■Spinellus fusiger (タケハリカビ)

■ 2021年10月02日 撮影

秋も深まって来た冷涼なブナ林帯を歩いていて久々に出会いました。 実は本種は今まで何度も何度も出会っていますが、そのワリに写真が少ないです。 理由は簡単、自分があまりこのジャンルに興味を持てなかったからです。 ただ他の様々な接合菌類と出会う中で本種も掲載すべきだなと感じるようになりました。 Mycena属菌でも特にチシオタケに多く感染する「茸針黴」です。 胞子嚢柄がとても長いので遠くからでも目に入る、比較的キノコ屋の中でも知名度が高い種ですね。

今まで出会ってもあまり写真を撮って来ませんでした。 キッカケは接合菌類の地下生菌とフタマタケカビに出会い、魅力を知ったためです。 なお本属菌は複数存在し、様々な宿主から発生することが知られています。 そのためMycena属菌に生えているからと言ってこの学名のタケハリカビとは限らないため注意。 むしろタケハリカビと言う名前もこの外見の種全てに使われている感じなのでこの和名表記は不適切かも知れません。


■ 2021年10月02日 撮影

本種はその名の通り極めて長い針状の菌糸を伸ばします。 胞子はこの長い長い菌糸の先端に形成される球状の胞子嚢の内部に作られます。 そのためこの細長い構造は胞子嚢柄と呼ばれます。 胞子嚢柄は分岐せず風雨などで折れない限りはまっすぐにピンと伸びます。 そのためキノコの傘が炸裂したかのような特徴的な見た目になります。


■ 2021年10月02日 撮影

個人的にタケハリカビが面白いなと思うのは宿主の状態です。 Hypomyces感染や同じ接合菌類のフタマタケカビなどは宿主の状態が非常に悪いです。 ですがタケハリカビは比較的宿主が形状を保っており、少し古くなった?くらいの状態なのです。 また宿主表面に肉眼的な菌糸が覆っておらず、傘から直接胞子嚢柄が伸びているのもユニークですね。

言うなればカビたキノコですので当然ですが食不適です。 寄生菌でありながら培養も可能ですが、特に薬効があるとも聞いたことありません。 本種はどちらかと言うとキノコ探しの中の「おっ」と言うちょっとした気分転換的な存在だと思います。

■ 2016年04月30日 撮影

春の冬虫夏草探しのどしょっぱつで見付かったのは本種でした。 この日はオオセミタケを探したりツブノセミタケを掘ったりがメイン。 しかしこれだけ早い時期でも出ると言うのは驚き。 本種は属そのものが低温を好む傾向があると言うのも納得です。 先端にポチッとくっ付いた丸い胞子嚢が良く分かります。

■ 2017年06月30日 撮影

この日は雨が降る中での冬虫夏草探し。そんな中で雨に打たれて綺麗に濡れたタケハリカビを発見。 本種は複数ある傘の1個だけから出る印象があるんですが、ここでは全ての傘から出ていました。 てかこれどうもチシオタケではないですね。Mycena属ではあるようですが・・・。
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