Hackmanite/ハックマン石
Na8Al6Si6O24(Cl2,S)


20100204 Sar-e-Sang, Kokscha Valley, Badakshan, Afghanistan

特異な性質から収集家の間で人気が高く、お値段も高い「ハックマン石」です。
名前も印象的ですが、印象的なのはその強烈な蛍光性です。本当に凄いです。
色はライラック色である事が多く、多くの標本が透明感の少ない物が多いです。
また塊状で産出する事が多く、結晶構造を保った標本は極めてレアです。


20100204 Sar-e-Sang, Kokscha Valley, Badakshan, Afghanistan

拡大してみるとかなり透明度が高い事が分かります。結晶面も見えますね。
小型標本ですが、母岩に脈状に見られる事が多い鉱物なのでお気に入り。
ちなみに母岩付きの結晶性ハックマン石は、まず手が出ないでしょうね。


20100204 Sar-e-Sang, Kokscha Valley, Badakshan, Afghanistan

マウスを乗せれば分かる、ハックマン石の強烈な蛍光性。かなりの明度です。
明るいオレンジ色に標本全体が蛍光し、光源が遠くてもちゃんと光ります。
強蛍光のイギリス産蛍石もびっくりの派手な色合いは本当に感動的です。

また本鉱が人気が高い理由は「着色性」です。UVによって色が変化するのです。
紫外線に長時間照射すると、本鉱のライラック色がより濃色になるのです。
そのまま放置すると徐々に色が薄くなり、これを半永久的に繰り返します。
反応性の大きい標本では、数時間日光に晒すだけで肉眼的に色が変化します。


20100204 Sar-e-Sang, Kokscha Valley, Badakshan, Afghanistan

蛍光時の写真と見比べると、紫色が濃くなっているのが分かると思います。
この現象は「テネブレッセンス」と呼ばれ、ハックマン石がその代表格です。
また色が濃くなった直後は蓄光しており、暗闇で長時間ぼんやりと光ります。
シャッタスピードを遅くして、ようやくデジカメでは捕捉できました。
肉眼では暗闇に目が慣れてくると、遠くからでも石の位置が分かります。