Hemimorphite/異極鉱
Zn4(Si2O7)(OH)2・H2O


20100204 Mapimi, Durango, Mexico

標本母岩の最長部分が10cmを超える異極鉱の大型標本です。
色は様々ですが、大抵は透明で、稀に青色を帯びる場合も有ります。
和名の「異極鉱」ですが、これはこの鉱物の特徴に起因しています。
母岩が褐鉄鉱なので脆いのが難点ですが、この標本はかなり硬質です。


20100204 Mapimi, Durango, Mexico

拡大してみました。長さ1cmを超える厚みの有る結晶が扇状に並びます。
異極鉱は細かな薄い結晶が散在する標本が多いので、不思議な感じです。
名前の由来ですが、異極鉱は結晶両端の構造が異なります。これは特殊。
ご覧のように片側は両刃の剣の切っ先のように尖っていますね。
しかし反対側の根元は尖らずにフラットになっています。不思議です。
水晶のように、両極が同形になるのが普通。非常に珍しい結晶構造です。


20100204 Mapimi, Durango, Mexico

小型ですが美しくお値打ち価格だったため衝動買いしてしまった一品。
結晶は先の標本とは比べ物にならない小ささですが、雰囲気が良い!
ちなみに周囲に見られる鮮やかな黄色はミメット鉱。コントラストが美しい。
異極鉱の標本はこう言うタイプの物が多く流通しているようです。


20100204 Mapimi, Durango, Mexico

拡大してみました。黄色いミメット鉱に埋もれる異極鉱はまた美しいです。
結晶が小さいので一つ一つはまるでカバーガラスのような薄さになっています。
良く見ると本鉱の特徴である2種類の結晶両端が僅かに確認できます。
母岩は褐鉄鉱なので極めて脆いのですが、ミメット鉱が補強しているようです。
黒褐色の母岩に付く本鉱も綺麗ですが、如何せん脆すぎるのは考えもの・・・。


20100204 Ojuela Mine, Mapimi, Durango, Mexico

衝動買いしてしまったのですが、この衝動買いは正しかったようですね。
しばらくはこれを上回る標本に出会える、と言う自信が有りません。
それくらい異極鉱の標本としては素晴らしいものだと考えています。
緑色の球状結晶はローザ石。インクルージョンも一部見られます。


20100204 Ojuela Mine, Mapimi, Durango, Mexico

本来は分散したり扇状に広がると言う性質を持つ異極鉱ですが・・・。
まるで白い花のように、満遍なく全方向に広がった素晴らしい結晶群です!
しかもありがたい事に、結晶の向きがバラバラ。両極を観察できます。
ローザサイトの含有の所為で少し緑っぽく見え、褐色の母岩とも合います。


20100204 Ojuela Mine, Mapimi, Durango, Mexico

あまりに美しいのでもう一枚。本当に花のようです。


20100204 Yunnan Province, China

とても同じ鉱物とは思えませんが、ようやく入手できたブルー異極鉱です。
中国産で良い標本が出回っており、価格もお手頃で入手しやすくなっています。


20100204 Yunnan Province, China

拡大すると意外と透明感が有る事に気付きます。色は鮮やかな原色の青色です。
母岩の空洞内部表面から放射状に成長し、表面を覆うような感じになっています。
断面を見ると分かるのですが、青いのは表面付近のみで、内部は白色です。
「異極」の様子は全く観察できませんが、これも魅力有る標本ですね・・・。


20100204 Yunnan Province, China

肉眼では見えませんが、拡大してみると結晶がかすかに見られます。