■Russula densifolia (クロハツモドキ)

■ 2023年07月15日 撮影

幾度となく出会ってきた種ですが、逆に普通すぎて全然良い写真がありませんでした。 和名は「黒初擬」。名前の通りの無印クロハツのそっくりさんです。 各種林内地上に発生し、樹種も針葉樹広葉樹であまり好き嫌いしないようです。 公園のシイ・カシ林の樹下に毎年安定して群生を作ってくれます。 子実体が傷みやすく、美しい発生状態に中々出会えないことが多い困ったちゃんですね。

一般的な種ではありますが、複数種が混在している可能性があります。 なので「広義」と言う感じで認識しておいたほうが良いかも知れません。 ちなみに種小名の「densifolia」は「密な葉の」と言う意味で、ひだの密さが由来のようです。


■ 2023年07月15日 撮影

子実体はかなり大型で肉厚。ベストコンディションのクロハツやシロハツと同レベです。 傘は最初は中央が窪んだ饅頭形で、色はクロハツ同様黒褐色。 ただクロハツに比べると本種の傘は少し彩度が高いように感じます。 と言うか正確にはクロハツが灰色っぽいのかも知れませんが。


■ 2023年07月15日 撮影

また大型のワリにベニタケの仲間らしく肉質が脆いため、 環境によってはこんな感じで亀甲状の亀裂を生じることがあります。


■ 2023年07月15日 撮影

見た目が良く似たクロハツと本種の最大の違いは何と言ってもこのひだの密さでしょう。 そもそもクロハツ自体がベニタケ科の中でもずば抜けてひだが疎なので、相対的に余計です。 柄は白色ですが、抜くために指で摘んだ部分がすでに変色しています。 黒変性はクロハツと同レベで一旦赤くなるんですが、それは一瞬。 すぐに黒ずんでこんな感じになります。新鮮で多汁な状態だと真っ黒になります。

クロハツ同様に生で食べると毒と言われて来ました。 ただ最近は普通に毒と言う認識が一般的のようです。 ひだの密度的にニセクロハツと間違う可能性は低いですが、あえて危険を冒す必要は無いかと。 同じような形状の近縁種が数種存在しているため、正確な同定ではないかも知れませんし。


■ 2023年07月15日 撮影

ちなみに周囲に大量に生えていたので気付かずに踏んづけてしまっていました。 気付いた時にはこんな感じで真っ黒に。本種の変色性の強さが良く分かりましたね。

■ 2007年07月13日 撮影

初見は地元の自然公園。雨の中での発見でした。ちなみにTOP写真と同じ場所です。


■ 2007年07月13日 撮影

水分を多く吸ってみずみずしかったからでしょうか?黒変が凄まじかったです。 指で擦ったらどんどん黒く・・・これ真っ二つにしたら面白かったでしょうね。 この頃はカッターナイフなんて持ってませんでしたから。

■ 2009年07月11日 撮影

何か異様にゴツいのを発見しました。・・・黒くね? これ黒いキノコを撮影する時に良くある話ですが、空の色が映り込むんですよね。 なので写真にすると肉眼以上に青さが強くなっちゃいます。


■ 2009年07月11日 撮影

何か部分的に凄い変色してました。老成が始まり自然に黒変し始めたようです。 しかし自然とココまで黒くなるんですね。焼け焦げたみたいです。 最終的には真っ黒になるので、周囲の地上には子実体だったはずの黒いシミが点々とありました。

■ 2015年07月13日 撮影

雨降る近所の公園にて発見。何か雨の日に出会うのが多い気がするなぁ。 地面の色に溶け込んでて踏みそうになりました。 新鮮なウチは白っぽいのですぐ分かるんですが、変色すると一気に迷彩色に。 そう言えばモドキか否かを傘の雰囲気で判別できるようになってきました。 念のため裏側を覗いてみると大正解でした。

■ 2019年07月20日 撮影

何か凄くひび割れが個性的な子実体を発見しました。 そう言えばクロハツでこんな感じの表皮になってるのはあまり見ない気がします。

■ 2019年07月20日 撮影

この日は大量のクロハツモドキに出会えたのでTOP写真を更新。 良い感じの群生だったんですが、天気の加減か全体的に小型な子実体が多かったです。 最初は別種かなってくらい傘の質感とか違ったんですが、多分晴れ続きだったのが影響しているかと。 形状は綺麗だったのでTOP写真に採用しましたが、やっぱゴツいのを上に持って来たくて・・・。


■ 2019年07月20日 撮影

一応変色も確認。ちょっとひだが全体的に黒ずんでいます。 晴れ続きの後で一気に雨が降ったため、全体的に傷んでいたのかも?


■ 2019年07月20日 撮影

ちなみに老成するとここまでボロボロになります。 本種は良くヤグラタケのターゲットになり、クロハツより良く狙われてる印象。 なのでここまで朽ちても感染されていないのは、それはそれで珍しい気がします。

■ 2023年07月15日 撮影

TOP写真の群生の一部です。この日は久し振りに肉厚でゴツい本種の子実体を見れた気がします。 万全のコンディションの子実体を見れたのは何げに2015年以来の実に8年振りです。 しかも発生量が凄まじい!こんなのTOP写真差し替えせざるを得ないでしょう。


■ 2023年07月15日 撮影

良い天気でしたが少し前まで安定して雨が降っていたので子実体の状態は非常に良いです。 乾燥によって表皮がひび割れてしまっていますが、逆に格好良いまでありますね。 2019年に見たものと比べると傘表皮が張り詰めていて頑丈そうに見えます。 自分の中でのクロハツモドキの見た目はコッチですね。

■ 2023年07月15日 撮影

やっぱり大型のベニタケ属菌は迫力ありますね。 すぐ近くにアイタケやヤブレキチャハツも居るので、大型Russulaパラダイスですよココ。

■ 2023年07月15日 撮影

この場所はシイやカシなどのブナ科広葉樹に混じって適度にアカマツがあります。 クロハツは針葉樹側でニセクロハツは広葉樹側なので、本種はその中間的なオールラウンダーなのかな? やっぱり大きなキノコは見付けただけでテンション上がりますね。 本種は頭の片隅に「TOP差し替えたいな〜」って思いがあったので余計に嬉しかったぞ!
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