■Squamanita umbonata (カブラマツタケ)

■ 2012年07月08日 撮影

gajin氏が発見されたものを残しておいて頂けたので撮影しに行ったのが最初の出会い。 それ以降自力で発見・・・できたししてた(過去形)極めて珍しいキノコの1つ。 和名は「蕪松茸」。和名に「マツタケ」とありますが全く別属・・・と言うか別の科に入る縁遠い種です。 テングタケ属の菌などに寄生して栄養を奪い取る菌寄生性のキノコです。 実はこのような生態を持つキノコは世界的に稀であり、貴重な存在なのです。

そもそも発生自体が少ない超レアキノコなんですよね、コレ。 世界的にも本属菌は多くなく、宿主はワカフサタケ属、ケコガサタケ属、シワカラカサタケ属など様々。 国内では本種の他につぼのあるテングタケ属菌に寄生するブンゴツボマツタケが存在します。


■ 2012年07月08日 撮影

最初に見て感じたのはやはりマツタケっぽいと言うこと。 これは全体的な色合いと傘表面の構造による印象でしょう。


■ 2012年07月08日 撮影

傘表面は茶褐色の繊維に覆われ、その姿はまさしくマツタケ。 ただマツタケとは異なり傘中心部が突出する性質があり、そのため中央に繊維が集中してます。 またあまり大型化する種ではなく、大きくても直径10cmは超えないようです。


■ 2012年07月08日 撮影

本種が「カブラ」と呼ばれる理由はコレ。基部がかぶら状に膨らむためです。 そしてコレが最も重要な特徴でもあります。 実は本種、テングタケ属菌を乗っ取ると言う凄まじい性質があります。 この周囲は普段からイボテングタケやタマゴテングタケモドキが発生する場所。 恐らくそれらに寄生しているのでしょう。この膨らみはその名残りなのかな?


■ 2012年07月08日 撮影

柄は傘と同様に繊維状で、傘の大きさのワリに太いです。ひだは白色でやや粗かな? 柄の情報にはつばの名残りが見られ、上部は白っぽくなるようです。 肉は白色ですが、基部の膨らみの内部は色が暗色で、ここに厚膜胞子が形成されるとされます。 この頃はそんなこと知りませんし、そもそも顕微鏡持ってなかったなぁ・・・。

一応食菌としている図鑑もありますが、赤字なのには理由があります。 本種自体が無毒でも、寄生先が猛毒菌である可能性があるので注意を要すると思われます。 それ以前に本種は激レア菌なので、大人しくマツタケを食べてあげて下さい。 下手すればマツタケよりも珍しいですので。

■ 2013年09月23日 撮影

これ撮影当時は気付かず、数年経って写真を見直している時に気付きました。 どうも知らず知らずの内に見付けていたようです。 ただ気になるのが傘の上に外皮膜が乗っかっているように見えるんですよね。 もしかしてこれブンゴツボマツタケだったり?実は同種で宿主違いなだけだったりして。

■ 2020年07月11日 撮影

初発見から実に8年。久し振りに出会うことができました。 しかしこの時すでに雨が降り始めており、日没寸前でほとんど撮影できませんでした。 今回知ったのは湿時粘性を持つと言うこと。しかも結構強いです。 ここ、少し遠いですが2013年に発見したのと同じ山系です。今後も期待ですね。
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