■Russula aeruginea (クサイロハツ)

■ 2021年07月22日 撮影

以前見たことはあったのですが、同定に自身が無く掲載は見送っていました。 今回しっかりと観察できたことで前回のものも同種であると判断しました。 夏から秋にカバノキ属の樹下に発生する「草色初」です。 比較的発生は稀で、なおかつカワリハツの緑系と紛らわしいのが困るんですよね。 カバノキ属の樹種の特定が自力でできないのも力不足と同時に難点です。

ちなみに種小名は「緑青色の」と言う意味のラテン語です。 緑色系のベニタケ科と言えばカワリハツやウグイスハツがありますが、 本種の傘の色はかなり鮮やかな緑色でちょっと雰囲気が違います。


■ 2021年07月22日 撮影

色としての「草色」はディスプレイ上では「■ ##7b8d42」と表示されます。 こうして画面上で見てもピッタリの色合いですね。 他のキノコと大きく違うのは傘表皮にツヤがあることです。 カワリハツやウグイスハツは傘表面が平滑でやや微粉状のツヤ消しなので結構雰囲気が異なります。 何よりもこの独特の鮮やかな緑色は他の種とは一線を画します。


■ 2021年07月22日 撮影

ひだは白ではなく淡黄色です。少なくともカワリハツとは異なります。 柄は白色とのことですが、他の写真を見るに傘と同じ色を帯びることがあるようです。


■ 2021年07月22日 撮影

あまり特徴は無いと思うのですが、一応顕微鏡観察もしてみました。 担子器やシスチジアにはあまり他の種との判別に役立ちそうな情報は無いかも?


■ 2021年07月22日 撮影

担子胞子は球形〜楕円球形で内部に大きな油球が存在します。 表面がデコボコしているのは表面に網目状の隆起があるためです。


■ 2021年07月22日 撮影

ベニタケ科と言えばやっぱりメルツァー試薬での呈色反応でしょう。 試薬によってアミロイド反応網目状の隆起が青く染まっています。 細かな点状に染まるカワリハツとも違うことが念押しで確認できました。


■ 2021年07月22日 撮影

表皮構造も顕微鏡観察してみました。 表皮の菌糸は錯綜状で表面にゼラチン層があるのが特徴です。 表面がサラサラせずにベタベタしているように感じるのはそのためですね。

一応可食とのことですが、あまり美味しくないとも聞いたことがあります。 ベニタケ科菌は基本的に見慣れたキノコ的な料理方法には向かないので、率先して食べる必要は無いでしょう。 色褪せやすいため他の種と判別しづらいこともあるのでなおのことです。


■ 2021年07月22日 撮影

角度的に見えていませんが、すぐ手前に顔を出したばかりの幼菌があったのでオマケです。 やはり見ていて思うのは色が濃いなと言うこと。この色合いを見たら本種を疑って良いかもですね。 これだけ見れば草餅みたいで美味しそうなんですが。

■ 2008年09月23日 撮影

実はかな〜り前に大きな子実体に出会っていました。 ただこの頃は自信が無くてお蔵入りにしていました。 今見ればこの独特な色合いは他の種とは似ても似つきませんね。
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