■Sarcodon sp. (コウタケ属 No.001)

■ 2020年07月23日 撮影

初発見は近所のスギとモウソウチクの混生林内。ここ以外ではまだ見ていません。 最初はパッと見でケロウジだと思ったのですが、撮影のために引っこ抜いた際に別種と分かりました。 同定に関しては不安が残りつつもコウタケ属菌としていましたが、 2020年の顕微鏡観察で本属菌であると確信しました。 暗色の子実体の裏側に傘を持つヒダナシタケ型菌で柄に垂生しないと言うのは地味にレアケース?

類似種を発見される方も居られ、オリーブハリタケの近縁種では?と言われています。 ただ色合い的にそのものでは無いと思われるので、不明種として掲載します。


■ 2020年07月23日 撮影

子実体は柄と傘を持つハラタケ型のキノコのような見た目をしています。 実際に傘表皮が滑らかな幼菌の頃だと普通のキノコにように見えてしまいます。 ただ幼菌はほぼ真っ黒で、成長すると紫色を帯びた暗灰褐色になります。 この色合いはケロウジに良く似ていますね。


■ 2020年07月23日 撮影

裏側を撮影するために引っこ抜いてみました。こうして見ると紫色っぽいのが良く分かります。 柄は傘と同色。傘の裏側は針状で、幼菌時はクリーム色ですが、成熟すると傘や柄とほぼ同じ色になります。


■ 2020年07月23日 撮影

成熟したほうの子実体を黒バック撮影してみました。 ケロウジと比べると柄と裏側の境界がハッキリしており、キノコ型のキノコって感じがします。


■ 2020年07月23日 撮影

裏側はこんな感じで褐色の針状になっています。 ひだや管孔と同じで、子実層面の表面積を広げるための工夫ですね。 注目すべきは針が柄に垂生しない点です。 このような特徴を持つハリタケ型菌は意外にも少ないんですよね。


■ 2020年07月23日 撮影

コチラはすぐ隣に生えていた幼菌です。 若い頃は子実体全体が新鮮さに溢れ、色も濃くて裏側も明るい色合いをしています。 何かクロカワを彷彿とさせる色合いですね。 ただアチラは全体的に平らですが、本種はしっかりと柄が長いです。


■ 2020年07月23日 撮影

裏側を拡大してみました。まだ針が伸びていないので表面がつぶつぶしているだけです。 ここから針が伸びると同時に針状の裏面は暗色に、子実体全体は淡い色合いに変化します。 若い頃は白い裏側と黒い柄のコントラストが良いですね。クッキリ色分けされています。


■ 2020年07月23日 撮影

成熟した子実体の傘を拡大してみました。これはハラタケ型菌とは明らかに異なる質感。 この統一感の無いササクレ立つ傘表面はヒダナシタケ型菌だなぁと言う感じ。 ただコウタケの突起やケロウジのひび割れのような分かりやすい表面構造はありません。


■ 2020年07月23日 撮影

胞子が見たくて顕微鏡観察したのですが、ついでに子実層面も観察してみました。 でも針1本をスライスする必要があり、これが限界でした。 でも表面に担子器が並んでいるのは観察できましたよ。


■ 2020年07月23日 撮影

顕微鏡観察最大の目的はこの胞子を見るため。 この金平糖のようにデコボコした担子胞子はまさにコウタケ属菌の特徴! これでとりあえず属名はこれで良いかなと納得することができました。 にしても、本属菌の胞子を見たのは本種が初でしたが、個人的にメチャクチャ好きな形状です。

噛むと強烈な苦味があり、ケロウジ同様食不適で間違い無いでしょう。 とりあえずこんな奴も居ると言うことだけは覚えておいた方が良いかも。

■ 2016年10月10日 撮影

初発見時は同じ場所。最初見た時は普通にケロウジだろうなと思っていました。 しかし横アングルに違和感をおぼえ、引き抜いて裏側を見た時に初見の種であると確信しました。


■ 2016年10月10日 撮影

傘は紫褐色で表面の鱗片は多くありません。粗面と言った感じです。 幼菌時は丸みを帯びている傘も、開くと不規則だったり整っていたり。


■ 2016年10月10日 撮影

別種だと確信したのはこの裏側を見た時でした。 明らかに針が柄に対して垂生しないのは決定的な違いでしょう。 また針も良く見るケロウジに比べて太くしっかりしている印象を受けます。 柄も下方に細くならずに上下同幅でハラタケ型の柄に近い雰囲気です。 更にケロウジに良く見られる基部の灰青色の菌糸も全く確認できません。

■ 2016年10月10日 撮影

気になったので少し探してみると周囲にかなりの発生量が確認できました。 そして幾つかの老菌を見て確信、どうやら老成すると黒変するっぽいです。


■ 2016年10月10日 撮影

確信がより強くなった裏面です。これは明らかにケロウジではない、絶対! 裏の針の部分が垂生ではなく真っ平らに開いている光景は衝撃でしたよ。 似すぎてて最初ミカワクロアミアシイグチかよとか思っちゃいましたから。

■ 2020年07月23日 撮影

この日は本種が大発生!2016年以降姿を見ていなかったので、ここぞとばかりに撮りまくりました。 ただ上から見ると本当にヒダナシタケ型菌に見えないので、時間も経っていたので忘れてましたね。


■ 2020年07月23日 撮影

試しに一番小さい子実体を引っこ抜いてみました。 以前見た物に比べると極小ですが、その特徴は間違い無く本種のものです。 成長不良なのか傘が小さくて丸みを帯びていたので、抜いてもなお普通のキノコに見えました。

■ 2020年07月23日 撮影

老成した子実体です。いかにも古いなって見た目になってますね。 成熟した状態に比べて針が糸のように長くなっているので雰囲気が全く異なります。 針が長い上に脆くて簡単に取れてしまうので、流れがあるかのように倒れてしまっていますね。
■図鑑TOPへ戻る