Ulexite/曹灰硼石
NaCaB5O6・5H2O


20100222 Boron, Califronia, U.S.A.

一般にもかなりその名を知られた鉱物ですね。通称は「テレビ石」。
「TV stone」と呼ばれているのは、それなりの理由が有ります。
極めて特殊な性質を示します。「ウレックス石」とも呼ばれますね。
恐らく我が家でも最古参であろう古い標本だと思われます。
向こうが透けているように見えますが、実際には透明度は低いです。
人口結晶も多く出回っていますが、やはり天然は雰囲気が出ています。

化学式を見れば分かりますが、ホウ素を含む硼酸塩鉱物です。
モース硬度が2.5と低く、しかも水、特に温水には良く溶けます。
そのため手で触っていると表面がみるみる劣化してしまいます。
この標本も一度白くなってしまった物を8000番で磨き直しました。


20100222 Boron, Califronia, U.S.A.

側面を見ると、細い結晶が平行に並んでいるのが分かります。
これこそ本鉱最大の特徴。それでは実験してみましょう。


20100222 Boron, Califronia, U.S.A.

2次元では本鉱の特徴を表現不可能。平行法による立体視で対応しました。
見えますか?実は下の紙の文字が上面に浮き上がって見えているのです。
透けているのではなく、上の平面の高さに文字が有るように見えるのです。
しかし石を少し持ち上げると、真っ白で何も見えなくなってしまいます。

これは光ファイバーと全く同じ現象です。自然の胃カメラですね。
細い結晶に入った光が内部で全反射し、反対側まで届くのです。
そのため一方の面に触れている部分が、反対側に映し出されます。
石を動かせば同じように背景も動き、見ていて楽しい鉱物ですよ。
ただし硬度が低いので、あまり物に当てて動かすのは控えるべき。