■Pleurocybella porrigens (スギヒラタケ)

■ 2019年10月20日 撮影

林道を歩いていて発見。その名の通りスギの古い切り株に多数群生していました。 この日は青fungi氏とのブナ林帯探索だったのですが、あまりに綺麗な発生だったので本格的に撮影。 スギの腐朽材に生える白いヒラタケのようなキノコだから「杉平茸」です。 苔生すほど古いスギの朽木に生えることが多く、コケの緑とのコントラストが非常に美しい! 2004年に新聞ニュースを騒がせたのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

和名にヒラタケと入っていますがヒラタケ属ではありませんし、遺伝子的にも縁遠いです。 と言うか現状では所属科未決定スギヒラタケ属となっているみたいですね。 スギ林ではどこでも見れると言うワケではなく、ある程度年数の経った人工林が狙い目です。


■ 2019年10月20日 撮影

子実体は和名にもあるようにヒラタケ型で、全体的に白色〜クリーム色。多汁重なって発生します。 本種が良く発生するのは湿度の高いスギ林内であり、周囲は暗色の腐植と苔生した切り株や倒木が多いです。 そのため白い本種が発生していたら遠くに生えていてもすぐに気付けます。


■ 2019年10月20日 撮影

傘の表面は少し粉を吹いたような質感で粘性はナシ。 傘の基部には産毛のようなものが生えています。 本種を見ていると「上品さ」を感じますね。


■ 2019年10月20日 撮影

裏返してみると傘の産毛は基部全体に生えていることが分かります。 注目すべきは薄い傘緻密なひだです。 傘は成長しきった子実体だと光が透けているのが分かるほど薄いです。 当然ひだにも厚みが無く、その上で密なので凝縮感があります。

2004年に本種を食べたことによる死亡事故が発生し、TVでもニュースが流れました。 そのためその後の図鑑では本種は毒キノコとして扱われています。 ただ本種は古くから全国で食べられてきたキノコで、私自身食べている人を知っています。 現在は肝臓などの特定の内臓疾患を持つ人が食すと致命的症状を起こす可能性が指摘されています。 だからと言って自分は大丈夫だなどと思わないように。慎重に・・・。

■ 2007年10月13日 撮影

初発見は秋のキノコ狩りで渓谷を訪れた時でした。 本来はその先の渓谷がメインだったのですが、初っ端の植林から美しい姿が見れました。 本種は緑との取り合わせが良いんですよねぇ。 このように若い子実体は傘が横に広がらずにへら形です。


■ 2007年10月13日 撮影

上のスギの立ち枯れの根にも子実体が発生していました。 どうやらこの立ち枯れの全体に菌糸が広がっているようです。


■ 2007年10月13日 撮影

裏返してみました。裏も真っ白なのでハレーションを起こして困りますね。 ひだは正確にはやや黄色みを帯びるようで、光に透かすと良く分かります。 基部にはまるで羽毛のような白色菌糸が・・・ダウンから漏れて来ますよねこう言うの。 あと図鑑では「香りは少ない」とありましたが、かなり強い爽やかなキノコ臭りがします。 個人的には好きなニオイですね。
■図鑑TOPへ戻る