■specimen_No.001_M Bernburg, Saxony-Anhalt, Germany
■ Boracite / 方硼石・ボラサイト
□ Mg3B7O13Cl
和名の中に「硼」の文字が入っている通り、組成にホウ素を含む斜方晶系の硼酸塩鉱物です。
若干水溶性があるため、宝石として利用することはできず、また結晶も大型にはなりません。
しかしその性質からコレクターには人気があるようですね。
本鉱物名で検索すると、明らかに雰囲気の違う2パターンの標本が流通しているのに気付くかと思われます。
実は本鉱物は石英と同じで低温相と高温相を持っており、それぞれ晶系が異なるのです。
高温の場合は立方体、低温の場合は斜方晶系の結晶を作ります。
標本No.001のような岩塩を母岩とする暗緑色の十二面体の標本はドイツ産が多いです。
またイギリスからは青緑色を帯びた四面体の結晶が密集した標本が産出します。
これら2種類の標本は同一鉱物とは思えないほどに雰囲気が異なっています。
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■specimen_No.001_M Bernburg, Saxony-Anhalt, Germany
結晶の直径は4mmほど。これでも決して小さいわけではなく、元々大型の結晶は作らない鉱物のようです。
色は暗緑色で低温相の斜方晶系で、低温相で生成した結晶の方が大型化します。
本鉱物はモース硬度が地味に7.5もあるので、水溶性さえ無ければ宝石としても利用できたかも知れません。
本鉱物が最もユニークなのは「擬等軸晶系」と呼ばれる現象です。
温度が下がる結晶生成時に途中で高温相から低温相へ切り替わると、晶系も等軸晶系から斜方晶系へ切り替わります。
しかしその段階で外観は完成しているため、見た目は等軸晶系なのに性質的には斜方晶系と言う不思議な結晶が出来上がります。
そのため本鉱物の晶系には斜方晶系には擬等軸晶系の2つが存在することになります。
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■specimen_No.001_M Bernburg, Saxony-Anhalt, Germany
本鉱物の結晶は暗緑色と言われていますが、人工照明下で見ると灰色にしか見えません。
じっくり観察すると少し緑色を帯びているように見えなくもないですが。
ですが白熱電球光源下で見ると、全体的に赤っぽく見える光の中で緑色にカラーチェンジします。
この色の変化は肉眼でも非常に分かりやすいので、お持ちの方は是非光源を変えて観察してみましょう。
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