■specimen_No.001_L Adelaide Mine, Dundas Mineral Field, Zeehan District, West Coast Municipality, Tasmania, Australia.
■ Crocoite / 紅鉛鉱・クロコアイト
□ PbCrO4
初発見は1766年、ロシアのベレゾフスク鉱山(Berezovsk Mine)から見付かりました。
当時から鉛を含むことは知られており、またその美しい赤色が染料として優秀であることから、
「シベリアの赤い鉛(Siberian Red Lead)」と呼ばれ珍重されました。
ただし国内どころか世界中で流通する美しい標本の産地はほとんどがタスマニア島のダンダス(Dundas)です。
タスマニア州を象徴する鉱物として公式に指定されています。意味合い的には「都道府県の花」みたいなものですね。
当然ですが州を象徴する動物はタスマニアデビルです。
単斜晶系のクロム酸塩鉱物です。モース硬度は2.5~3と非常に低いのですが、特筆すべきはその比重。
鉛とクロムの割合が高いため、透明感のある赤色結晶でありながら比重は驚異の6.0。
黄鉄鉱が5.0、灰重石でも6.1なので、本鉱物が如何に重いかがお分かりになるかと思います。
ちなみに本鉱物は金属元素としてのクロム発見のきっかけとなった歴史的にも重要な鉱物でもあります。
発見者はフランスの化学者「ルイ=ニコラ・ヴォークラン(Louis-Nicolas Vauquelin)」で、
その翌年にベリリウムも発見しています。
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■specimen_No.001_L Adelaide Mine, Dundas Mineral Field, Zeehan District, West Coast Municipality, Tasmania, Australia.
晶洞の隙間を埋めるように、いやまるで晶洞内部に支柱を立てたかのように成長した本鉱物の結晶です。
本鉱物はあまり太い結晶は作らず、細長い結晶を晶洞内や母岩表面に形成します。
脆い鉱物なのでクラックしやすく、このように晶洞に守られていると結晶が美しく保たれます。
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■specimen_No.001_L Adelaide Mine, Dundas Mineral Field, Zeehan District, West Coast Municipality, Tasmania, Australia.
更に拡大すると透明感のある美しい結晶が多数見られます。
が、それは置いといて化学的なお話をしようと思います。本鉱物は物質名的には「クロム酸鉛(Ⅱ)」となります。
危険物に詳しい方ならもうお分かりでしょうが、悪名高き「六価クロム」を含みます。
この成分は人体に対する悪影響のオンパレードで書き切れませんので気になる方は調べてみて下さい。
加えて重金属の鉛も有毒です。結晶状態であれば安定しているのでそこまで気を遣う必要はありませんが、
母岩や結晶に触った際はしっかりと手洗いを、粉塵や加熱時のガス等は吸わないほうが良いでしょう。
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■specimen_No.001_L Adelaide Mine, Dundas Mineral Field, Zeehan District, West Coast Municipality, Tasmania, Australia.
結晶はオレンジがかった赤色。朱色と表現したほうが良いでしょうか。
透明度は高く、細長い結晶から更に微細な結晶が成長する様子など見ていて飽きさせません。
毒性で散々脅しましたが、結晶状態であれば吸引の危険性も低いですからそこまで怯えなくても大丈夫ですよ。
観賞価値の高い鉱物だと思いますし、値段も結構お手頃なので是非手元に置いてみては如何でしょうか?
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