■Jimgerdemannia sp. (ジムゲルデマンニア属 No.002)

■ 2020年03月21日 撮影

春の地下生菌探索!いつものメンバーでどろんこ氏のフィールドへ。 レア地下生菌が出たり菌生冬虫夏草が出たりと盛り上がる中で見慣れないモノを発見。 非常に小さくてイマイチ盛り上がりませんでしたが、個人的には大興奮してました。 見たのは2種類目。広葉樹林地上で発見した接合菌類の1種です。 以前はアツギケカビ属(Enodogone)とされていましたが、現在は同科別属になっています。

「アツギケカビ」の由来は菌糸を纏い地下生菌化しているので「厚着毛黴」だそうです。 外生菌根性の地下生菌であり、Mycena属に感染するタケハリカビなどに近縁です。 日本国内もかなりの種類が存在するようですが、発見が困難で中々話題に上がりません。 ちなみに属名の由来はグロムスやアツギケカビの研究者の「Jim Gerdemann」氏。


■ 2020年03月21日 撮影

上の写真だと微妙に分かりづらいので少し拡大。この砂利の粒みたいなのが本種です。 子実体は3個写っています。そう、コイツらがそうです。


■ 2020年03月21日 撮影

子実体は大きくても3mm程度とかなり小型。 全体的に黄土色で不規則な塊状です。 正直最初に見付けた時は何かの菌根か根粒かだと思ってましたからね。 面白かったのが小さな木片などの腐植に貼り付くように発生していたことです。 これ以前見た別種も同じだったので、本属に良く見られる特徴なのかも知れません。


■ 2020年03月22日 撮影

帰宅後に黒バック撮影してみました。 内部は表面よりやや淡い黄土色の菌糸で満たされており、小腔室は見当たりません。 興味深いのはかなりしっかりした外皮があることでしょうか? ここまで明確な外皮はあまり本属菌では見ない気がします。


■ 2020年03月22日 撮影

断面を拡大してみると断面に一定間隔で粒が見られます。 これを見ればもう確信ですよ。何とコレ本種の胞子なんです。 本属菌の胞子は非常に大型であり、顕微鏡を使わずともルーペで見れてしまいます。 大型の胞子を持つ種だと肉眼でも見えてしまうほどなんです。


■ 2020年03月22日 撮影

子実体を薄くスライスして切片を作り、顕微鏡を用いて低倍率で観察してみました。 すると内部には巨大な胞子が沢山! ちなみに何度か切断しましたが乳液は出ませんでした。 となると「J. lactiflua」ではなさそうですね。


■ 2020年03月22日 撮影

接合胞子は綺麗な球形で直径は何と70μm! 普段見ているツチダンゴ系が20μm前後のものが多いのを考えると、いかに巨大化が良く分かります。 同属菌には100μmを超える種が存在するので、これでもまだ小さいほうと言う凄さ。 胞子表面には菌糸がまとわり付いています。


■ 2020年03月22日 撮影

胞子は淡黄色厚膜。ピントを帰ると分厚い黄色い細胞膜が観察できます。 少なくとも自分が初めて見付けた種とは別種なのは間違い無さそうです。

不明種なので当然ながら食毒不明ですが、ケカビ門に属するような種なので食不適でしょう。 ケカビ門に属する種なので、形状は違えどカビ的な存在ですからね。 果たして未記載種なのか、それとも既知種なのか。私では判別できません。

■ 2020年03月21日 撮影

初めて発見した個体群です。 この段階では形状があまりに不規則なので菌核だと思ってました。 しかし触った時の質感に違和感をおぼえてカッターナイフで切ってみました。


■ 2020年03月21日 撮影

切れ味が悪いカッターナイフなので断面はボソボソになってしまいました。 それでも断面に胞子があることを見逃しませんでしたよ。 ちなみにやたら扁平なのは落枝の破片に密着していたためです。 落枝や樹皮などのある程度の強度のある植物体の残骸にへばり付いて成長するように感じます。
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