Rhodochrosite/菱マンガン鉱
MnCO3


20100206 Manuelita Mine, Morococha, Yauli, Junin Department, Peru

近年人気急上昇。和名よりも「ロードクロサイト」の方が通りが良いでしょうか?
一般には「インカローズ」とも呼ばれる非常に美しい鉱物、「菱マンガン鉱」です。
日本産でも美しい標本が採れるのですが、市場に出る標本は海外産がほとんどです。
海外の有名な産地と言えばやはりスイートホーム鉱山ですが、近年は入手困難です。


20100206 Manuelita Mine, Morococha, Yauli, Junin Department, Peru

結晶は美しいピンク色で、形状は六方晶系で方解石のように少し歪んでいます。
光に透かした時の美しさは絶品。化学式で書けばただの炭酸マンガンなのですが・・・。
透明度の高い標本はお値段も張ります。美しい結晶はカッティングされる事も有ります。


20100206 Manuelita Mine, Morococha, Yauli, Junin Department, Peru

更に拡大してみました。透明感が有り美しいです。


20100206 Uchucchacua, Oyon Lima, Peru

本鉱を代表するもう一つの晶系。それは方解石にも見られる「犬牙状」と言う物です。
ペールからこのタイプの良質な標本が多く産出されており、この産地はその代表です。
透明度が非常に高く、赤みが強いため、その美しさは宝石級とも言われています。


20100206 Uchucchacua, Oyon Lima, Peru

拡大してみました。母岩のマンガン鉱石が黒いため、赤がより強調されていますね。
結晶はまるで牙のように尖り、「菱」の名に相応しくない形状をしています。
このタイプの結晶は透明度が高く大型な物になると、想像できない値段が付きます。
宝石クラスの美しさですが、そこは方解石グループ。酸に弱いのは共通しています。


20100206 Uchucchacua, Oyon Lima, Peru

同じ産地、同じ標本ですが、ふと気になって購入したロードクロサイトの標本です。
手に取った時に、他の標本と少し色合いが違う事に気付き、じっくり見ると・・・。
代表的な結晶のタイプからはやや外れた形状に惹かれ、手元に来て貰いました。


20100206 Uchucchacua, Oyon Lima, Peru

まず気になったのは色合いです。色合いがややピンク色っぽいのが特徴です。
ペルー産の本鉱は赤みが強い物が多く、並べてみるとその違いが良く分かります。
次に面白いのは形状です。形としては犬牙状なのですが、牙が尖っていません。
かと言って菱面体ではなく、犬牙状結晶を押し潰したような形状をしています。
不純物の関係かも知れませんね。透明度が高く、お気に入りの標本です。


20100206 Sweet Home Mine, Mount Bross, Alma District, Park Co., Colorado, U.S.A.

ようやく入手する事ができました。スウィートホーム鉱山産のロードクロサイトです。
美しい結晶が産出する事で有名でしたが、諸事情により今は閉山されています。
その結果標本の値段が高騰し、大きな標本では金額が7桁行く事も有るようです。
小型の標本でも10000円以下と言う事はほとんど無く、本当に収集家泣かせです。
この標本も比較的高価でしたが、値段の割には質が良かったと思っています。


20100206 Sweet Home Mine, Mount Bross, Alma District, Park Co., Colorado, U.S.A.

この産地らしい美しい菱面体の結晶が見られます。本当に美しいですね・・・。
スウィートホーム鉱山ではニードルクォーツと共に産出するのが一般的です。
他にも紫色の蛍石や四面銅鉱、黄銅鉱等が伴う事も有り、標本を映えさせます。
まだ一部では産出が続いているらしいので、New Findに期待したいですね。