■specimen_No.001_M Machacamaraca, Colavi, Saavedra, Potosi, Bolivia

Magnetite / 磁鉄鉱・マグネタイト
□ Fe2+Fe3+2O4

鉱物に詳しくない方でもこの鉱物名を耳にしたことがある方は多いでしょう。 学名にも和名にも磁力を感じさせる響きがある鉄の酸化鉱物です。 成分名的には四酸化三鉄であり、典型的な等軸晶系の黒い金属光沢を放つ結晶を形成します。 世界中で産出され、鉄を含む鉱物の多くが化合物となった段階でほとんど磁性を失うのに対し、 その名の通り極めて強い磁性を維持しているのが特徴です。中には自然と磁力を帯びているものすら存在します。

そもそも名前どころか本鉱物そのものに実際に触れたことがあると言う方は多いはずです。 砂場の砂に磁石を近付けると吸い寄せられて来る黒い粉末、子供の頃に経験は無いですか? 実は「砂鉄」は粉状になった本鉱物なのです。 不純物は多いものの、たたら製鉄などの古代製鉄では主要な鉄の原料として利用されました。 映画「もののけ姫」を視聴された方はご存知ではないかと。


■specimen_No.001_M Machacamaraca, Colavi, Saavedra, Potosi, Bolivia

ボリビアのマチャカマルカ(Machacamaraca)と言えばどちらかと言うと本鉱物より藍鉄鉱が有名なんですよね。 ネットで調べてもこの産地の標本はあまり見かけないので、本鉱物の代表的な産地ではないのかも知れません。 そして結晶の先端に若干クラックが見られますが、全体的に結晶面の状態が良い標本だと思います。

砂鉄と同成分と言うだけあって結晶は黒く、表面には鈍い金属光沢があります。 形状は等軸晶系で結晶は正八面体です。スピネルグループに属すると言うのも納得ですね。 比重が5.2もあるので小さいわりには重量感があります。


■specimen_No.001_M Machacamaraca, Colavi, Saavedra, Potosi, Bolivia

この標本は母岩が薄い肌色のため、黒い結晶が非常に映えますね。 本鉱物の磁性についてですが、表現するなら「著しい」の一言に尽きます。 磁石を近付けてみると吸い寄せられる感覚は金属としての鉄と遜色ありません。 単体で産出する自然鉄や自然ニッケルが強磁性なのは当然ですが、 化合物として存在していてここまで強い磁性を持つのは本鉱物や磁硫鉄鉱など数がかなり限られます。


■specimen_No.001_M Machacamaraca, Colavi, Saavedra, Potosi, Bolivia

基本的には等軸晶系らしい正八面体の結晶を作る本鉱物ですが、 結晶が成長する段階で結晶面がずれて形成され、このような段差が生まれます。 同じ等軸晶系でも正六面体結晶の場合はクラックのように見えるんですが、 三角形をベースにした段差だと途端に近未来的になりますね。

本鉱物に磁石を近付ける際の注意点。 ネオジム磁石等の強力な磁石を使用してしまうと、結晶が母岩から引き剥がされてしまう可能性があります。 また吸い寄せられた際に勢い良く磁石が結晶に当たると、その衝撃でも外れる可能性があるので注意が必要です。




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