根があって綺麗な断面を作成できず、 加えて宿主の周囲に細かい根が集中していて掘り取りは断念、埋め戻しました。 とても良い状態の地下部だっただけにちょっと残念・・・。

■ 2024年04月14日 撮影

目標のサンプル採取もできましたので、残った時間で周囲を探索すると、また新規発生を発見。 この場所は本当に安定して本種を見ることができ、探索もしやすい場所なので助かります。 今後も大事にして行きたいフィールドですね。
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