■specimen_No.001_M Bristol Dry Lake, San Bernardino Co., California, U.S.A.
■ Antarcticite / 南極石・アンタークチサイト
□ CaCl2・6H2O
南極大陸にある無雪地帯「ドライバレー」。その塩湖「ドンファン池」にて日本の調査隊が初めて発見した鉱物です。
化学式としては塩化カルシウムの六水和物で、ハロゲン化鉱物の一種。発見地にちなみ「南極石」と名付けられました。
南極産は入手はほぼ不可能。この標本はアメリカの塩湖で採取されたものです。
漫画「宝石の国」に同名のキャラクターが存在し、一躍有名となりました。
なぜガラス瓶に入っているのかと言うと、本鉱物は融点が25℃なので人肌程度の温度で融解すると言う不思議な性質があるためです。
「25℃の氷」と考えて頂ければ分かりやすいでしょうか?
逆に25℃以下の環境に放置すると下方から徐々に結晶化し、最終的には全体が結晶化します。
色は無色透明で、自然界では10cm近い結晶になることもあるのだそうです。
ちなみに水とは異なり個体のほうが体積が小さくなるため、密度の関係で結晶は液体に沈みます。
と言うかこの場合は水が特殊なのですけどね。
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入浴時にビンと一緒に湯船に浸かり、完全に液体にした状態から室温でゆっくりと冷やして結晶を生成させました。
結晶が大きく成長すると三方晶系の構造がはっきり確認できることがあります。
ゆっくり冷やすほど結晶一つ一つは大きくなり、逆に急激に冷やすと微細な結晶の塊になります。
ただ基本的にビンの壁面に沿うように結晶ができるため、綺麗な結晶面を見ることは困難です。
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結晶が成長する様子をタイプラプス撮影してみました。オンマウスでアニメーションGIF画像に切り替わります。
撮影は1分間隔で行い、人力ですがそれでもここまで綺麗に撮れます。
待っている最中でも結晶が伸びてファインダーディスプレイ上の位置が変化するのが分かりました。
ちなみに相転移時に起きる融解熱と凝固熱のメカニズムが手の中で観察することができます。
融解させている時に握ると熱が奪われて冷たく感じ、逆に冷凍庫で一気に凝固させると暖かさを感じます。
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こちらはマクロレンズで撮影したもの。結晶の先端が伸びる様子が良く分かります。
温度こそ違うものの、鉱物の結晶が成長する様子が体感できるのは嬉しいですよね。
超高温の気化した状態から結晶する様子なんて、肉眼で見ようと思ったらヒトなんて炭になるでしょうし、
温泉由来の鉱物ですら茹で蛸になっちゃいますから。
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美しい結晶を探してマクロ撮影してみました。
撮影中にもどんどん伸びて行くためピントを微調整しながらの時間との勝負でした。
温度が変化しやすい環境での結晶生成のためか、綺麗な結晶面にならず骸晶を形成しています。
このような融解と凝固を半永久的に繰り返すことのできる非常に魅力的な鉱物です。
ただし高温での加熱や多湿環境は変質する危険性があるので避けるべきだと思われます。
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