■specimen_No.001_M Kerch Peninsula, Crimea, Ukraine
■ Anapite / アナパ石
□ Ca2Fe+2(PO4)2・4H2O
あまり同じ鉱物は産状や色が異なる場合を除けば集めないようにしている管理人ですが、
そんな私が珍しく見かける度に手を出している鉱物がこのアナパ石です。
名前の由来は産地であるクリミア半島ケルチ半島の地名であるアナパ。
美しい標本の大半はこの産地のものであり、産地表記の国名は「Ukraine」となっています。
この記事を書いているのは2022年の12月。時事ネタとしては若干複雑な気分ですね。
カルシウムと鉄を含む燐酸塩鉱物であり、結晶は三斜晶系で二価の鉄イオンに起因する淡緑色。
あまり大型の結晶は作らず、結晶そのものは落ち着いた色合いですが、本鉱物の魅力は生成の仕方にあります。
白状しますと、管理人は化石から発生する鉱物が好きなものでしてね。
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■specimen_No.001_M Kerch Peninsula, Crimea, Ukraine
本鉱物最大の特徴、それは貝化石から結晶が生成されることです。
貝による有機的な起源を持つためとされていますが、その因果関係はハッキリしないようです。
貝化石がどのように働いたかは不明ですが、少なくともカルシウムは提供していると思われます。
化石との関係性が分かりやすい産状の標本ほど価値が高くなります。
その点ではこの標本はかなり良いものなのではないでしょうか?
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■specimen_No.001_M Kerch Peninsula, Crimea, Ukraine
本鉱物はこの淡緑色の結晶と褐色の母岩とのコントラストが美しいですね。
大きな結晶は形成されず、微細な結晶が束になったように成長します。
結晶の透明度も極めて高く、結晶面もハッキリ確認できる大満足の一品です。
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■specimen_No.002_M Kerch Peninsula, Crimea Oblast', Ukraine
初めて購入した標本です。産地表記は若干異なりますが、単なるブレで産地はNo.001とほぼ同じでしょう。
結晶は大型で色も美しいのですが、貝化石の大半が母岩と共に欠損しているのが惜しいですね。
裏返してみると少しだけ貝化石の殻が残っています。
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■specimen_No.002_M Kerch Peninsula, Crimea Oblast', Ukraine
拡大してみると結晶が束状に成長している様子が良く分かります。
他の標本に比べて緑色が濃く見えるのは厚みがあるためでしょうか。
この独特な緑色、どこかで見覚えがあるなと思っていましたが、ラドラム鉄鉱に似てるんですね。
考えてみれば本鉱物はカルシウムと鉄の燐酸塩4水和物、ラドラム鉄鉱は鉄の燐酸塩4水和物ですものね。
発色も二価の鉄イオン由来で同じですし、なるほどデジャヴュを感じるわけです。
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■specimen_No.003_M Kerch Peninsula, Crimea Oblast', Ukraine
貝化石との関係が非常に分かりやすい標本を購入しました。
No.003を購入する以前に手に入れた標本はどれも貝が開いた状態で片側の殻しか残っていませんでした。
しかし今回の標本は貝化石がまるで晶洞であるかのように振る舞う、非常に本鉱物らしい産状です。
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■specimen_No.003_M Kerch Peninsula, Crimea Oblast', Ukraine
購入の決め手となったのは貝化石の多さ。母岩の至る所に貝の殻が見えています。
この角度では見えませんが、標本の裏側にも大き目の結晶が付いています。
スペインやドイツなどの欧州では貝類が体積した層を起源とした微細な結晶が産出しますが、
貝の形状を視認できず結晶も黄緑色なので、管理人は個人的にこのケルチ半島産が好きですね。
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■specimen_No.003_M Kerch Peninsula, Crimea Oblast', Ukraine
見た目は完全に晶洞なのですが、その壁面に貝化石の殻が見えていると言うのは何とも不思議な光景です。
カルシウムが貝由来なのは確かでしょうが、本鉱物形成に至る要因は他にもあるのでしょう。謎多き鉱物です。
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