■Tolypocladium sp. (トリポクラジウム属 No.004)

■ 2019年05月04日 撮影

春の地下生菌および冬虫夏草オフにてケンン氏が発見した見慣れない菌生冬虫夏草。 お目当ての春型タンポやヌメタン、サキブトタマヤドリが見付からない中での大発見でした。 春にツヅレシロツチダンゴの仲間から発生する小型のトリポクラジウム属菌です。 自分もこのカラーリングは見たことが無く、標本はY氏の元で詳しく調べられることに。 その結果ミヤマタンポタケに近縁な新種の可能性が浮上しました。

カラーリング的にはサキブトタマヤドリタケ(関東型)を思い浮かべるのですが、どうも違うっぽいです。 本種は関東型サキブトとは異なり、結実部が明確なタンポ型になります。 また宿主もすでに知られている種とは異なります。何もかもが謎だらけですね。 関西型のミヤマタンポタケとする説もありますが、子実体の色や形状から別種と考えています。


■ 2019年05月04日 撮影

子実体はタンポタケの仲間らしい典型的なタンポ型。 結実部は黄褐色で子嚢殻は埋生。子嚢殻先端もあまり突出しないようです。 結実部と柄の境界はハッキリしており、柄は白〜淡黄色で表面はややザラザラしています。


■ 2019年05月04日 撮影

地面を掘って断面を作成した状態。ケンン氏が作成したものを撮影させて頂きました。 地下の柄は白色で、白い菌糸に覆われた宿主に直根状に繋がっています。 灰青褐色の胞子を持つツヅレシロツチダンゴ近縁種に発生しますが、これが少し珍しい宿主でした。

不明種と言うか新種の可能性も捨て切れないレベルなので当然ですが食毒不明です。 ただ薬効があるかどうかも不明ですし、恐らく食用価値は無いでしょう。土臭いし。

■ 2019年05月04日 撮影

コチラもケンン氏が発見した別個体。コチラは宿主確認のため現地で切断しました。 驚くべきは宿主が灰青褐色の外皮を欠くツヅレシロツチダンゴ近縁種だったことです。 我が家のサイトにも宿主と思しき種が掲載されているので探してみて下さい。 ちなみにこのタイプのツチダンゴが宿主のトリポクラジウムは自分は知らなかったですね。
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