■Amanita sp. (テングタケ属 No.003)

■ 2020年09月26日 撮影

初めて出会ったのは2007年。その後は毎年のように近所のスダジイ林で出会います。 初発見時から初心者ながらに何かコイツ図鑑で見覚えないぞ?とは思っていました。 そして知識が付くほどに・・・結局分からないと言う身近なAmanita属菌です。 一応Twitter上では他の地域での発見例がありますが、ネット上ではほとんど発見報告がありません。 海外図鑑を見ても類似種が見当たりません。マジで誰か教えて下さい。

ヒメコナカブリツルタケに近縁だと言うのは何となく分かります。 しかし粉状の外被膜の破片の色が全く異なりますし、本種のほうがやや大型になります。 またヒメコガネツルタケは外被膜の破片が白色いぼ状な点で異なります。


■ 2020年09月26日 撮影

傘はほぼ平らに開き、淡黄色を下地として同色の粉状の外被膜の破片に覆われています。 傘の周囲には粉に覆われていても分かる程度にハッキリと溝線が入ります。 見た目的にはヒメコナカブリツルタケの2Pカラーと言った感じ。


■ 2020年09月26日 撮影

ヒメコガネツルタケと決定的に違うのはこの粉状の外皮膜の破片です。 指で擦ると手にきなこみたいな淡黄色の粉が付着します。 なので個人的には色も考慮して「キナコテングタケ」と呼んでいます。


■ 2020年09月26日 撮影

裏側です。ひだは白色で密。ひだが柄に対して大きく離生するのが印象的です。 ツルタケ系なだけあってつばは無し。基部はやや膨らみます。 柄にも傘と同色の粉が付着しています。 これらの特徴もやっぱヒメコナカブリツルタケと共通ですね。

不明種なので食毒は不明ですが、ヒメコナカブリツルタケと近縁と考えると有毒と考えて良いでしょう。 ただ多分ですが胃腸系の中毒を起こすタイプのAmanitaなんでしょうね。つぼ、つば、条線無しの猛毒系統とは縁遠いでしょうし。

■ 2007年09月24日 撮影

初発見時の旧TOP写真です。この個体群に出会う少し前にボロボロのものを撮影しています。 しかしその時は傷んで変色したヒメコナカブリツルタケかな?くらいに思っていました。 で、コレを見てあれ?と思ったワケです。


■ 2007年09月24日 撮影

まだ幼菌なので傘が丸まっていますが、風雨に曝されていないので粉がしっかり残っています。 本当に粉々しいテングタケですね。そして注目すべきは傘の中心部分です。 そう、トゲ状の外被膜の破片があるんですよね。 これたまにカバイロコナテングタケにも見られる現象ですよね。 粉状外皮膜を保つ種にも残っているいぼ状外皮膜の名残りなんでしょうか。

■ 2008年09月20日 撮影

毎年同じ場所に発生するため見付けるのはチョー簡単。行けば出会えますね。 以前は傘の頂部にトゲ状の突起があったのですが、この個体群には見られません。 今まで見た物よりやや細い感じがします。 生育不良でトゲが出来なかったのか、それとも雨で流されてしまったか。


■ 2008年09月20日 撮影

雨のせいで傘の付着物が全て洗い流され、このように地肌を見せていました。 粉が無くても傘は黄色く、傘は中央部ほど色が濃くとても綺麗な色合いです。 傘の周囲にはハッキリと条線が見られます。コレ見ると確かにテングタケ属菌だなぁって思えますね。


■ 2008年09月20日 撮影

下に写っていた幼菌群です。この個体はまだ顔を出したばかりのようで新しいです。 傘にはちゃんと外皮膜の痕跡が残っています。粉末の色も黄色みを帯びています。

■ 2009年07月19日 撮影

初めて発見した時の個体と良く似た個体を久し振りに目にしました。


■ 2009年07月19日 撮影

こう言う個体が稀に紛れているので最初同定に困って不明種にしていました。 傘の色や表面の微粉末の感じはとてもよく似ているのです。 しかし明らかに表面の粉に紛れて硬質のつぼの破片がチラホラ見えるのですよ。 個体によってはかなりの数の突起が付着している物も見かけます。

■ 2012年09月15日 撮影

実は久々の発見。今まで1ヶ所でしか見てなくて、その場所で最近見てません。 しかし少し離れた別のフィールドで意外にも出会って衝撃を受けました。 と言うことは他の場所にも広く分布してる比較的普通種である可能性が高いです。 そのワリにネットでも発見報告に出会わないんですよね。

■ 2013年09月22日 撮影

毎年見るには見るのですがあまり発生量は多くない本種。しかし今年は大爆発! 沢筋に大群生を作っており、上の山道を歩いていて白い点が沢山見えました。 この個体のように、成長し切って傘が開くと表皮が放射状に裂けます。

■ 2013年09月22日 撮影

この頃はあまり樹種を意識していなかったのですが、この根と周囲の落葉はやっぱスダジイか? 意識してからはスダジイの樹下で出ているなーとは思ってました。

■ 2013年09月22日 撮影

この種には珍しいがっしりした柄の太い個体です。 と言っても傘径5cmですが、普段見る本種よりも一回りも二回りも大きく感じます。 なので勿体無くて引っこ抜くのは止めました。


■ 2013年09月22日 撮影

勿体無いのでしゃがみ込んでパシャリ。実にテングタケの仲間らしい横顔。 本種の特徴として、柄に対しひだが強烈に離生する事が挙げられます。 と言うか傘の付け根で柄が一気に太くなるのでひだが追いやられる感じ。 これは外見的に似ているヒメコナカブリツルタケでも共通して見られます。

■ 2013年09月22日 撮影

薄暗い森の中で隊列を成していました。どうやら本種の菌輪だったようです。 周囲を見るからにやはりシイやカシ、コナラなどどんぐり系の樹木に付いてる様子。

■ 2016年09月10日 撮影

今年は多数の発生を確認した謎のテングタケ。群生しやすい種かな? この辺りから勝手に「キナコテングタケ」の名前で呼び始めました。 Twitterの発見報告見てると西日本では比較的普通に見れる種みたいですが、それでも報告が限られるような。


■ 2016年09月10日 撮影

傘を見ると粉が取れて下地が見えてますね。傘もしっかりと黄色系です。 尾根の部分に粉が乗っているので溝線が確認しやすくなっています。


■ 2016年09月10日 撮影

裏側です。いつ見てもこの特徴的な柄とひだの境目の離れ方はあまり見ない感じ。 ヒメコナカブリツルタケも似た感じになりますし、流石は近縁種ですね。 そしてアップにして気付いたのは、ひだが途切れてからも柄に向かってひだの延長があるのですね。 これもしかして分かりにくいけど間延びした湾生なのか・・・?

■ 2023年09月03日 撮影

2020年以来なぜか目にしなかった本種、今年は複数のフィールドで十分な数の発生が見られました。 発生しない年があるような種ではないとは思うので、偶然見過ごしていただけでしょうね。

■ 2023年09月03日 撮影

これほどの幼菌は初めて見たかも知れません。成菌が近くに無いと見落としていました。 こうして見ると幼菌の段階でトゲ状の外被膜の破片が万遍無く傘に散っていたんですね。 トゲ状の破片と粉状の破片が同時に形成されるのは興味深い特徴です。

■ 2023年09月03日 撮影

この日見た中では最も整った形状の成菌ペアでした。 正直TOP写真差し替えようかと思ったくらいです。 ただ勿体無くて抜けず、裏側の写真が撮れなかったので断念。


■ 2023年09月03日 撮影

やっぱこの独特な色合いと外被膜の破片の破片の付き方は独特ですよね。 一番似ているのはヒメコナカブリツルタケなんでしょうけど、 色だけではなくこのトゲ状の外被膜の破片の有無が決定的に異なりますからね。


■ 2023年09月03日 撮影

このフィールドはヤマビルが出没するのでしゃがんで撮影したくはなかったんですが、 抜くのは勿体無いしかと言って裏側も撮りたいの葛藤の末に三脚のスペックに頼ったローアングル撮影を実施。 引き抜かなくてもひだの離生の様子もしっかり写すことができました。 ただこれだと基部の膨らみが納まらないので、やっぱ基本的には抜いて取るべきなんでしょうね。
■図鑑TOPへ戻る