■Tricholoma fulvocastaneum (ニセマツタケ)

■ 2017年10月14日 撮影

発生量こそ少ないですが、地元のフィールドにそこそこ安定して発生します。 和名は「偽松茸」。初秋に広葉樹林に発生する大型菌。 場所を教えて頂き、初めて写真に収めることができました。嬉しかったですね。 周囲には全くマツの木が存在しないので、別種だと言うことが良く分かりました。 別名は「サマツ(早松)」。本種の性質に合った良い地方名ですよね。 まぁマツタケモドキの「マツタケのおばさん」よりは知的じゃないかな(偏見)。

種小名が実に本種の色を的確に表現していると思っています。 何せ「fulvo-(黄色の)」と「castaneum(栗色の)」ですからね。 ドンピシャですよ。


■ 2017年10月14日 撮影

傘ですが、全くもってマツタケですね。傘は褐色の繊維状鱗片に覆われます。 ただマツタケと比べると少し黄色っぽく、鱗片も黒っぽいのが分かります。 図鑑には「香りがほとんど無い」とありますが、確かにマツタケ臭でしたよ。


■ 2017年10月14日 撮影

傘の縁は内側に強く巻き込み、柄の上部と綿毛状皮膜で繋がっています。 傘の成長が進むと写真のように皮膜が破れてひだが露出、胞子を飛ばします。 破れた皮膜は成長後、傘の周囲の鱗片と柄の上部のつばとして残ります。 柄は繊維状でつばの色が濃く、基部が細くなるのが本種の特徴です。 また臭気のせいか様々な虫に集られています。今回はトビムシの大群が・・・。

言わずもがな本種は食菌です。利用法はマツタケとほぼ同じですね。 「サマツ」は漢字で「早松」と書き、発生時期の早いマツタケと言う意味。 炭火焼きや土瓶蒸しなど、香りを活かすシンプルな調理法が合います。

■ 2010年10月16日 撮影

初発見は同じフィールドの少し離れた場所。普通にマツタケだと思いました。 しかしすぐに全体的に黄色っぽいなぁと思えるくらいには色が違います。


■ 2010年10月16日 撮影

傘はまだ完全に開いておらず、これくらいが食べ頃だと思います。 ただ見ての通り虫食い穴が・・・本種は結構内部を食われてます。


■ 2010年10月16日 撮影

諸事情で抜くことができなかったため、這いつくばって裏を撮影しました。 つばが破れたばかりですね。撮影中でもほんの少し香った気がします。 生時はマツタケ臭が確かにするんですよね。なぜ消えちゃうんだよ!

■ 2010年10月16日 撮影

近くに生えていた幼菌です。鱗片が黒いのでトラ柄みたいですね。 むしろ強いくらい香るので、ホントにニセなの?と疑いたくなりましたよ。

■ 2011年08月20日 撮影

普段は山道の入り口から多くのキノコを目にするのですが、この日は不作・・・。 あまり見れないかなぁ?と期待せずに歩いていたら見慣れない大型菌を発見。 最初は何なのか分からず、しゃがみ込んで気付きました。舞い上がりましたね。 以前見た場所からはかなり離れていました。また別の個体群だったのかな?


■ 2011年08月20日 撮影

最も大きな個体の傘です。直径が20cm近く。大型菌と言うのも納得です。 特徴的な鱗片は中央部に残っているだけで、傘の周囲はかなり白っぽい感じ。 そして凄く良い香り!図鑑の記述からは考えられないほどのマツタケ臭です。


■ 2011年08月20日 撮影

柄は褐色繊維状で、持ってみるとゴワゴワしています。肉は白色です。 マツタケとの違いは柄の基部が細まること。マツタケは太くなります。 また傘の大きさのワリに柄が細い印象を受けますね。折れそうで怖かった。

ちなみに若い個体を持ち帰って食しましたが、うーん・・・意外と普通? 味はあまり無いし肝心の香りも加熱すると飛んでしまって微妙でしたね。 「偽」なのでやはり香りに関しては本家マツタケには及ばないようですね。

■ 2011年10月01日 撮影

まぁ本来はこの時期に出てることが多いですよね・・・。これくらいが食べ頃?

■ 2012年09月21日 撮影

今年はとても綺麗な個体が多く、写真を撮る側としては大助かりでしたね。 前回試しに食べてみて普通だったので、食の対象からは外れましたが。 やはりニセでは駄目なのか・・・本家マツタケを早く発見したいトコロです。 こうして見ると幼菌時はマツタケと比べてかなり黄色みが強いですね。

■ 2012年09月21日 撮影

↑の幼菌を撮影した後振り返ってビックリ。背後に凄い成菌が鎮座してました。 近付いて香りを嗅いで見ましたが、マツタケ臭に混じって少し不快なニオイが。 ここまでくると食用には向かないんでしょうね。被写体としては良いですが。

■ 2013年09月22日 撮影

これぞマツタケ!・・・って見た目ですが、確かに色合いが明らかに黄色い! でも知らない人が見ればマツタケそのもの、間違って売られるのもやむ無し。

■ 2013年09月29日 撮影

一度味を知ると例え貴重でも採る気が失せますね。正直この外見はギャップです。 マツタケの香りも有るし美味しそうに見えるんですが調理するとダメダメですし。


■ 2013年09月29日 撮影

地面に這いつくばって裏側を撮影してみました。丁度つばが破れたトコロですね。 傘の周囲に繊維状皮膜が垂れ下がるのはマツタケの仲間らしいお姿。 肉質が軟らかいので傘が不規則な形状になったり裂けたりしがちですね。

■ 2013年09月29日 撮影

林道を歩いていてハッとしました。と言うか最初に見付けたのは幼菌。 右上にチラッと写っているのがTOPに使われている写真の成菌です。


■ 2013年09月29日 撮影

やはり何と言っても目に付くのは鱗片の黒さ。そして全体の黄褐色です。 この重厚感は何だかんだ言ってマツタケとは違えど本種の魅力と思います。 鼻を近付けてニオイを嗅いでみましたが、何かあまりマツタケ臭無い感じ。

■ 2020年10月11日 撮影

ちょっと古かったか・・・周囲に結構出ていた痕跡があったので残念です。 ただこうして見ると種小名の「fulvo-」の意味が良く分かりますよね。 明らかに黄色っぽいですもん。

■ 2021年10月09日 撮影

TOP写真にしようかマジで迷った1枚です。前年と同時期ですが、状態は悪くなかったです。 2本並んで生えており、これはページTOPに置けるかな?と思い撮影。 満足できる出来でしたが、裏側にあまり特徴が出ておらず、泣く泣く通常の順番で掲載することに。 撮影中はやや古さは感じましたが、マツタケっぽい香りは漂っていましたね。


■ 2021年10月09日 撮影

迷ったのは今までで一番マツタケっぽい表皮だったからです。 褐色繊維状鱗片が過去イチ発達しており、非常に写真映えするお姿でした。 この写真ならマツタケだと言い張れば騙せそうなくらいには似ていますね。 でもちょっと黄色っぽさはあるし厳しいかな?


■ 2021年10月09日 撮影

TOP掲載を諦めたのは裏側が古かったこととつばが無かったことです。 古いのはまぁ許容できても、やっぱりあの特徴的なつばを最初に紹介したいですからね。 後ろ側につばが残っているので、成長時に変な感じに破れてしまったようです。残念!

■ 2021年10月09日 撮影

状態が良さそうな子実体ももう1株ありましたが、そのまま放置しました。 採ってもあまり美味しくないですし、自分の中では完全に目で楽しむキノコですし。

■ 2023年09月03日 撮影

本種が「サマツ」と言われる理由はマツタケより早く出るからなんですが、 撮影日時を見るに8月から10月まで結構バラバラなんですよね・・・。 今年は9月頭に最も状態が良いって感じでしたけど。


■ 2023年09月03日 撮影

見た目だけなら凄くマツタケっぽいんですが、やっぱ黄色っぽいんですよね。 香りを嗅いでみても、傘が開く前だとほとんどマツタケ臭は感じられません。 本家マツタケはむしろこれくらいの状態のほうがニオイは強いんですけどね。

■ 2023年09月03日 撮影

幼菌ズを見てから少し歩くと道端に良い感じの子実体が出ていました。 個人的にはTOP写真にしようか迷うくらいには良い感じの出方だったんですが、 傘がほぼ開いていなかったので全貌を紹介できないと思い断念しました。


■ 2023年09月03日 撮影

傘はこんな感じ。乾燥気味だったので鱗片が圧着して光沢が出ちゃってます。 この見た目はかなりマツタケに似てますね。


■ 2023年09月03日 撮影

抜くのが勿体無いので地面に伏せて撮影。ここヤマビルが出るのでビクビクですわ。 ちょうどひだを覆っていたつばが破れ始めており、ほんのりマツタケ臭を感じました。 ただこんな見た目でも加熱してしまうとマツタケ臭は完全消滅してしまいます。残念なコ・・・。
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