■Pholiota adiposa (ヌメリスギタケ)

■ 2020年11月14日 撮影

初発見は2007年のとある深山。まだキノコ初心者の自分は食菌の大群生に出会い大盛り上がり! しかしその後、材の流失やヤマビルの存在発覚により、そのフィールドから足が遠のきました。 以後は小規模な発生ばかりでしたが、今回素晴らしい大群生地を地元にて発見できました。 広葉樹の倒木に群生を作っていました。種小名「Pholiota」はナメコと同じ。 モエギタケ科スギタケ属のナメコの近縁種「滑杉茸」です。

似た種にヌメリスギタケモドキが存在しますが、ずっと大型になるので区別は容易です。 いっつもフウセンタケ属のヌメリササタケとどっちだったっけ?と迷ってしまうのは秘密ですからね。


■ 2020年11月03日 撮影

このフィールドの発見は11日前。幼菌を見付けた時は狂喜乱舞しましたよ。 今まで地元では多くて3本程度の発生しか見ていなかったので・・・。


■ 2020年11月03日 撮影

幼菌はいかにもスギタケ属だなぁと言う尖った鱗片に覆われた特徴的な姿。 しかし普段見慣れたスギタケ属菌とは異なり、傘に強烈なぬめりがあります。 ナメコも発生最初期は鱗片の名残が見られるあたり、かなり近い種なんだと分かりますね。


■ 2020年11月14日 撮影

時は進んでTOP写真と同じ日。11日でここまで立派に成長しました。 老成もしておらず理想的なコンディションです。


■ 2020年11月14日 撮影

傘は黄褐色で傘中央部が濃色となり、逆に傘の縁部は明るい色になります。 そして何と言っても本種らしさはこのぬめりと鱗片の両方が傘の表面に見られることです。 低地で見かけるスギタケにそのまま粘性を足したかのような独特な見た目ですよ。


■ 2020年11月14日 撮影

あまりにも綺麗な子実体なのでオマケで全体像を載せつつ解説します。 スギタケ属菌は傘の周囲に鱗片が垂れ下がる種が結構居ますが、本種も例外ではありません。 本種は幼菌時に白い綿毛状のつばが存在します。 成長とともに破れたつば傘の周囲に垂れ下がります。


■ 2020年11月14日 撮影

ひっくり返してみました。こうして見るとスギタケに似てますね。


■ 2020年11月14日 撮影

てことでひだと柄です。ひだは最初は白っぽいですが、成長するとさび褐色になります。 綿毛状のつばは柄の上部にしっかり残り、つばから下は傘と同様に鱗片で覆われます。 柄には粘性はあるものの、ナメコとは異なりあまり強くありません。

ハッキリ言って極めて美味な食菌です。 収量も見込めるので秋のキノコ狩りでは主役を張れるポテンシャルの持ち主。 ナメコに比べるとアッサリした風味ですが、味も香りもやっぱりナメコ似。 ぬめりを活かした汁物や鍋が最高で、この日は久し振りにキノコ鍋に入れました。 個人的にはこの爽やかな風味と程良いぬめりはナメコよりも好きかも知れません。

■ 2007年11月09日 撮影

山を抜け開けた場所に出た時、遠くから分かりました。 この時が初発見でしたが、この頃はまだ地元の公園とかがメインの狩場でした。 そこで実質初とも言える深山探索だったので、感動もまたひとしおでした。


■ 2007年11月09日 撮影

ひだは明るい褐色ですが、成長と共に褐色が強くなります。 柄は傘と同色、表面はかなり繊維質で、ササクレがビッシリ。 この辺はナメコとはかなり雰囲気が違いますね。

■ 2007年11月09日 撮影

ナメコもそうですが、本種も幼菌が可愛いですね。 傘の周囲の鱗片が白く見えるので、まるで花のように見えます。 ナメコ的にはこれくらいで食べるのが美味しいんでしょうけど、こんなの可愛くて採れないよ!


■ 2007年11月09日 撮影

幼菌が成菌とかなり雰囲気が違って驚いたのを覚えています。 表面を触ってみると鱗片に邪魔されてあまりぬめってる感じがしません。

■ 2007年11月09日 撮影

だーいぐーんせーい♪大群生ですよ!大収穫ですよ!壮観ですよ! 一番左の傘に虫がくっ付いて死んでますね。天然の鳥もちです。 この日は幾つか採取して持ち帰り、鍋にして頂きましたが、美味しかったですね。 味的には野性味のあるナメコって感じで、味にも香りもナメコっぽさが感じられました。

■ 2007年11月09日 撮影

とても綺麗な個体を発見!何だろうこれ、萌えってやつなんでしょうか? ちなみにこのササクレが食べた時に痛そうだと思ったそこのアナタ! 実は傘のササクレも柄のササクレも軟らかいんですよ。 しかも柄のササクレ部も見た目には分かりませんが、多少ですがヌメリがあります。

■ 2007年11月09日 撮影

立ち枯れの上から下までビッシリ生えてました。 写真はその一部で、もう全部食えっつったって無理なくらいの発生量です。 惜しむらくは下が絶壁なことがねぇ・・・流石に滑落の危険性を抱えて身を乗り出す度胸は無いです。

■ 2008年05月04日 撮影

カメラの調子が悪くて色がバグってたので、色調補正してなんとか載せれる状態にしました。 以前と同じ倒木です。発生は秋がデフォですがにも発生します。 食べたかったけど、ちょっと古かったかなー。褐変して来てるし・・・。

■ 2010年11月09日 撮影

以前大発生を発見した山はヤマビルの発生が増えて足が遠のいていました。 もう見れないのかと思っていた矢先、なんと近所で発見しました。 群生とまでは行きませんでしたが、立派な個体を発見。


■ 2010年11月09日 撮影

見覚えのあるササクレとぬめりが両立している不思議な傘です。 ホントは食べたかったんですけど一株だけだったし、そっとしときました。

■ 2012年11月08日 撮影

10月27日の渓谷探索で期待していたのに見れず、落胆してから数日後・・・。 また近所で発見しました。しかも前回とはかなり離れた場所です。 珍しい種だと思ってたんですが、私が思っているより身近なキノコなのかも。 お持ち帰りして頂きましたが、やはり味も香りもナメコ似でホント美味しい♪ ちなみにこの場所での発見が後の大群生発見に繋がりました。

■ 2020年11月03日 撮影

2012年以降実に8年間発見無しと言う絶望的な状況が続いていました。 もう存在を忘れかけていましたが、2012年に発見した場所へ向かう道中で発見! 走行中の車内から頭上に異様な姿があることに気付きました。 ここで周囲に居るんじゃないかと探したのが大正解でしたね。 近くで撮りたかったけど・・・10m以上上だしなぁ・・・。

■ 2020年11月14日 撮影

しかし↑の発見がキッカケとなり安定した発生に出会うことができました。嬉しい! ひっさびさに食べたキノコ鍋はこの日見付けた本種とクリタケ、ヒラタケ満載の超贅沢! 幸せでしたぁ〜♪今後も安定して発生して欲しいですし、そう努力する所存。

■ 2021年11月27日 撮影

昨年は地元で大発生に出会った本種ですが、翌年訪れてみたらちょっと残念な結果に。 発見できたのは株立ちが数えられる程度。食用にできるほどの量は見られませんでした。 辛うじて撮影に耐え得るのはコレくらいでしょうか?

■ 2023年11月03日 撮影

2022年は発生が見られなかった地元フィールドにリベンジ訪問。 以前発生していた場所はボウズでしたが、少し離れた別の場所で見付かりました。 ただ背景の材の切断面に平面的に針を下ろしたサガリハリタケに意識持ってかれました。

■ 2023年11月03日 撮影

すぐ近くの倒木にもっと良い感じの束生があったのでパシャリ。 後ろに見えている赤茶色の傘はキノコ食中毒御三家のツキヨタケです。 やっぱりブナ材は発生するキノコが多様で魅力的ですよね。
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