★Tricholoma kakishimeji (カキシメジ)

■ 2023年06月04日 撮影

今までカキシメジだと思っていたものが実はマツシメジだったと言うことが判明。 それから数年、梅雨時なので時期外れの発生だとは思いますが、ホンモノと思しき種に出会えました。 秋の広葉樹林地上に発生する「柿占地」です。 キシメジ属の一種で、マツタケもこのTricholomaのお仲間だったりします。 その色合いや香りからも美味しそうに見えますが・・・。 この場所には周囲に一切2針葉マツが存在しないので間違い無いでしょう。

今まで本種だとされるものには実際には複数種が含まれていたことが判明しています。 また以前は海外種の学名「Tricholoma ustale」が充てられていましたが、 2023年の細分化の際に新種として独立しました。 外見が似たものにカキシメジモドキマツシメジなどが存在します。 「松林に出るものは食べられる」とも言われますが、別種だったと言うことでしょう。


■ 2023年06月04日 撮影

傘は幼菌時は栗褐色粘性があり、成長しても少し滑りは残ります。 今ままで本種だと思っていたマツシメジに比べて傘の色が黄色寄りで、 傘表面に細かい鱗片がありません。今まで見てきたものとは明らかに違う!


■ 2023年06月04日 撮影

柄は傘と同色を帯びます。柄の上部まで色付いているのがマツシメジとは異なりますね。 ひだは若干疎でクリーム色。部分的に褐色のシミを生じる性質があります。 ただこのシミは他の類似種でも見られるので決め手には欠けますね。


■ 2023年06月04日 撮影

私が今までとは明らかに違うと分かったのは実際に齧って舌の上で転がしてみた時です。 結構長時間口の中でクチュクチュしてみたのですが、全く苦味が無いのです。 マツシメジもニガシメジも、今までカキシメジだと思っていた子実体はどれも苦かったので、 「何でこんな苦いキノコ間違って食うんだ?」と思ってたんですが、その疑問が氷解しました。 今回見付けたものは普通のキノコの味。周囲に針葉樹が皆無なことも合わせて本種として良いでしょう。 ただ傘表皮に若干苦味がある場合もあるようです。

本種の通り名は「キノコ食中毒の御三家」。そう、実は毒キノコなんです。 毒成分はウスタリン酸とされており、猛毒ではないのですが、誤って食すと下痢や嘔吐等を引き起こします。 「派手なキノコは毒言う迷信と、その迷信に相応しい見た目も手伝って中毒が後を絶ちません。 ちなみに御三家残り2種はキノコ食中毒の帝王ツキヨタケと「名人泣かせ」のクサウラベニタケ。

■ 2021年10月09日 撮影

実は全く同じ場所で2年前に見ていたんですよね。当時の自分も流石におや?と思ったようで、 写真ストックフォルダにあえてこの1枚だけ残されていました。 こうして見ると傘表皮の見た目が全然違ったんですね。
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