■specimen_No.001_L Ojuela Mine, Mapimi, Durango, Mexico
■ Chalcophanite / カルコファン石
□ (Zn,Fe2+,Mn2+)Mn4+3O7・3H2O
産地は鉱物界隈では超有名なメキシコのオハエラ鉱山(Ojuela Mine)。
アダム鉱を中心として数多くの鉱物を産する鉱山であり、その中の1つが本鉱物です。
亜鉛とマンガンをベースとした三斜晶系の酸化鉱物で、比重は3.98と酸化鉱物としてはやや軽めでしょうか。
原産地はフランクリン鉄鉱で有名なアメリカ、ニュージャージー州のフランクリン鉱山(Franklin Mine)ですが、
市場に出回る標本のほとんどはオハエラ鉱山産ばかりですね。
亜鉛鉱床の酸化帯に良く見られる二次鉱物です。モース硬度は2.5とかなり低いので傷には注意が必要。
標本No.001のような微細結晶の標本が多く流通していますが、放射状や六角板状などの肉眼的なサイズの結晶も存在します。
学名は「真鍮が現れる」と言う意味で一見すると意味不明なのですが、
これは加熱すると銅が酸化した時の色に変化することに由来します。
|
■specimen_No.001_L Ojuela Mine, Mapimi, Durango, Mexico
オハエラ鉱山と言えばこの褐色の母岩ですよね。同産地のアダム鉱がほとんどそうですが、
この産地は母岩が褐鉄鉱を多量に含んでいるため強烈な赤茶色をしています。
いわば赤錆ですので当然光沢などありませんが、それが本鉱物の存在感を際立たせます。
赤茶けた母岩に光るキラキラのラメ。まるで人工物と言うか、こう言う塗料を塗ったかのような見た目です。
ここで注目すべきは写真中央に見える球状で黒褐色の鉱物の存在です。
|
■specimen_No.001_L Ojuela Mine, Mapimi, Durango, Mexico
表面には仏頭状の結晶群が多いですが、これは本鉱物が二次鉱物であるためでしょう。
元々このような形状のマンガン系の鉱物があり、その表面に本鉱物が二次生成して全面が覆われたと考えられます。
|
■specimen_No.001_L Ojuela Mine, Mapimi, Durango, Mexico
その証拠に表面に微細な本鉱物の結晶が成長し始めた状態で止まっている中間的な仏頭状部位が見られます。
まだ黒褐色の表面が少し見えており、結晶の成長が途中で止まってしまったので他の結晶よりも細かいですね。
|
■specimen_No.001_L Ojuela Mine, Mapimi, Durango, Mexico
結晶は金属光沢はあるものの色自体は青みを帯びた黒色で透明感はありません。
三斜晶系と言うことですが、反射している結晶面を見ると三角形の結晶面が見えます。
となると可能性があるのは四面帯か八面体ですが、不思議と面ばかりで鋭角的な角が見当たらないんですよね。
良く見ると三角形のように見えて角が切れているように見えるので、実は六角板状結晶なのかも知れません。
いやいや、ここまで小さい上に黒くて光沢があると結晶構造見えないんですよ。
|
■specimen_No.001_L Ojuela Mine, Mapimi, Durango, Mexico
非常に結晶が細かくて肉眼ではラメにしか見えませんが、マクロ撮影するとこんな感じでちゃんと結晶面が見えるんですね。
以前のコンデジではズームの限界でこの光景を見ることができなかったので、持ってて良かったマクロレンズ。
比較的安価で入手もしやすいので管理人オススメの鉱物です。是非手元に置いてみてはいかがでしょうか。
ちなみに本鉱物を含めオハエラ鉱山の母岩はアダム鉱の産地なだけあって有毒なヒ素を含んでいるので、
素手で触った際はしっかりと手洗いをし、粉などは飛散させぬよう吸い込まぬようご注意下さい。
|
■TOPページに戻る■
|