Scheelite/灰重石
CaWO4


20100130 Beryl-Scheelite deposit, Mt Xuebaoding, Pingwu, Mianyang, Sichuan, China

初めて手に持った人の口から必ず聞く事のできる感想は「重い」でしょう。
和名も学名も響きが格好良い気がするタングステン酸塩鉱物「灰重石」。
比重は驚異の6.1。なんと黄鉄鉱よりも約1も比重が大きいのです。
その理由は組成に比重が19.3もあるタングステンを含むためです。
工業的利用価値が高い上に希少金属であり、灰重石も需要が高いです。
産地としては中国が有名ですが、日本でも美しい結晶が稀に産出します。


20100130 Beryl-Scheelite deposit, Mt Xuebaoding, Pingwu, Mianyang, Sichuan, China

典型的な正方晶系の結晶系を持ち、照りの有る結晶が魅力的です。
色は様々ですが、一般的には白、オレンジ、赤の場合が多いようです。


20100130 Beryl-Scheelite deposit, Mt Xuebaoding, Pingwu, Mianyang, Sichuan, China

本鉱の人気が高い理由、それは本鉱が非常に明るい蛍光を放つ事です。
オンマウスで灰重石の蛍光が見られます。驚くほど明るくて驚かされます。
真っ黒な結晶でも青白い蛍光を発するので光っているのは表面のみ。
また市販のブラックライトで紫外線を照射しても全く変化しません。
この蛍光を見るためには短波紫外線照射装置が必要になります。


20100507 Yaogangxian Mine, Yizhang Co., Hunan, China

小型標本ですが非常にお安い値段で入手できたので個人的には大満足。
ヤオガンシャン鉱山は淡い褐色のやや小型の結晶が石英と共に産出します。


20100507 Yaogangxian Mine, Yizhang Co., Hunan, China

とても優しい色合いをした灰重石の八面体結晶が石英上に幾つか見られます。
この産地の結晶はあまり大型になりませんが、産状が美しいのが魅力的ですね。
良く見ると下に見える白い結晶は苦灰石ですね。これもこの産地ならでは。
他の標本のおまけで付いてきたらしく、それに相応しい価格で入手できました。


20100507 Yaogangxian Mine, Yizhang Co., Hunan, China

暗い色合いなので光るか不安ですが、ちゃんと紫外線短波で蛍光します。
見付けられないだけで微細結晶が無数に存在しているのが分かります。
中には母岩の石英中にインクルージョンしている結晶も見られます。