■Tricholoma matsushimeji (マツシメジ)

■ 2019年11月04日 撮影

初発見は2007年。その時は本種をカキシメジだと思い、擬人化もしていました。 しかし結構な年数が経ち、広義のカキシメジには複数種存在することが判明。 自分の中でも腑に落ちたので2023年になってやっと分離しました。 秋にマツ林地上に発生する「松占地」です。 古くから「カキシメジ(松林型)」と呼ばれ混同されていたようです。 本種は類似種の中でも発生環境と傘の表皮構造が一番個性的かも知れません。

以前から「マツ林のカキシメジは可食」と呼ばれていたのは本種のことだったようですね。 現在は本家カキシメジの他にカキシメジと発生環境が同じカキシメジモドキが存在しており、 カキマツモドキの三つ巴状態になっているようです。 以前の学名は海外の「Tricholoma albobrunneum」の名前が充てられていましたが、 検討の結果別種であることが判明し、晴れて新種として独立しました。


■ 2019年11月04日 撮影

成菌は乾燥するとやや暗色で粉を吹いたような外見になります。 実はコレ、マツシメジの大きな特徴だったようですね。 カキとモドキは傘の粘性が強くてこのようにはならないみたいです。


■ 2019年11月04日 撮影

傘は栗色で幼菌時は特に強い粘性を示します。 ここまで傘が大きく開いても、指で傘の中央部を触るとペトペトしていて粘性の名残は感じます。 最初は傘全体が褐色ですが、傘が大きく開くと周囲の表皮が適度に剥げて白っぽくなり、溝線も現れます。


■ 2019年11月04日 撮影

意外と特徴的なのが裏側です。幼菌時はひだも柄も白いですが、成熟すると褐色を帯びます。 汚れているワケではないのですが、見た瞬間に「きったねぇ!」って思いますね。


■ 2019年11月04日 撮影

裏側を拡大してみました。ひだは傷付いた部位が褐色のシミになると言う性質があります。 またこのシミは物理的に傷付かなくても老成によってひだ全体に広がります。 また本種の特徴として柄の上部が粉状になると言う性質があり、 変色していて分かりにくいですが粉を吹いているのが見えます。


■ 2019年11月04日 撮影

やったことが無かったので真っ二つに切断してみました。 肉は白色ですが褐変性があり、虫食い跡が褐色に変化しています。 本当は柄はやや中空なんですが、虫に食われすぎて大きな穴が空いてしまっています。 肉には強い苦味があるんですが、虫には好かれるように感じます。 粉臭いのでニオイが虫を寄せるのかな?あと苦味もカキシメジモドキよりはマシかな?

以前から「マツ林に出るカキシメジは食べられる」と言われており、本種は一応可食のようです。 ただし肉にかなり苦味があるので、それを抜く調理法じゃないと口に入れるのはキツいかと。 またのキノコ食中毒の御三家でもある本家カキシメジはマツ林にも出るので、 誤って採取する危険性も考慮して、本種も食用にすべきではないと思いますね。

■ 2008年10月13日 撮影

旧TOP絵、初めて写真に納めた子実体です。これは美味そうですね。 ただ齧ってみたのですが超苦かったです。


■ 2008年10月13日 撮影

裏側です。幼菌なのでひだはまだ白色ですが、後に変化が起こります 個体によって若干差がありますが、柄も栗色を帯びた個体が多いです。 そして驚いたのが凄まじい粘性。もうトロットロですよ。 柄にも粘性が移っていて指で摘むとつるつる滑りました。

■ 2008年10月13日 撮影

えっ・・・何コレ・・・?傘の直径は余裕の10cm超えで去年見たのと全然違う! 傘にはもう粘性は無く粉っぽい質感になり、周囲に溝線らしきものが見られます。 ただ良く見ると条線と言うよりは傘の成長にともない表皮が裂けた模様のようです。 アカゲシメジも疑ったのですが、周囲の子実体は表面の様子が違うようです。


■ 2008年10月13日 撮影

裏返してみると手に感じるズシリとした重み! 本種の最大の特徴である白いひだに時間と共に現れる褐色のシミがちゃんと出てますね。 またマツ林型は苦みはあるが食えるとの説を聞いたので、試しに噛んでみました。 うん、かなり苦い
■ 2007年10月13日 撮影

糸を引くほどの粘性にキノコ臭これは食べちゃう気持ちも分かる。

■ 2007年10月13日 撮影

幼菌と成菌でここまで傘の雰囲気が変わるキノコもあまり思い当たらないですね。 成長すると褐色の表皮が非常に細かく繊維状に裂けてこのようになるようです。 食えはしませんが、非常に「キノコ!」ってキノコなので愛でていますよ。

■ 2012年06月30日 撮影

今まで見たカキはどれも10月とかの秋のキノコ真っ盛りの時期に発生したもの。 まさか6月に見れるとは思っていなかったです。何か最近色々と変ですよねぇ。 それに偶然と言うには相応しくないかなりの個体数の発生が見られましたね。

■ 2012年10月20日 撮影

久々に大満足の群生に出会えました!やっぱり群生は迫力がありますね! ちなみに右上に何か柱が見えてますが、これ公園の歩道のコンクリ脇です。

■ 2013年11月02日 撮影

本種は秋だけじゃなくて初夏にもチョロっと出ますが、やっぱ本番は秋ですね。 見よ!この充実した見た目・・・これは確かに食べたくなるのも頷けますわ。

■ 2013年11月02日 撮影

夕日を浴びるカキシメジの群生。傘に強い粘性でテカっていますね。


■ 2013年11月02日 撮影

裏返してみました。指で引き抜こうとすると柄もぬめってるのが分かります。 試しに噛んでみましたが、やっぱり苦いですね。すぐに味を感じます。

■ 2015年11月21日 撮影

ホントTricholomaは丈夫で、比較的遅い時期まで残っていることが多いです。 ぶっとい柄にシミだらけのひだ。本種らしさ前回で撮り甲斐がありますね。 ちなみに傘に粘性があるので落ち葉に表皮が付いて行ってしまいハゲてます。

■ 2020年10月11日 撮影

実はこの頃から「あれ?これカキシメジじゃなくね?」と思い始めました。 てか今まで気付かなかったのかって感じですけどね。 一応自分の中でカキシメジとカキシメジモドキとの違いがしっくり来たのでページを分けました。