★Pleurotus ostreatus (ヒラタケ)

■ 2020年11月14日 撮影

いつも訪れる林道下の沢筋に残る広葉樹の立ち枯れに今年も発生していました。 見た瞬間に本能が「食える」とお告げをくれるくらいにはスーパーでも見慣れた姿。 言わずと知れた和名「平茸」。ネタバレですが極めて美味な食菌として知られています。 海外で「オイスターマッシュルーム」と呼ばれているのも本種の食菌としての優秀さを示しています。 平安時代から文献に食用として登場し、縄文人も食していたのではないかと言う説もあります。 外見が酷似した種として、発生時期が早く傘の薄いウスヒラタケが存在します。

擬人化娘の名前でもある「ワカエ」は本種の代表的な地方名です。 非常に寒い時期、雪が降るような時期にも出ることから「カンタケ(寒茸)」とも呼ばれます。 地方名の多さは良い意味でも悪い意味でもヒトとの関わりが深い証拠ですからね。


■ 2013年11月13日 撮影

比較的高さのある場所に発生していたので裏表が写る角度で撮影できました。 傘は偏心生で扇形に開き、表面は平滑で濃淡に個体差はあれど灰褐色。 この個体はやや淡い色合いでしょう。ひだは密で白色。短い柄に対して垂生します。 撮影していてもハッキリ分かる爽やかなキノコ臭。う〜ん素晴らしい!

あとチラッと写っていますが、本種のひだには「Iotonckium ungulatum」と言う線虫が寄生することが多いです。 この線虫はナミトモナガキノコバエと言う昆虫が媒介することが知られており、 これによってヒラタケ白こぶ病と言うひだに白いこぶ状の組織が形成される症状が出ます。 線虫自体は別に害は無いですが、食用価値が下がってしまいます。中に線虫が居ると思うとまぁ・・・ねぇ・・・?

全国的に「シメジ」の名で広く栽培品が出回っている極めて美味な食菌です。 栽培品も十分美味しいですが、その味は野生のヒラタケには遠く及びません。 まぁこれはどの販売キノコでも当たり前のことなんですけどね。 炒め物、煮物、揚げ物、向かない料理は無いと言うほどの万能キノコなのです。 発生は晩秋。是非一度探して見て下さい。私も食べましたが素晴らしい風味です。

■ 2006年10月04日 撮影

初発見はキノコの趣味を始めた2006年。7月に初探索をしてから3ヶ月後のこと。 地元公園の巨大なエノキの切り株から発生していました。 周囲に材が見えないのは、埋もれている根から発生しているためです。

ちなみに2011年には材の腐朽が進み、発生は完全に止まりました。


■ 2006年10月04日 撮影

上から覗き込んでみると傘の色が薄いのが目に付きます。 傘の色にはかなりの個体差や発生環境による変化が多いようです。 また埋れ木から発生した場合はこのように中心生になることがあります。


■ 2006年10月04日 撮影

裏返そうとしてしゃがんだ時にどこかで嗅いだ覚えのある爽やかな香りが・・・。 スーパーの栽培ヒラタケは酸っぱい臭いが強く、良い匂いとは言えない感じ。 しかし今回見付けたモノはシメジ臭と酸い香りが見事に溶け込んで素晴らしい! んで、ひっくり返すとウスヒラより明らかに肉が厚く、柄も太いです。実に美味しそう! ひだが柄に対して長く垂生する点に注目ですね。

■ 2006年10月19日 撮影

大量発生も良いトコです。これは群生の一部。裏側にもワラワラと生えています。 ヒラタケは晩秋からの発生なので、時期的には今が旬。嬉しい秋の味覚です。


■ 2006年10月19日 撮影

幼菌と裏側を同時撮影です。ツキヨタケに似ていると言われますがそうでもないよねぇ・・・? 肉は極めて弾力があり軟らかく、柄につばは存在しません。それに全体的に白いですしね。 あと大きな特徴として本種の基部は極めて細かな白色菌糸で覆われています。

この株も採って食べました。虫が居ることが多いので洗った後は塩水に漬け置き。 本に従い大きい傘はチーズをかけてオーブンで焼きます。上にはパン粉を少々。 小さい傘はバターで炒めたモノをタルタルソースを付けて頂きます。
市販品でも十分美味しいですが、やはり天然の風味には敵いません。

■ 2006年10月25日 撮影

驚くほど大型の個体を発見。今まで見た中では最大サイズではなかろうか? 傘一枚が15cm超えてます。これだけ大きくなっても味も香りも良いです。

■ 2006年10月25日 撮影

ここはもうヒラタケの聖地ですね。採っても採っても後から生えて来ます。 でも朝見付けて夕方見てみたら2株とも採られていました。 恐らく地元の方と思われます。写真に残せただけでも良しとしましょう。

■ 2006年11月06日 撮影

採られてもそうそう無くなりゃしません。 晴れ間続きだと思っていましたが朝露で地面は結構湿ってるんですね。 しっかりとした肉質に成長していたので採取して頂きました。美味しかったです。


■ 2006年11月06日 撮影

↑で発見した子株の横です。幼菌がウジャウジャ生えてました。 この段階では傘はちゃんとしたキノコ型で、柄は傘の中心から出てます。 言われてみればシメジ系に似ていますね。誤名で出回るだけのことはある。

■ 2006年11月28日 撮影

見付けた時はもう狂喜乱舞の10cmオーバー! ここのヒラタケは木の幹じゃなく土に埋もれた枯木の根から発生します。 理由は簡単で幹が無いからです。公園なので倒れる恐れのある木は即伐採。 真下に同等のサイズの株がありましたが、それは胞子飛散用に採らずに放置。 この日の夕飯はアラゲキクラゲの酢の物と合わせて実に豪華な物となりました。

■ 2006年12月07日 撮影

近頃ここのヒラタケに異変が起きています。それがこの写真。 他は全く正常なのですが、ひだの所々にいぼが出来ているのです。 何か菌類か何かに寄生されているのかな?これは流石に食欲が失せる・・・。


■ 2006年12月15日 撮影

調べてみた所、これはヒラタケ白こぶ病と言ってセンチュウの仕業だそうです。 ナミトモナガキノコバエが媒介者となってセンチュウを運んでしまう模様。 人体に影響は無いっぽいですが、栽培化では商品価値が無くなるため致命的。

■ 2006年12月15日 撮影

久々の大当たり!直径15cmの今まででも最大級です。 どうやら細かな株に分かれていないため、この傘に養分が集中したようです。 幸い寄生菌に侵されていないのでひだが綺麗です。ちょっと離れてますしね。 でもここは今まで生えていなかった場所。胞子飛ばしてもらうために放置。 撮影していても分かるほどの強い香りだけを楽しんでその場を後にしました。

■ 2007年10月17日 撮影

去年はここにはあまり生えていなかったんですが・・・。 表皮とコケを突き破って幼菌が相当量発生しています。く・・・食いきれん! やはり市販とは違って威風堂々と言いますか、迫力を感じますね〜。 大量にあったので一塊採って味噌汁にしました。かぁ〜やっぱ美味い! 余談ですがこの切り株の周囲に来ただけで爽やかな芳香を感じました。

■ 2007年10月27日 撮影

でけぇ!久し振りに大収穫ですよ、来て良かった。 この頃から私自重を覚えまして、傘2枚だけ頂きましたが、その夜の鍋は十分に賑わいました。 ちょっと古くて粉臭はありましたが、天然のキノコらしい香りが。

■ 2007年11月17日 撮影

久し振りに良い状態のヒラタケ発見!成長を見守ります・・・。


■ 2007年11月23日 撮影

上の写真から5日後・・・。何ともまぁ立派な姿になってくれました。 人目に付く場所でしたが、幸い誰にも採取されることも無く成長。 黒っぽかった傘もスーパーで見慣れた灰褐色になっています。


■ 2007年11月23日 撮影

裏返してみると複数の傘が放射状に広がってまるでマイタケのようになっています。 基本的に本種は幹に生えるので重生と言って複数の傘が折り重なるように形成されます。 しかし平らな地上では成長点から全方向に傘が広がるようです。

■ 2010年12月04日 撮影

毎年発生していたポイントが材の腐朽により消失。長らく出会えませんでした。 しかし近所の山で発生を確認!ただ発生量としては決して多くはない感じ。 ただ乾燥気味だったため、雨さえ降ればチャンスはあると思われます。 ってかここの個体群はどれもこれも傘の色が濃いですが、これが本来の姿?

■ 2011年12月10日 撮影

めっきり出会いが減りましたね・・・以前の安定供給地があればなぁ。 以前は食べきれないので半分くらい置いて帰る感じでしたが、それも過去の栄光。 今新しいフィールド探してます。ここは来年あたり期待ができるんじゃないかな?

■ 2012年03月06日 撮影

驚くべきことが2つ。まず大きさ。傘の大きさ余裕の20cmオーバーで間違い無く過去最大です。 2つ目、ここスッゴイ普通の住宅地の空き地で、車で走ってて鼻水吹きました。 旧カメラしか持ってなかったので色合いが変なのが残念!どこで会うか分からない! あと地味にショックだったのは古かったことですね。1週間前に見付けたかったです。

■ 2013年11月13日 撮影

旧TOP写真です。寒さも一段と強まってきた11月半ば、林道を走ってい発見しました。 広葉樹の立ち枯れに発生しており、折れて林道下に落ちた幹にも大発生していました。


■ 2013年11月13日 撮影

クモの糸、邪魔だなぁ・・・。1つ前の写真は編集でクモの糸を消してます。 裏側紹介用に撮影したのですが現地では気付かず、帰宅後に編集していてガッカリしました。 TOP写真を変更したかったのはコレが原因なんですよね。

■ 2013年11月13日 撮影

コレ実はTOP写真と同じ木です。折れて崖下に落ちたほうですね。 メッチャ生えてる!どれも非常に大きく、崖の上からでもすぐに分かりました。


■ 2013年11月13日 撮影

ご覧下さいこの見事なヒラタケの姿を!もう食べてくれと言わんばかりです! 当然ですが綺麗な子実体を少し拝借してその日の鍋に突っ込みました。 やはり美味しいですね。古の日本人も食していたと言うのも納得ですわ。 一緒に入れたハタケシメジとオオイチョウタケとの相性も抜群の贅沢な鍋でした。 親戚が遊びに来ていたのですが、美味しいのか無言で食いまくってました。

■ 2013年12月21日 撮影

最近「キノコアイ」が鍛えられて来た気がします。気配を感じるようになりました。 以前プラントハンターの方が「・・・臭う!」と仰ってた意味分かって来ました。 これかなりの望遠で撮っています。ほとんどブレましたが一枚だけ綺麗なのが。

■ 2015年01月31日 撮影

実況動画撮影中に微かに爽やかな香りがしました。周囲を見回すと・・・。 本種の香りは低温でもハッキリ分かりますね。でも撮影中なので採取はせず。

■ 2015年06月04日 撮影

大台ヶ原の探索中に道の脇に退けられたブナの倒木に大発生していました。 やはり標高が高いため気温が低く、冬のキノコの本種も元気していますね。 美味しいキノコではあるのですが国立公園のため指を咥えてスルーです。 まぁヒラタケは低地にいっぱい生えてるから悔しくなんかないですしー。

■ 2015年06月28日 撮影

大台ヶ原大不作!ぶっちゃけコイツしか見付かりませんでした。 でも状態が綺麗だった上にこの木の場所で昆虫の調査の方にお会いしました。 ちょこっと冬虫夏草のお話とかも聞くことができたので、それでチャラでしょう。

■ 2018年01月20日 撮影

地下生菌を探して訪れた地元の里山。しかし目的のブツは見付けられずじまい。 しかし帰り道に良い感じのヒラタケさんを発見できたので、これはこれでヨシですね。


■ 2018年01月20日 撮影

かなり傘の色が薄いと思ったら、低温で腐ってないだけで相当古いです。 足元に大きな傘が落ちており、どうやらシカが食ったみたいですね。 正確には「食おうとした」っぽいですけど、腐ってて止めたっぽいです。

■ 2020年02月23日 撮影

見てるんです、出会ってはいるんですよ。でも良い状態じゃなかったり別のキノコ探してたりでスルー気味。 久々に良い子実体があったので掲載と同時に過去の写真も色々編集し直しました。 載せた時期が早いキノコなので色々と間違いだらけでしたね。

■ 2020年11月03日 撮影

メッチャ縦長ですみません。でもどうしても全体を入れたかったんです。 林道を走っていてこの光景が視界の脇に見えた時は鼻水吹きましたよ。


■ 2020年11月03日 撮影

出w過wぎwwwwwwwwwwとふたば出身で草をあまり生やさない自分でも草生えるレベルの発生量です。 これウスヒラタケみたいに見えますけど普通に全部デカいので無印のヒラタケで間違い無いです。 群生しすぎてサイズ感が狂ってるだけです。


■ 2020年11月03日 撮影

残念だったのはどれも全部古かったことと、この左1m先が高さ5mの断崖絶壁だと言うことですね。 立っている場所も左に大きく傾いた斜面で、少し足を滑らせると滑落する状態でした。 なので斜面を降りて車に戻った頃には左足が攣ってました。


■ 2020年11月03日 撮影

滑落のリスクと戦いつつ下からも撮影してみました。 まぁまぁ新しい子実体も混ざっていますが、ほとんどが乾き気味かつ傷み気味でした。残念。 ただ傷み始めのためかこの周辺が凄まじいヒラタケ臭でクラクラしました。

■ 2020年11月03日 撮影

2018年01月20日に訪れた場所を再訪問。ここは訪れるたびに大きな子実体が見られるポイント。 しかし想像を上回る巨大な子実体に出会えて絶叫しちゃいました。 疑う余地無く今まで見た中で最大の子実体でした。


■ 2020年11月03日 撮影

もうデカい。デカすぎる。これ写真では伝わりづらいですが、左から右まで30cmオーバーです。 ここまで大きいと逆に不気味と言うか気持ち悪くなって来ますね。


■ 2020年11月03日 撮影

裏側を撮影していて気付きましたが、3ヶ所ほど花○薫が指で千切ったトランプみたいな欠損があります。 何だろうなとしばらく考えていましたが、地面に無数の動物の糞があってピンと来ました。 これシカの食害ですね。富士山でもマツタケ食べてるって話ですし。そら美味しいでしょうよ。

■ 2020年11月03日 撮影

見上げてみるとシカの届かない場所に綺麗な子実体がありました。 状態も良かったので数枚持ち帰って久し振りに食べましたが、やっぱり美味しいですね。 栽培品と味があまり変わらないキノコもありますが、本種はやっぱり野生品が美味しいと思います。

■ 2020年12月20日 撮影

すず姉氏との小規模オフ中に自然公園内で発見した幼菌です。 「ザ・ヒラタケ!」って感じの理想的な子実体ではないでしょうか。

■ 2023年11月19日 撮影

湿地帯に倒れ込んだ広葉樹に群生していたものの一部ですが、何か見覚えがある姿ですね。 そう、エリンギに似てるんです。そりゃ同属菌だから似てるのは当然ですが、 ここまで明確に傘と柄が区別できる子実体も珍しいなと思いまして。

■ 2023年11月19日 撮影

ちなみにさっきのエリンギ似の子実体以外はこんな感じで、むしろ理想的な子実体でした。 世界中に分布する本種ですが、何か凄い「和」を感じるのは私だけでしょうか?
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