■specimen_No.001_M Mont Saint-Hilaire, Quebec, Canada

Leucophanite / リューコフェーナイト
□ (Na,Ca)2BeSi2(O,OH,F)7

正しい読み方が分からなかったのですが、愛好家の間では「リューコフェーナイト」と呼ばれていることが多いようです。 産地もノルウェー、カナダ、ロシアと少なく、要するに呼び名も定着しないくらいには知名度が低い珪酸塩鉱物です。 ですが本鉱物はユニークな性質を持っており、もっと人気が出て欲しいと思っている鉱物の一つです。 美しい鉱物ではあるのですが、モース硬度は4しか無く、後述の見え方からも宝石としての利用もほとんどありません。

学名はギリシャ語の「白色が現れる」の意味であり、一定の角度から見ると白色の光沢を示すのが由来のようです。 ですが本鉱物は無色の場合もありますが多くは黄色~緑色の結晶なので「名前のわりに白くない」と言う勘違いが生じそうになります。 モンサンチレール産の標本No.001は母岩がポリリチア雲母ですが、同産地で母岩が長石の標本も産出します。


■specimen_No.001_M Mont Saint-Hilaire, Quebec, Canada

本鉱物の結晶は三斜晶系で淡いアップルグリーンです。内部に層があるような光沢を示すため撮影には大変苦労しました。 マイクロ鉱物ほどではないですが大型の結晶を作らず、大きくても1cm行くか行かないかでしょう。 そのため単体では比較的地味ですが、黒いエジリン輝石との共生が標本の面白さを高めてくれています。 と言うよりも本鉱物は大抵エジリン輝石にインクルージョンされており、標本No.001もエジリン輝石が結晶に貫通しています。

■specimen_No.001_M Mont Saint-Hilaire, Quebec, Canada

本鉱物最大の魅力は何と言っても蛍光性でしょう。短波長波共に紫外線でピンク色に蛍光します。 緑色系統の結晶が赤色系統の蛍光を発するのは他の鉱物でも見られますが、本鉱物は両色共に穏やかな色合いなのが良いですよね。


■specimen_No.001_M Mont Saint-Hilaire, Quebec, Canada

標本を回転させると側方や背面にも点々と結晶が見られます。 大型の結晶が無いため、標本としては共生鉱物が鑑賞価値を高めてくれていますね。 エジリン輝石もそうですが、左下に見えるオレンジ色のセラン石がまた良い味を出しています。 そもそも良質なセラン石の標本はモンサンチレール産が多いですからね。




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