■specimen_No.001_M N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa

Olmiite / オルミ石・オルミアイト
□ CaMn2+[SiO3(OH)](OH)

購入時の金額は20,000円。入手に思い入れがあるため値段を今でも覚えているお気に入りの標本です。 新鉱物として登録されたのは2006年。 以前からポルダーバールタイトとされていたものの一部が本鉱物であることが判明しました。 その後市場に数多くの標本が出回りその愛らしい形状から人気を博した斜方晶系の珪酸塩鉱物です。 ちなみに学名はイタリアの鉱物学者フィリップ・オルミ(Filippo Olmi)氏に由来しています。 CaとMnが置換する部分でMnが50%以上の場合は本鉱物、50%に満たない場合はポルダーバールタイトになります。

産出が世界でンチュワニングII鉱山のみであることから、産出量が減った場合に価格が高騰することが予想されていました。 その予想は残念ながら的中し、現在では小型標本でも高価で、良質な標本に至ってはほとんど国内の市場に出回りません。


■specimen_No.001_M N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa

本鉱物には様々な産状が存在しますが、やはり何と言っても一番人気は放射状に成長した球状集合体でしょう。 ポルダーバールタイトとも違った特徴的な形状であり、このタイプの標本は小型でも高額で取引されています。 ちなみに標本No.001は球状集合体の直径が35mmもあり、本鉱物としてはかなり大型です。 結晶は透明感のあるアプリコットカラーで、マンガンを含んでいるためやや赤みがあるのが特徴。


■specimen_No.001_M N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa

結晶の球状集合体表面をCanon製の「MP-E65mm F2.8 1-5×マクロフォト」で拡大してみました。 標本を遠くから眺めるとラメのように不規則に輝くのですが、これは先端の角度のついた結晶面それがバラバラの方向を向いているためです。

■specimen_No.001_M N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa

本鉱物はマンガンを含んでいるため紫外線で赤色の蛍光を示します。 ただし長波紫外線では蛍光せず、短波紫外線を照射しないと蛍光を確認できません。 また蛍光自体もかなり弱く、長時間露光でないとその様子を写真に納めることもできません。 短波紫外線の照射装置はやや特殊なので、蛍光を見たいと言う方は注意が必要です。

■specimen_No.001_M N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa

本鉱物のもう一つの色的な特徴。それはカラーチェンジです。 蛍光灯下では杏色ですが、白熱電球光源で見ると光源の影響以上に赤く見えるのです。 これはこの標本ような大型の結晶でないと肉眼での観察は難しいでしょう。





■specimen_No.002_M N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa

標本No.001と同時に購入しました。本鉱物の異なる産状の1つ、束状集合体タイプです。 やや小型で色も淡い標本ですが、結晶の透明度が非常に高いお気に入りの1つです。サイズ的にはギリギリSサイズ以上でしょうか。 本鉱物はインクルージョンが多く、大型で透明度の高い結晶の標本は多くはないみたいです。


■specimen_No.002_M N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa

この姿を見て思い出すのはやはり束沸石でしょうね。リボンのように左右に広がり中央がくびれる様は実に良く似ています。 しかし本鉱物の結晶は細長いため、先端部に無数の結晶面が輝いて、また違った雰囲気を醸し出しています。 もしかすると標本No.001の球状集合体も中央に境界線があるので、束状集合体の両端が放射状に広がり、双方が合体したものかも知れません。


■specimen_No.002_M N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa

マクロレンズを用いて結晶面が見えるように角度を変えて撮影しました。息を呑む美しさです。 結晶面愛好家にはこの光景は垂涎モノでしょう。

■specimen_No.001_M N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa

こちらの標本でも蛍光を確認してみました。やはり同様に赤色に蛍光します。 ちなみにこのページ作成をするまでカラーチェンジすることは知っていましたが本鉱物が蛍光することを知りませんでした。 今まで何気なしにUVライトを当てたことはあったのですが、偶然すべて長波紫外線だったので気づかなかったようです。 ただ短波紫外線でも蛍光は弱いので、結局気づかなかった可能性が高いですが。




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