Calcite/方解石
CaCO3


20100206 Santa Eulalia, Chihuahua, Mexico

ありふれた鉱物「方解石」。その色や形状は極めて多彩で集め甲斐有り。
「カルサイト」と言うと格好良いですが、用は炭酸カルシウム、石灰石です。
モース硬度3の指標鉱物。酸に入れると二酸化炭素を発生させて溶けます。
様々な形状を持つ鉱物であり、この標本は「犬牙状」と呼ばれるもの。


20100206 Santa Eulalia, Chihuahua, Mexico

犬の牙に例えられるだけあって、非常に鋭く尖った牙のような結晶です。
黒い結晶ですが、内部は透明です。表面に別好物の皮膜ができています。
インクルージョンによって一つの標本で様々な色彩を楽しめて大満足!
価格もお手頃なので、様々な標本を集めてみるのも良いでしょうね。


20100206 Shimen Mine, Changde Prefecture, Hunan Province, China

中国産のカルサイト。値段を語るのはいやらしいですが、2000円切ってます。
結晶の形状は犬牙状で、結晶の長さは驚きの8cm!かなり大型の結晶です。
透明度も非常に高く、周囲を彩る小さな結晶もあいまって見応え抜群ですよ!
ただとある理由で日が当たる場所には置けない、ちょっと厄介な標本です。


20100206 Shimen Mine, Changde Prefecture, Hunan Province, China

中々上手く写りませんね。結晶部分が大きすぎて写すと色焼けしてしまいます。
さて、分かりますか?内部に赤い小さなインクルージョンが何ヶ所か見えるのが。
実はこれは鶏冠石。光と反応して別鉱物へと変化してしまう厄介な鉱物です。
長いサイクルの変化ですが、明るい場所は避けるべき。見る時だけ出しています。


20100206 Sham Rock & Shell Pit, Okeechobee County, Florida, U.S.A.

ずっと探していた「貝化石カルサイト」と呼ばれる標本の一群です。
市場に出回るのはフロリダ、オーキチョービー産の二枚貝化石が全てです。
何と1000円を切る低価格で販売されていたので、迷わず購入しました。
貝は「Anadara sp.」。アカガイの仲間で、100〜300万年前頃の化石です。
このタイプの標本は普通ハマグリの仲間(Mercenaria permagna)が多いです。


20100206 Sham Rock & Shell Pit, Okeechobee County, Florida, U.S.A.

二枚の貝殻に挟まれた内部は犬牙状の結晶で完全に埋め尽くされています。
色はゴールデンセレナイトに似た黄色。淡い色合いがとても美しいです。
自分は化石にはあまり興味が無いのですが、このような標本は大好物ですね。
これは長さ約5cmの小型標本なので、もう少し大きな標本も欲しいですね。


20100206 Sham Rock & Shell Pit, Okeechobee County, Florida, U.S.A.

紫外線長波で乳白色の蛍光を示します。結晶だけでなく貝全体が光ります。


20100224 N'Chwaning Mine, Kuruman. South Africa

その色合いから「ハニーカルサイト」と呼ばれるメキシコ産の標本です。
このような大型の菱面体結晶は「オプティカルカルサイト」と呼ばれます。
無色で透明度の高い物は複屈折を観察しやすく、プリズムにも用いられます。


20100224 N'Chwaning Mine, Kuruman. South Africa

その名の通りハチミツのような色合いをしてる可愛らしい標本です。
上部は特に透明度が高く、結晶を通して遠くの文字が読めます。


20100224 Chihuahua, Mexico

この産地の標本は紫外線で乳白色に蛍光します。
内部が蛍光するのではなく、光るのは表面のみ。
照射を止めても1〜2秒の間ぼんやりと光ます。


20100206 N'Chwaning Mine, Kuruman. South Africa

近年人気の高くなって来ている「マンガンカルサイト」です。
これはCaの一部がMnに置き換わったタイプのカルサイトの事。
マンガンイオンによって淡いピンク色になるのが特徴です。
結晶性が低く、透明度も低いですが、面白い特徴を持っています。


20100206 N'Chwaning Mine, Kuruman. South Africa

拡大すると結晶一つ一つの形状が良く分かります。美しいですね。
透明度こそ無いですが、光に透かすと淡いピンク色が良く映えます。
ちらほらと混じっている針状の結晶はクトナホラ石のようです。


20100206 N'Chwaning Mine, Kuruman. South Africa

本鉱の最大の特徴、それはこの極めて強烈な蛍光性に有ります。
元々蛍光を示す事が多いカルサイトですが、群を抜いています。
画像は短波紫外線照射時。赤色の蛍光はとても美しいです。
ちなみに長波ではピンク色に湧き上がるような蛍光を示します。


20100224 Nuevo Leon, Mexico

恐らく最古参ではないかと思われるオプティカルカルサイトです。
詳細な産地は不明ですが、性質的にDos Amigos鉱山の可能性大。
色は淡いピンク色。透明度が高いので複屈折が観察しやすいです。


20100224 Nuevo Leon, Mexico

このように透明度が高すぎるので、撮影者泣かせの標本です。


20100224 Nuevo Leon, Mexico @


20100224 Nuevo Leon, Mexico A

@は紫外線長波での蛍光です。明るいピンク色に蛍光します。
これはマンガンカルサイトの蛍光の様子に良く似ていますね。

Aは蛍光ではなく「燐光」です。撮影段階では紫外線照射は行っていません。
これは短波紫外線照射後に照射を止め、露光時間4秒で撮影した写真です。
この標本は予め短波UVを照射しておくと、その後10秒以上燐光を起こします。
ちなみに蛍光は燐光と同じく青色で、長波の時よりも明度は低いです。
特に照射直後は照射中と同じくらい明るく、暗闇でなくとも視認可能です。
この燐光現象は長波紫外線ではほとんど起こりません。謎ですね・・・。


20101001 Ruck's Pit, Okeechobee County, Florida, USA.

フロリダ産の貝化石カルサイトですが、一般的な物とは違います。
これは二枚貝ではなく巻貝の化石。流通は比較的少ない標本です。
貝は「Buccinum sp.」。バイの仲間で、鮮新世〜更新世の化石です。
結晶化しているのは表面の一部で、ほとんど貝の形を残しています。


20101001 Ruck's Pit, Okeechobee County, Florida, USA.

最も綺麗な結晶部分を拡大してみました。透明感が有って美しいですね。
表面が滑らかで光沢が有りますが、これは研磨したものではありません。
周囲の岩石に結晶がぶつかって、そこで成長がストップしたためです。
本来は犬牙状だったのでしょうが、先端が平らな台地状になっています。
その後周囲の岩石だけ取り除いたため、不思議な表面になっています。


20101001 Ruck's Pit, Okeechobee County, Florida, USA.

紫外線で蛍光しますが、結晶部分が少ないので暗いです。