■specimen_No.001_M Musonoi Mine, Kolwezi, Katanga Copper Crescent, Katanga, Congo

Cuprosklodowskite / 銅スクロドフスカ石
□ (H3O)2Cu2+(UO2)2(SiO4)2・2H2O

名前の由来は放射線学者であるマリー・キュリー(Marie Skŀodowska Curie)氏のミドルネームと言う点は類似化合物のスクロドフスカ石と同様。 ただしこちらはMgがCuに置換されており、水和物の数が4から2に減少しています。 またこれによって単斜晶系のスクロドフスカ石とは異なり三斜晶系となった珪酸塩鉱物です。 当然ながら本鉱物も化学式にウランを含む放射性鉱物の代表的な存在です。 放射性を持つためクッションを詰めた金属缶に入れ、その周囲を鉛シートを貼った板で遮蔽しています。

コンゴ共和国のムソノイ鉱山産が代表的な美しい結晶の産地です。 この産地ではスクロドフスカ石との共生が見られ、晶洞内部を充填するように成長したスクロドフスカ石の先端部が本種になっていることが多いです。 そのため黄色い中に緑色の色の異なる領域ができるため、目玉のように見えるのが特徴。 本鉱物のみの場合は母岩表面に針状の微細結晶が放射状に成長した産状となります。

放射線量は至近距離(1cm)で約50μSv/h。本鉱物自体は微量ですので。



■specimen_No.001_M Musonoi Mine, Kolwezi, Katanga Copper Crescent, Katanga, Congo

母岩のところどころに見られますが、最も集中しているのはこの部分。 緑色の針状結晶が放射状に広がり花が咲いたようになっています。 本鉱物はウラン鉱石の二次鉱物なので、閃ウラン鉱など元となった鉱物が存在しますが、この標本では痕跡は確認できません。 晶洞内部に形成されたようで、この先端部は晶洞の一部のようです。


■specimen_No.001_M Musonoi Mine, Kolwezi, Katanga Copper Crescent, Katanga, Congo

結晶は針状のため、わずかな衝撃で砕けて飛び散ってしまいます。 母岩全体に放射性が存在するため、取り扱い時は手袋とマスクで不必要な被爆と拡散を防ぐ必要があります。


■specimen_No.001_M Musonoi Mine, Kolwezi, Katanga Copper Crescent, Katanga, Congo

放射性鉱物だと言われなければずっと眺めていたいほど。なので気軽に出せないのは少しもったいないかも知れません。 ただ美しい放射性鉱物は細かったり薄かったり粉状だったりと、どうしても飛散のリスクが拭いきれません。 ですが逆にそれくらい気合を入れて接さなければならないと言うのもまたこれらの魅力なのでしょう。 本気で愛でる時しか取り出せない、有毒生物を飼育しているのだと思っておきます。




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