■Tolypocladium capitatum (タンポタケ)

■ 2016年09月25日 撮影

昼食場所周辺でガガンボ氏が発見!漢字が分からないので和名「タンポ茸」としておきます。 地中のツチダンゴの子実体から発生する地下生菌生の冬虫夏草の代表格。 虫草としてはかなり大型の種で、大きな結実部は良く目に付きます。 老菌だったので基部が脆く、ギロチンしてしまったため詳細は別の子実体にて。

少し前までElaphocordyceps属でしたが、分類に関しては近年騒がしく、トリポクラジウム属として掲載します。 春に発生するオリーブ系の「春型タンポタケ」と呼ばれるものは別種と考えて良さそうです。

当然ですが食不適です。ツチダンゴも本種も食べる価値皆無ですね。 特に薬効が有るとも聞きませんし、子実体自体も非常に菌臭いです。

■ 2015年09月15日 撮影

初発見は2015年のもろぞー氏主催のオフ回。周囲にハナヤスリタケも生えており大盛り上がり! ただこの時は冬虫夏草もあまり詳しくなく、しかも地下生菌も良く知らない時期だったので色々と損しました。


■ 2015年09月15日 撮影

結実部を拡大してみました。表面に見えるつぶつぶが子嚢殻の先端です。 頭部はオリーブ黒色で、柄に近いほど黄土色になっている事が多いです。 成熟するとこの先端から糸状の子嚢胞子を噴出して拡散させます。 子実体も子嚢殻も大型のため、肉眼でも分かるくらいに胞子が出ますよ。

■ 2015年09月15日 撮影

一番最初に気付いたのはこの子実体でした。最初はミドリニガイグチかと。 妙に小さいしこんな場所に生えるの?と不審に思い近付いてみると・・・。


■ 2015年09月15日 撮影

あ、子嚢殻が有るじゃん!似すぎでしょ君ら。


■ 2015年09月15日 撮影

掘り起こしてみると意外と柄が短く、その場で綺麗にクリーニングできました。 基部に見える丸いキノコが腹菌型のツチダンゴ。哀れ宿主になってます。 それを突き破るように不釣り合いなほど太い柄が伸びています。これは面白い! 本種に感染されたツチダンゴは胞子の形成が抑制され、内部は真っ白です。

■ 2018年09月15日 撮影

新顕微鏡が配備されたoso、今回は何としても見たいと思っていました。 同じ休憩場所にて久し振りの再会。ハナヤスリタケも出ていて一安心しました。 心なしか見るたびに微妙に色合いが違う気がしないでもないですが。


■ 2018年09月15日 撮影

綺麗な子実体ですね。結実部と柄のコントラストが良い感じです。 しかしこうして見るとやはり春型タンポタケとされる種とは色彩が異なりますね。


■ 2018年09月15日 撮影

コチラの子実体はどろんこ氏が採取して持ち帰ることとなりましたので、掘り終わったものを撮影させて頂きました。 実は以前ガガンボ氏がギロチンしたのには理由があり、本種は地上部が成熟する頃には根元が朽ちていることが多いのです。 そのためパッと見は頑丈そうな太い柄も、中はボロボロと言うことがまま有るとのこと。

■ 2018年09月15日 撮影

自分は胞子さえ観察できれば良かったのでボロボロのコチラを採取。 すでに基部は宿主ともども朽ちており、白いカビのようなものに覆われていました。 なので繁殖しないように結実部周辺のみ切り取って持ち帰り、顕微鏡観察することに。


■ 2018年09月16日 撮影

まずは子嚢殻を切り出してみました。根元が少し壊れてしまっているようなので900μmくらいかな? 周囲に漂っているのが本種の二次胞子。凄まじい量ですね。


■ 2018年09月16日 撮影

二次胞子に分裂しやすいので撮影は苦労しましたが、何とか未分裂の子嚢胞子を撮影できました。 糸状で長さは約400μm16個の二次胞子に分裂するのが特徴です。 また両端の二次胞子は先端が少し細長くなります。


■ 2018年09月16日 撮影

二次胞子を油浸対物レンズで観察してみました。 長さにややバラツキがありますが、基本は紡錘形で25μm〜35μmと言った感じ。 内部に油球状の内包物が多く見られます。 普通に観察するとこんな感じにバラバラになるので、カバーガラスを乗せる際は慎重に。
■図鑑TOPへ戻る