■specimen_No.001_M Cerro de Mercado Mine, Victoria de Durango, Durango Municipality, Durango, Mexico

Fluorapatite / 弗素燐灰石・フルオロアパタイト
□ Ca5(PO4)3F

以前サムネイルサイズの小さな単結晶標本を所持していましたが、ちゃんとした標本を手元に置きたくて購入。 その際最初に入手するのはセロ・デ・メロカド鉱山(Cerro de Mercado Mine)産にしようと決めていました。 鉱物名に馴染みは無くても「アパタイト」と言う響きは歯科衛生に関係して耳にした方は居られるでしょう。 そもそも燐がリン(P)、灰がカルシウム(Ca)なので、そのまんまの和名です。

燐酸塩鉱物の代表的な存在であり六方晶系。そしてモース硬度5の基準鉱物とされています。 注目すべきは化学式の最後の「F(フッ素)」。ここがフッ素か塩素か水酸基かで鉱物名が変わるのです。 以下に塩素と水酸基の場合を載せておきますね。

Chlorapatite / 塩素燐灰石・クロロアパタイト
□ Ca5(PO4)3Cl
こちらは塩素を含む燐灰石。産出量が少なく、またあまり大型で美しい結晶にならないので知名度は最下位。

Hydroxyapatite / 水酸燐灰石・ハイドロキシアパタイト
□ Ca5(PO4)3OH
「ヒドロキシ」とも読みますね。こちらは水酸基を持つもので、自然界でも美しい結晶で見付かります。 ただ透明度や色では弗素燐灰石には敵わないでしょうけど。 ただし本鉱物は骨や歯の主成分であり、非常に生体との親和性が高いため、 歯科医療でのインプラントや人工骨の原料として大いに活躍しています。偉い。

単純に「燐灰石」や「アパタイト」と呼称する場合は本ページで紹介する本鉱物を指すと思って頂いて良いでしょう。 他のタイプの燐灰石を入手した場合は別コーナーに載せますが、その度に紹介も面倒臭いので、 代表的な本鉱物のこのページに誘導しようと思います。


■specimen_No.001_M Cerro de Mercado Mine, Victoria de Durango, Durango Municipality, Durango, Mexico

六方晶系と言うだけあって石英のような先端が尖った六角柱状結晶です。 この産地の結晶はレモンで、とにかく透明度が高いのが特徴です。 本鉱物は結晶全体に内包物や亀裂が入っているものが多く、透明度が高い結晶の産地は限られます。 この標本はこれでもまだ結晶の状態が良くないほうだと思いますよ。


■specimen_No.001_M Cerro de Mercado Mine, Victoria de Durango, Durango Municipality, Durango, Mexico

内部の透明度が高い本鉱物は屈折率が1.632~1.646とかなり高く、また結晶面の照りも強いことから、 遠目に見ても分かるほどキラキラと輝いて見えます。 他の鉱物の結晶と比べて凄いギラギラして見え、ガラスの破片が石に埋め込まれているかのようです。

一応短波紫外線で黄色っぽく蛍光するんですが、 蛍光が強くない上に結晶面の反射に邪魔されて綺麗に撮影できませんでした。 どうも内包物によってはかなり強く蛍光するものもあるそうなので、集めてみると面白いかも知れません。




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