■Hymenogaster sp. (ヒメノガステル属 No.005)


■ 2019年02月09日 撮影

ヒメノガステル属 No.004」の傍らにて発見。最初はその幼菌だと思いました。 しかしマクロ撮影していて表面の質感の違いに気が付き、念のため標本を採取。 結果はかなり珍しい種だったみたいです。いまいちピンと来ませんけど。 シイやカシなどの広葉樹下に発生し、実は以前別の場所で発見していました。

本属はワカフサタケ属から地下生菌に進化した種です。 公園などの人の手が入った撹乱地を好みます。 本属菌は基本的に無毛のハズなのですが、本種は外見に加え顕微鏡レベルでもかなり特殊でした。


■ 2019年02月09日 撮影

子実体はやや小型で淡黄色。表面にうぶ毛のような白〜淡黄色の菌糸に覆われているのが特徴です。 先述の通り本属菌は幼菌だろうと基本的に無毛なので、この質感は発見段階から違和感を覚えていました。 また触れた部分は表面の菌糸が剥げて黄褐色に変色し、菌糸も部分的に同じ色を帯びています。


■ 2019年02月09日 撮影

帰宅後にクリーニングしたら表面の菌糸は全部ペタッと表面に貼り付いてしまいました。 全体的に淡黄色で、やはり比較的ツヤっとしているはずの本属菌にしては粗面です。


■ 2019年02月09日 撮影

切断してみて幼菌ではなかったことは確信が持てました。 グレバは迷路状の小腔室で満ち、色は暗赤褐色と小さい割に濃色です。 また比較的外皮が厚いことと無性基部が大きいことも気になります。


■ 2019年02月09日 撮影

子実層面を観察してみました。ん?変な形の胞子が・・・。


■ 2019年02月09日 撮影

とりあえず担子器を油浸対物レンズで観察してみました。 ヒメノガステル属菌らしい典型的な2胞子性ですね。 ここまでは普通だったのですが、子実層面を何ヶ所か観察していると奇妙なものが見えました。


■ 2019年02月09日 撮影

何か子実層面から飛び出していますが、これってもしかしてシスチジア? 地下生菌の子実層面を観察していてここまで明確なシスチジアを見たのは初めてかも知れません。 担子器を観察した場所のようなシスチジアが見られない場所もありますが、大部分がこんな状態になっています。


■ 2019年02月09日 撮影

シスチジアは長軟毛と表現されるタイプかな? この辺は良く知らないんですよね。


■ 2019年02月09日 撮影

担子胞子はレモン形で茶褐色。両端に乳頭状突起を持ちます。 一方は担子器と繋がっていた名残ですが、その反対側の乳頭状突起が長いのです。 形状にバラツキはありますが、他のヒメノガステル属菌とは明らかに異なる形状です。 胞子外膜もピッタリと貼り付いているためか胞子の形状が整っていますね。 胞子表面はいぼに覆われています。

食毒不明ですが、小型の上に油臭いような青臭いような不快臭があるので食不適は確実でしょう。 ワリと珍しい菌みたいなので、見付けたら発見報告を上げたほうが良いかも。

■ 2018年12月22日 撮影 撮影

実は年末の京都オフにて見付けていましたが気付いていませんでした。 普通に「ヒメノガステル属 No.001」のメインフィールドなので同種の幼菌だと思いこんでいました。 良く見れば子実体表面にうぶ毛のようなものが見え、変色性も色合いもバッチリ同じです。
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