■specimen_No.001_L N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa
■ Oyelite / 大江石
□ Ca10B2Si8O29・12.5H2O
以前は水和物部分が「nH2O(n=9.5-12.5)」と表記されていましたが、現在はn=12.5となっています。
水和数が整数になっていないと言うのも不思議なものですが。初発見は岡山県高梁市で、
学名および和名は岡山大学の鉱物学者であった故・大江次郎氏への献名です。
産地はオルミ石で有名なヌチュワニングⅡ鉱山(N'Chwaning II Mine)であり、
オルミ石やエトリング石の共生鉱物としてしれっとそこに居ることが多いです。
三斜晶系の針状結晶を形成し、ホウ素とケイ素を含むため硼珪酸塩鉱物と表現されます。
本鉱物は非常に微細な結晶を形成するため主役になることは少なく、
他の人気鉱物の共生鉱物として脇を固めている印象があります。
しかしどうしてもこの日本らしい鉱物が主役の標本が欲しかったんですよね。
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■specimen_No.001_L N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa
何だ綺麗な標本じゃないかとお思いの方、周囲の透明な結晶は全て方解石ですよ。
その所々に見える白いポワポワした毛玉のようなものが大江石なんです。
多くの標本で輸送時の梱包で結晶が折れて全体が潰れてしまい、
市場に出る頃には白い塊のようになっていることが多い本鉱物ですが、
この標本は結晶の隙間や晶洞内部に形成されたため結晶の形状が完璧に保たれています。
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■specimen_No.001_L N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa
本鉱物は基本的に白い微細な針状結晶で産出し、流通する多くの標本が白色結晶です。
もっと標本全体を覆っているような産状のものもあるのですが、
私があえてこの標本を購入しようと思ったのは、小さいながらもこの結晶が確認できたためでした。
そう、この結晶は破損が一切無い上に、真っ白ではなくほんのりと赤みを帯びているのです。
色合いと産地的にマンガンによる発色ではないかと思っています。
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■specimen_No.001_L N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa
そう言えば母岩が方解石なんだから蛍光するんじゃないかと思い短波紫外線を照射してみました。
予想通り方解石は赤く蛍光しましたが、透明度が高いため明度はいまいち。
しかし本鉱物部分が違う色に蛍光して見えたので光源を変えて今度は長波紫外線を照射。
すると肉眼的にも黄色く蛍光しているのが分かりました。
ただ真っ白な結晶は蛍光していないように見えるので、内包物に起因しているのかも知れません。
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■specimen_No.001_L N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa
左下は別の赤みを帯びた結晶群、右上に見えるのが上で掲載した結晶群ですね。
やっぱり本鉱物がメインとなる標本ではエスコート役の技量が問われます。
その点ではこの標本の共生鉱物である方解石は非常に良い仕事をしてくれています。
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■specimen_No.001_L N'Chwaning II Mine, Kalahari manganese fields, Northern Cape Province, South Africa
こちらは真っ白な本鉱物の結晶群。微細な針状結晶が放射状に成長しているのが分かります。
透明度の高い方解石に乗っているのがこの標本の魅力ですね。
あまりにも小さくてルーペやマクロレンズで覗かないと見えませんけど。
偏見かも知れませんが、日本新産で地名や人名プラス「石」と名付けられた鉱物は、
塊状だったり結晶が肉眼的ではなかったりして、観賞価値があまり高くないものが多い印象です。
そんな中でちゃんと結晶をアピールしてくれる本鉱物は非常にありがたい存在です。
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