■Thelephora aurantiotincta (ボタンイボタケ)

■ 2021年07月23日 撮影

どろんこ氏の依頼で訪れたハヤカワセミタケの発生坪。 目的の冬虫夏草も発見できましたが、それ以外にも色んな出会いがありました。 直径は20cm近い上に明るい色合いなので、そりゃ遠くからでも分かると言うモノ。 古いものは長期間に渡って見れますが、最盛期は夏。広葉樹林地上に発生する「牡丹疣茸」です。 種小名は長ったらしいですが意味は「橙黄色に染まった」と言うまんまの意味です。

見ての通りのイボタケ属菌です。「ボタン」の意味はまぁ何となく分かりますね。 本種は比較的平らな場所に出ることが多いので、このような急斜面に出ているのはちょっと珍しい?


■ 2021年07月23日 撮影

傘は幾重にも重なって八重咲きのよう・・・ボタンの花を連想するのも分かります。 今回は斜面に生えているのでマイタケみたいになってますが、地面に発生した場合は綺麗に広がりますからね。


■ 2021年07月23日 撮影

傘は分岐と重生を繰り返し、まるで花のような外見になります。 傘そのものの色は種小名の通り橙黄色ですが、成長点である傘縁部は真っ白になります。 本種の子実体が綺麗に見えるのはこの白が縁取りになって傘1枚1枚が映えるからなのでしょう。


■ 2021年07月23日 撮影

本種は名前の通りバリバリのイボタケ属、なので当然裏側はいぼ状です。 雰囲気的には針状になりそうでならなかったみたいな見た目ですね。 一応子実層の表面積を広げようと言う努力が伺えます。 イボタケの仲間はこの裏面くらいしかパッとした特徴が無い地味な種が多く、その中では本種は見栄えが良いです。

試しでも食べる気が起きないですね。後述しますが香りだけで吐きそう・・・。 当然ですが食不適ですので、愛でるだけにしましょう。

■ 2008年09月20日 撮影

旧TOP写真であり最初に発見した子実体です。自然公園を歩いていて林の中に不自然な塊を発見。 遠くからでもすぐ分かるくらいに目立っていました。 ただ帰り道だったので急いで撮影したため、縦構図も無いわ観察も雑だわで差し替えですよ。


■ 2008年09月20日 撮影

裏返そうとしたのですが、意外と軟らかく、繊維状に裂けてしまいました・・・。 真ん中に写っている年輪のような模様が出た部分が裂けて露出した内部の肉。 香りを嗅ぐと何とも言えない強烈なキノコ臭。少し薬品臭いですね。 本種はこのまま乾燥させると更にこの臭いが強くなるので、同定に有効です。


■ 2008年09月20日 撮影

裏側を拡大しました。色は傘よりやや薄いオレンジ色。表面は当然イボ状です。 ただし傘の内側、中心に向かうほどイボが長くなって針状に変化しています。

■ 2008年09月20日 撮影

食える食えないはさておき、見た目では本種はとても美しいキノコだと思います。 恐らく傘のフチだけが白く彩られているためでしょう。魅力的だと思います。 この様な傘の展開をするイボタケの仲間は草や木の芽によじ登ることがあります。 本種も小さな広葉樹の苗を取り込むように成長しています。支柱なのかな・・・?

■ 2012年09月09日 撮影

実に4年振りに更新されたことに驚き。いや、何度も見付けてるんですけどね。 ただ毎度ボロボロだったり小さかったりで掲載まで至っていなかったんです・・・。 実はこの個体は顔を出したばかりの小さい時からこの段階まで観測していました。

■ 2012年09月17日 撮影

森の中で出会った時はその綺麗さにハッとしました。ここだけ日が差してました。 この周囲にかなりの数の幼菌を確認できたので、ここは本種の楽園のようです。 以前沢山発生していた場所が絶えてしまった感があったので嬉しいですね。


■ 2012年09月17日 撮影

本種が綺麗に見える理由は傘の縁が白いことと、不規則な枝分かれの合わせ技。 傘表面の鮮やかな褐色に白いワンポイントが牡丹の花っぽいってことなのかな?

■ 2014年07月26日 撮影

山道を車で走っていたら斜面に花が咲いていました。これは確かに牡丹の花だ。 大きな傘から小さな傘が出る感じもボタンの中央がボサッてる感じに似てますね。 今回は新鮮な個体なので彩度が高く、色鮮やかなのもポイント高かったです。


■ 2014年07月26日 撮影

拡大してみると傘の周辺部だけが白く、良い具合に輪郭を強調しています。 中には傘になり切らずに棒みたいな感じで飛び出している部位もありますね。
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