そもそも触れておかなくてはならないのはこの標本の産地です。何とあの「軍艦島」なんですよね。
正式名は端島であり、1800年代初期にはすでに発見されていました。
それから採掘が本格化したのは三菱が島と権利を買い取り採掘を開始した80年ほど後のこと。
高品質の石炭は高く売れるため、労働を求めて集まった人々によって島は急発展を遂げ、
記録では1960年には狭い島内に5,267人もの人々が暮らしていたそうです。
現在は廃墟の島と化し、当時の栄光を象徴する施設は経年劣化で崩壊を続けています。
危険なため島内は立入禁止であり、当然ながら石炭を採取することはできません。
それにしても「黒いダイヤ」と呼ばれただけあって、石炭化率の高い無煙炭は美しいですね。
表面には金属光沢にも似た強い照りがあり、文字を書いて滑らかにすり減った鉛筆の芯のようです。
繊維状に見える部分がありますが、植物体の名残りでしょうか。
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