★Pholiota microspora (ナメコ)

■ 2021年11月27日 撮影

遠いフィールドでしか見たことが無かったのですが、まさかの地元発見で大興奮。 遠くからでも群生が見えたので小躍りしちゃいましたよ。 晩秋から冬にかけてブナやミズナラなどのブナ科広葉樹の朽ち木に発生する著名菌「滑子」です。 強烈なぬめりと爽やかな風味から、日本では人気No.1クラスと言って差し支えないでしょう。 ちなみに種小名は見たまんまですが「小さい胞子の」と言う意味です。滑りはどこへ・・・。

以前は種小名がマツタケ的な感じで「nameko」でしたが、海外のものと同種とされました。 命名規則から先に認められた学名が優先されるので、ちょっと残念ですが致し方無し。 海外ではこのぬめりはあまり好まれないみたいですね。 まぁぬめりがある食品なら私もあまり好きではないんですけどね!


■ 2021年11月27日 撮影

スーパーでも見慣れているので言うまでもないですが、傘は黄褐色で強烈なぬめりに覆われています。 傘に粘性があるキノコと言えばヌメリイグチやアミタケなど、普段から見慣れています。 しかしナメコの粘性は別次元で、傘そのものが厚いゼラチン質で覆われているレベルです。


■ 2021年11月27日 撮影

拡大するとこんな感じ。傘中央部ほど濃色です。 市販品はここまで傘が開く前に店頭に並ぶので、この状態の傘は意外と馴染みが無いですよね。 年生はベタベタすると言うものではなく、ずるずるすると言う滑らかな粘性です。


■ 2021年11月27日 撮影

裏返してみました。ひだは若い時は白色ですが、胞子が形成されるとさび色になります。 そもそも白色の頃はひだはゼラチン質の膜に覆われていて見えませんけどね。 ハナイグチやキノボリイグチのような感じの粘液質の膜で、後にやぶれてつばとして柄に残ります。 つばより下は傘と同様にゼラチン質に覆われており、乾くとだんだら模様になります。 この感じは確かにスギタケ属菌っぽいですね。

まぁ言うまでもなく超美味な食菌。やっぱり汁物との相性抜群です。 ナメコ汁が一番オススメかな?鍋に入れても良いけど汁が全体的にヌルヌルになりますし。 あと野生ならではの楽しみ方としては、やっぱり焼きナメコでしょうか。 傘を裏返して醤油をひだに垂らして頂く。大きい傘じゃないとできない贅沢ですよ。

■ 2016年11月19日 撮影

実はずっと野生化した栽培品しか見たことが無くモヤモヤしていました。 このたび遂に青fungi氏主催のオフ会にて完全野生に出会うことができました。 しかもミズナラの立ち枯れに大発生!憧れていた光景でしたね。


■ 2016年11月19日 撮影

市販のナメコは傘が開く前のものなので、この姿はかなり新鮮ですね。 ひだは灰色からさび色に。柄は太くつばより上は白く、下は黄色です。 これくらいのサイズなら汁物も良いですが、傘を焼いても美味しいですよ。

■ 2016年11月19日 撮影

これは見たことあるって方が多そうですね。典型的なナメコの幼菌です。 でもやっぱスーパーで見るものよりも傘の色が明らかに濃色ですね。

■ 2016年11月19日 撮影

小規模ながら美しい群生。本種最大の特徴である傘のぬめりが美しい!


■ 2016年11月19日 撮影

本種の傘は最初茶褐色ですが周辺部は淡く、やがて全体が淡くなります。 厚い粘膜が覆うのは幼菌時の話で、大きく開いた傘はペトペトしています。


■ 2016年11月19日 撮影

ナメコを見たなら観察すべきは裏側。この世にも珍しいゼラチン質のつば。 本種のつばは軟質で幼菌時は膜状になってひだを完全に覆い隠しています。 傘が大きく開くと引きちぎられて萎み、柄にへばり付く形で残ります。 感じ的にはハナイグチのソレに近いですが、本種はより粘液質ですかね?

■ 2016年11月19日 撮影

実はこのフィールドで最初に発見したのはアスファルト上の落枝の上。 車で走っている際に発生に気付き、徒歩で戻ってみるとナメコでした。

■ 2016年11月19日 撮影

意外に知られてない本種の特徴。この幼菌、何かヘンじゃないですか? 傘の表面に木屑が付いている?いえいえ、これがその特徴なんですよー。


■ 2016年11月19日 撮影

拡大してみるとゴミじゃないのが分かります。そう、これ何と鱗片なんです。 本種の属名は「Pholiota」。スギタケ属です。もうお分かりですよね? 同属菌のナメコにも幼菌時のみスギタケ様の鱗片が見られるのですよ。 この鱗片が見られるのは最初期のみ。野生観察でしか味わえぬ魅力です。

■ 2016年11月19日 撮影

コチラも小規模ながら最もテカっていた子実体。何と言う愛らしさか・・・。 このぬめりは低温ほど良く出るみたいです。冷え込みを感じる一枚です。

■ 2018年12月29日 撮影

年末の地下生菌オフにて予期せぬ出会いとなりました。 発見者はK.Y氏ですが、その前から他の人も前をスルーしていました。 乾燥して傘の質感が変化していたため、裏側を確認してやっとナメコだと気付きました。 ちなみにアメジストの詐欺師氏が食べました。美味しかったそうです。そりゃそうだ。 雪をかぶった姿は風情がありますね。

■ 2021年11月27日 撮影

遠方でしか見たことが無かったので、この日見付けた群生がTOP写真となりました。 このねっとりしたつばの破れ方・・・これがしっかりと見たかったんですよね。 そして何よりもこれだけの数があるのですから、当然ながら食べましたよ。 ぬめりもですが、味と香りが普通に良いですよね。 ネバネバした食材はあまり得意ではないのですが、何だかんだナメコは美味しいです。

■ 2021年12月18日 撮影

遠征で雪を被った幼菌に遭遇しました。 大群生ではありませんが、こう言うのも風情があって良いですよね。 傘のゼラチン質も凍って硬くなっているようです。
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