■specimen_No.001_L Kop Krom Mine, Kop Daglari, Erzurum Province, Eastern Anatolia Region, Turkey

Kammererite / 菫泥石・カメレライト
□ (Mg,Fe)5Al(Si3Al)O10(OH)8

国内でも産出はしますが、市場に出回る美しい標本はほとんどがトルコ産と言って差し支えないでしょう。 ロシアの鉱山局長を務めたアレクサンドル・ケンメレル(August Alexander Kämmerer)氏に由来する名前を持つ単斜晶系の珪酸塩鉱物です。 そのため学名の「a」は「ä」と表記べきのようですね。 本鉱物はあくまでも緑泥石の一変種と言う扱いであり、独立した鉱物種ではありません。 本来はその名の通り緑色系の結晶となる緑泥石ですが、本鉱物は内部にCrを含むため独特な濃紫色となります。

かつてはトルコの露店でおみやげとして普通に売られているほどありふれた鉱物だったそうです。 しかし近年では産出量が減り、小さな標本でも高額で取引されています。とは言え価格はまだ有情。 今後も産出量が増えなければさらなる値上がりの可能性もありますので、入手を検討されている方はお早めに。


■specimen_No.001_L Kop Krom Mine, Kop Daglari, Erzurum Province, Eastern Anatolia Region, Turkey

母岩表面を微細な結晶が覆い、その表面に大きく成長した結晶が幾つも見られます。 結晶の形状が非常にバラエティに富んで見えますが、基本的には擬似六方晶となっています。 大きい結晶は錐状になっているものが多いですが、板状のものも存在します。確かに六角形の結晶面が右上に見えますね。


■specimen_No.001_L Kop Krom Mine, Kop Daglari, Erzurum Province, Eastern Anatolia Region, Turkey

本鉱物の結晶は透明度は高いのですが、濃色すぎて光があまり透過しません。 そのため普通に撮影してしまうと結晶が真っ黒に写ってしまうのが悩ましいです。 かと言って光量を増してしまうと周囲の母岩が明るくなりすぎてハレーションを起こしてしまいます。


■specimen_No.001_L Kop Krom Mine, Kop Daglari, Erzurum Province, Eastern Anatolia Region, Turkey

他の鉱物には無い美しい色合いなので、宝石にならないのかと思われる方も多いでしょう。 しかし本鉱物は大型結晶にならない上にモース硬度が2~2.5と極めて低いため、簡単に傷ついてしまいます。 また完全な劈開を持つためカッティングも難しく、宝石としての価値はほとんどありません。 一応本鉱物が脈状に入った母岩をカボションカットしたものがパワーストーンとして利用されていますが、基本的に自然な状態を愛でる鉱物ですね。




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