Byssolite/ビソライト
Ca2(Mg,Fe)5(Si8O22)(OH)2


20100204 St. Gotthard, Kanton Uri, Switzerland

ある程度鉱物をかじっていても、中々耳にしない鉱物「ビソライト」です。
主な産地としてはイタリアが有名ですが、スイスなどでも産出します。
緑閃石が細かな繊維状に結晶した鉱物で、「石綿」の一群に含まれます。
青石綿や茶石綿と比べると安全のようですが、一応慎重に扱ってはいます。
開封時に少し手荒な事した感が有るので心配なんですがね・・・。


20100204 St. Gotthard, Kanton Uri, Switzerland

母岩は氷長石の集合体で、その上に緑泥石とビソライトが共生しています。
本鉱の標本は長い針状になる事が多いですが、この標本ではかなり短いです。
そのためか、軽く息で吹いてもビクともしないので、一応救われた気がします。
産業的に細かく加工されたものは危険ですが、長い結晶は安全だそうです。
確かにこれが空中に舞っても、肺まで辿り着けないような気もしますが。


20100204 Petit Mont Blanc, Aosta Valley, Italy

やはりビソライトの標本と言えばこの姿。氷長石に乗った長い毛状結晶群。
イタリアから産出する本鉱はこのような姿をしている標本が多いですね。
非常に脆く、ちょっとした衝撃で折れるので、ケースは二重になっています。
白く見えますが、これは繊維の光沢が強いので、光が反射しているためです。


20100204 Petit Mont Blanc, Aosta Valley, Italy

拡大です。この淡いウグイス色が他の石綿とは違う雰囲気を醸し出します。
まるで動物の毛のようですが、柔軟性は無く、折れると粉々になります。
クリソタイルとは全く違って繊維が自立し、直線的に伸びる姿が力強いです。
吸引は何としても避けたいので、保管の際は充分に注意して下さい。