■Pseudoaustroboletus valens (ホオベニシロアシイグチ)

■ 2020年07月11日 撮影

2009年に見て以降、良い状態の子実体に全然出会えず10年以上が経過してしまいました。 しかし2020年になって各所で大爆発し、状態の良い子実体が多数。属名も変わってしまっていました。 古い知人に会った気分。夏にアカマツ・コナラ林に発生する「頬紅白脚猪口」です。 国内に発生するイグチ類の中でもかなり大型になるほうではないでしょうか? ちなみに種小名の「valens」はヴァレンタインと同じで「たくましい」の意味。 その名の通りどっしりしたイグチです。

古い図鑑ではTylopilus属、つまりニガイグチ属であるとされていました。 少なくともこのサイトに掲載した頃はそうでした。 しかし近年イグチの分類が進み、現在はホオベニシロアシイグチ属となっています。 確かに他のニガイグチ属菌とは数多くの点で異なっていますしね。


■ 2020年07月11日 撮影

一目見て誰もが感じるのが白いと言うことでしょう。 ここまで全体的に白っぽいなと感じるのは本種やシロヤマドリタケ、シロヤマイグチあたりくらい? 傘は湿っている時はやや粘性がありますが、基本的には粗面で灰褐色。 褐色を極限まで薄くしたような色合いです。


■ 2020年07月11日 撮影

幼菌を拡大するとこんな感じ。最初は丸山形ですが最終的には平らに開きます。 この何とも言えない淡い色合いの、しかも色ムラのある傘は結構印象的です。てか幼菌かわいい


■ 2020年07月11日 撮影

しかし本種と言えば何と言っても他にあまり似た種が居ないであろう特徴的な柄です。 柄は和名の通り白色なのですが、その表面にはとてつもない網目が走っています。


■ 2020年07月11日 撮影

柄の網目を拡大してみました。感じ的にはヤシャイグチやセイタカイグチを彷彿とさせますね。 網目は網目なのですが、隆起しすぎて毛羽立ったり倒れ込んだりしてしまっています。 しかもこの網目が他種では網目が少ないハズの柄の基部からビッシリあるのが凄いんですよね。 コレ見ただけで本種だなって思えます。


■ 2020年07月11日 撮影

管孔は最初は白色なのですが、成熟すると淡紅色を帯びて来ます。 これが和名「頬紅」の由来ですね。 と言うか、何となく子実体全体が紅色を帯びて見える気がします。

図鑑では食用価値無しとされいるものもありあますが一応可食だそうです。 ただメチャクチャ美味い!ってワケでもなく、むしろ酸味があるためかなり個性的な味です。 元々酸味がある調理法や、酸味を生かした味付けをしないとダメかも知れませんね。

■ 2009年07月18日 撮影

初めて掲載した写真です。この頃はまだニガイグチ属で載せていました。 考えてみれば肉に酸味があるって時点で怪しさ満載でしたね。


■ 2009年07月18日 撮影

この灰色っぽい褐色の傘は何とも地味で特徴がありませんが、逆にソレが特徴ですね。 と言うかこの個体、倒れて朽ちた針葉樹材の幹を突き破って出てました。 ちなみに傘の大きさは脅威の20cm。色も相まって遠くからでもすぐ分かりました。

■ 2009年07月18日 撮影

左の個体は直径23cm。ここまで来るとちょっとキモチワルイですね。 白っぽいキノコですが老成に伴って全体的に褐色が強くなるようですね。 しかしこの発見以降、不思議と出会いが途絶えてしまいます。

■ 2020年07月18日 撮影

今年は本当に良く見ますね。大きいので見応えあって嬉しいです。 と言うか今まで見なかったんだろう。いつも来てる場所なんですが・・・。 て言うかホントに斜面好きね。

■ 2020年07月18日 撮影

その後地元で発見するも被写体とはとても呼べない傷んだ状態ばかりで撮影できない年が続きました。 そして11年後の2020年、以前見たのと同じフィールドの至る所に発生が見られ、ようやくリベンジ成功。 いやホント長いブランクでしたよ。ドコ行ってたんだよお前って感じです。 あと本種は不思議と斜面を好むようで、遷移が起きたような斜面で良く目にします。


■ 2020年07月23日 撮影

上と同じ子実体の1週間後の姿です。いやぁ立派になったものですね。 下の子実体は特徴的な柄の網目が何かに食べられちゃってますけど。 全体的に単色でここだけ彩度を間違えたかのようです。

■ 2022年08月28日 撮影

初発見が2009なのに写真が少ないのは、別に中々見付からなかったワケではありません。 本種は見るだけなら数は見ているんです。そんな珍しいキノコじゃないので。 ただいつも状態が悪かったり、発生状態がイマイチだったりで写真が少ないだけです。 ただ2020年頃から急に良い状態の子実体に出会うようになったんですよね。


■ 2022年08月28日 撮影

本種の傘は幼菌時暗褐色なんですが、ここまで濃い色の傘は初めてでした。 ここから徐々に薄くなって行くのですが、ここまで濃いと凄い格好良いですね。


■ 2022年08月28日 撮影

非常に優秀な子実体だったのですが、TOP写真にしなかったのは理由があります。 それは非常に優秀だったので勿体無くて裏返せなかったためです。 そのためローアングルギリで撮ってみましたが、流石に綺麗に管孔が写せませんでした。 ただそれでもちゃんと頬紅な色合いは捉えられました。

■ 2022年08月28日 撮影

面白い光景に遭遇。何と本種の手前にイボタケとボタンイボタケが並んでいました。 いや、イボタケに見えるのはツブイボタケかも知れませんが、何か良い構図だなと思いまして。 ただ誰を主役にするか悩みましたけど。

■ 2022年09月03日 撮影

翌週同じ場所を訪れたら幼菌を発見しました。狙いはクビオレアリタケだったんですけど。 この網目と基部の白さがイグチイグチしてて良いですね。

■ 2022年09月03日 撮影

この日先週と同じ場所を訪れた理由は、先週見付けていた幼菌をもう一度見ることも目的でした。 予想通り傘も淡色になって、丁度良い状態にまで成長してくれていました。


■ 2022年09月03日 撮影

今回は裏側を撮るつもりで訪れていたので、遠慮無く裏返させて頂きました。 確かに「頬紅」の由来の通り管孔や柄の上部がピンク色を帯びています。 これを見ないとこの和名にピンと来ないんですよね。基本グレー気味ですし。 でも個人的には色よりもこの柄の色のほうが印象に残っちゃうんですけどね。
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