★Turmalinea persicina (ウスベニタマタケ)

■ 2018年11月18日 撮影

発生環境からある程度狙って発見することができたのは貴重な経験でした。 ブナ科樹木、特にカシ類の樹下に発生する愛らしい地下生菌「薄紅玉茸」です。 以前観察会で似た環境に発生していたのを覚えていたのが勝因だったと思います。 数ある地下生菌の中でも特に愛らしさにステ振ってる感じがたまりません。 こんな外見ですが、れっきとした菌根菌、て言うかイグチ科に属します。

その名の通り薄紅色の球状の子実体を持つのが和名の由来ですね。 大きくても3cmほどにしかならず、そのサイズになるのもかなり稀です。 また本種は基部にオレンジ色の菌糸束を持っているのも注目です。


■ 2018年11月18日 撮影

湿潤なカシ林の地上に積もった落葉を熊手でガサガサするとコロコロと出て来ます。 本種は地下生菌と言うワリにはあまり地面に潜っておらず、土とリター層の境界あたりに子実体が居ます。 そのためリターを動かすと簡単に菌糸束が切れてしまいます。


■ 2018年11月18日 撮影

近くに何やら変な黄色いモノが。これ実はSepedonium属の厚膜分生子。 一般的には「アワタケヤドリ」と言われている寄生菌なのです。 その名の通りイグチ類に専門的に感染する菌であり、ウスベニタマタケがイグチの仲間である証拠です。 逆にこの黄色を目印に地下生菌を探すことができるので、指標ともなっています。

小さなキノコなので食べる気にもなりません。一応食毒不明としておきます。 一応イグチに近縁と言うことなので、ショウロみたいに食べれるかもですね。 地下生菌は動物に摂取されることで胞子を拡散する種も多いと言われますし。

■ 2017年11月04日 撮影

初めて自力発見した子実体です。観察会で発生環境に目星をつけ、実際に発見に至りました。 一定の湿度を保っているようなカシ林地上を熊手で掻くとコロコロ出て来ますね。


■ 2017年11月04日 撮影

切断してみました。内部にはキノコバエの幼虫が侵入して穴だらけに・・・。 ま、元々本種のグレバは小腔室と言う無数の穴に埋め尽くされ迷路状です。 食われた跡が変色していますが、若干青変性が有るのかも知れませんね。 若い内は白色ですが、成熟すると黒褐色に変化、ほぼ真っ黒になります。


■ 2017年11月04日 撮影

グレバ断面をマクロレンズで撮影して気付きました。胞子見えてるじゃん! 点々と見えている褐色が胞子。地下生菌の胞子は大型のことが多いですしね。 しかし流石に未熟だったのか、顕微鏡での観察は失敗に終わってしまいました。

■ 2017年11月04日 撮影

地下生菌のワリには比較的リター層の浅い場所に居ることが多いですね。 と言うか場合によっては地面にほぼ露出している場所も有ったりします。

■ 2017年11月04日 撮影

熊手でカシの落ち葉をガサガサ掻いていると、面白いくらい沢山出てきます。


■ 2017年11月04日 撮影

菌糸束が観察しやすかったので単体で撮影しました。オレンジが映えます。 落ち葉に広がっているので腐生性に見えますが、本種は菌根菌ですからね。

■ 2017年12月30日 撮影

年末に地下生菌観察会を行いました。正月前に何やってんだとか言わないで。 数多くの地下生菌が見付かった素晴らしい森では本種も張り切っていました。 明らかに以前地元で見た子実体よりも表面の色が濃く鮮やかです。可愛い♪


■ 2017年12月30日 撮影

拡大してみると表面は美しい紅色。良く見ると細かな繊維状になってるんですね。 しかし埋まってて見えないくせに、どうして萌えにステ全振りしたんでしょう?


■ 2017年12月30日 撮影

引っこ抜いてみるとしっかりしたオレンジ色の菌糸束が付いてきました。


■ 2017年12月30日 撮影

可愛そうですが切らないと内部を観察することができません。致し方無しです。 断面は以前見た子実体より熟しており、色を帯び、一部褐色になっています。 菌糸束の繋がいる近辺だけ質感が違いますが、ここが柄の名残の無性基部。 ノウタケなどにも見られますが、ハラタケ目から進化した証拠と言うワケです。


■ 2017年12月30日 撮影

胞子観察用に持ち帰った半分を家で黒バック撮影。やっぱ映える色ですね。 この無性基部がちゃんと柄になっているのが南半球の有袋菌って感じ。


■ 2017年12月30日 撮影

グレバは小腔室が無数に存在してスポンジ状ですが、密度はやや高め? この空洞内部表面に担子器が存在し、そこに担子胞子が形成されます。


■ 2017年12月30日 撮影

リベンジ成功で胞子を観察することができました。茶褐色で紡錘形をしています。 注目すべきは外側。輪郭がボケているのは表面に6枚程度の翼が有るためです。 横倒しの胞子では観察不可能ですが、上向きの胞子を見れば一目瞭然です。 ただ普通に観察すると基本横倒しになるので、これを見るのは至難の業ですよ。

■ 2018年03月31日 撮影

春の子嚢菌類探しでツチダンゴでも見付かれば良いと掘ってみると、何か居る!


■ 2018年03月31日 撮影

これ実況中では菌糸束が写ってるんですが、色褪せたウスベニだったんです。 地下生菌は時期を選ばない種が多いですが、まさか早春でも出てるとは! 断面も作ったんですが動画撮影中に落として見失ってしまいました・・・。

■ 2018年04月30日 撮影

黄金週間の地下生菌オフにて発見。ホントお前どこにでも居るんだなマジで。 アメジストの詐欺師さんが無いと言っていたフィールドなので驚いてました。

■ 2018年11月17日 撮影

同年の3月に白っぽい子実体を発見したフィールドに地下生菌シーズンになってから再度訪れてみました。 すると車道のすぐ脇のリターをひと掻きしただけでコロッと大きな子実体が飛び出してきました。 実況を撮ろうと思っていたんですが、あまりにもアッサリ見付かったので忘れてしまいました。


■ 2018年11月17日 撮影

周囲の似た環境を探すとほぼほぼ当たり。最終的には20株以上は見付かったでしょうか。 胞子観察がしたかっただけなので成熟していそうな子実体を2つほど持ち帰ることに。


■ 2018年11月17日 撮影

裏返してみると鮮やかなオレンジの菌糸束もバッチリ!


■ 2018年11月17日 撮影

帰宅後にクリーニングしたものを黒バック撮影してみました。 子実体は玉と言うよりはと言った感じで決して綺麗な球形とは言えませんね。 イグチの仲間らしく弱い青変性があるようで、部分的に少し青っぽくなっています。 指でつまむと程よい弾力があります。 オレンジ色の菌糸束が出ている場所が柄の名残の始まりの場所です。


■ 2018年11月17日 撮影

断面はこんな感じ。基部の半透明の部分が柄だった部分の無性基部。 内部のグレバは小腔室と言う小さな空間が集まってスポンジ状になっているのが弾力の正体。 ちなみに内部は見ての通りキノコバエの幼虫に食い荒らされています。 もしかしてコイツらが胞子の拡散に一役買っているのかな?

余談ですが、この子実体は胞子観察用に追培養したのですが、中からキノコバエの蛆が這い出してきて地獄を見ました。 ケース内に沢山繭が出来ていたのを見た時は流石に鳥肌が立ちましたね。 中には繭を作っている最中の蛆も居て、絶叫しながら処分しました。


■ 2018年11月17日 撮影

グレバを切り出して顕微鏡観察してみました。このように小腔室内面に胞子が見られます。 担子器も頑張れば見れるんでしょうが、今回は確認できませんでした。


■ 2018年11月17日 撮影

胞子だけ切り出してみました。 成熟度合いの違いでしょうか、結構大きさや形にバラツキがあります。 もう少し拡大しましょうか。


■ 2018年11月17日 撮影

昨年2017年の12月に撮影した胞子は旧顕微鏡で撮影したもの。 今回はgajin氏に頂いた新しい顕微鏡による油浸対物レンズを用いた高倍率撮影です。 胞子は紡錘形で茶褐色。担子器と繋がっていた一端は尖っています。 今回はやや未熟なのか翼が確認しづらいです。何となく出来始めらしき肋は見られますが。

■ 2018年11月18日 撮影

17日に行きたかったフィールドに時間が足りず行けなかったため、2日連続で地下生菌探しへ。 案の定ここでも本種が見付かりました。もうカシ林ならどこにでも居るんじゃねぇの? しかもここの子実体は本当に大きくて綺麗です。

■ 2018年11月18日 撮影

ここは比較的乾いた斜面で表土も砂利質、リターもほとんどありません。 カシの乾いた葉が薄く積もっている程度なのですが、それでも大丈夫なんですね。 ただ本種が生えている場所は局地的に湿っている印象です。

■ 2018年11月20日 撮影

18日に成熟が進んでいそうな子実体が採取できましたので、追培養分と合わせて再度観察しました。 明らかに17日に観察したものより胞子が濃色になっています。本来はこらくらいの茶褐色のようですね。


■ 2018年11月20日 撮影

表面の特徴も何とか見れるレベルになったかな?左上と中央の胞子が分かりやすいかと。 本種の胞子の側面には6本程度の翼が存在します。 ただ普通に観察すると胞子が横倒しになってしまうため、輪郭がボケたようにしか見えません。 なので周囲にもたれかかれる障害物がある場所を選ぶなど胞子が立つように工夫する必要があります。
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