■specimen_No.001_S Ambatovita, Mandrosonoro area, Fianarantsoa Province, Madagascar

Pezzottaite / ペツォッタ石・ペツォッタイト
□ Cs(Be2Li)Al2Si6O18

新鉱物として認められたのは2003年と比較的歴史の浅い鉱物です。非常に高価なことで有名ですね。 発見当時はレッドベリルなどと同じく緑柱石(ベリル)の一種と思われていたため「ラズベリル(Raspberyl)」と呼ばれていました。 しかしその後の解析でセシウムを含む全くの別鉱物であることが判明しました。 学名はこの鉱物を分析した研究者のフェデリコ・ペツォッタ(Federico Pezzotta)氏に由来しています。 氏のウェブサイトにもトップページ左下に本鉱物の写真がひっそりと掲載されています。

本鉱物が異常なまでに高価な理由、それは極端に産出量が少ないためで、 全世界の流通量が数十kgしか無いとも言われています。 まずペグマタイト中から手作業で採掘せねばならないため、時間と労力を必要とします。 さらに原産地のサカヴァラナ鉱山(Sakavalana Mine)では良質な結晶は掘り尽くされたとも言われています。 その後マダガスカルの別産地やアフガニスタンなどでも産出が確認されました。 しかし産出量が少ない状態は変わらず、原石、ルースともに入手は困難です。

ちなみにサカヴァラナ鉱山もアンバトビタに位置しているのですが、産地は別のようです。 2007年に新たに産出したものはこの産地名で出回っているようですね。 できればいつか原産地標本も手元に置きたいものです。


■specimen_No.001_S Ambatovita, Mandrosonoro area, Fianarantsoa Province, Madagascar

長石上に美しい結晶が2個、周囲にも微細な結晶が点々と存在しています。2022年にイベントで購入しました。 本鉱物は六角柱状結晶を形成するのですが、先端がスッパリ切れた石英のような形状になるのが特徴。 そのため先端方向から見ると六角板状結晶に見えます。 以前所有していた標本No.002はこの特徴的な結晶先端が見えないため、今回この標本の購入を決意しました。

個人的に「武装錬金の核鉄」と呼んでいます。


■specimen_No.001_S Ambatovita, Mandrosonoro area, Fianarantsoa Province, Madagascar

また本鉱物にはタンザナイトほどではないですが二色性が存在します。 真横から見るとこのように明確にピンク色なのですいが、先端方向から見るとオレンジ色が強くなります。 最初はデジカメの補正のせいかと思いましたが、肉眼で見ても色の変化を感じました。


■specimen_No.001_S Ambatovita, Mandrosonoro area, Fianarantsoa Province, Madagascar

これが見れただけでも購入した甲斐があったと言うものです。 非常に言葉で表現しづらい形状ですが、先端部は背の低い六角錐の先端部が切り取られた形状とでも言いましょうか。 似た外見の六角形の結晶と言うとスタルマナイトを思い浮かべますが、本鉱物は板状ではなく、成長しながら太くなります。

本鉱物はインクルージョンが多く、特に大型の結晶だと透明度が低い傾向が見られます。 そのためモース硬度8と宝石としての利用に十分耐えられる性質でありながら、カッティングに適した結晶はほんの一握り。 またその産出の少なさから工業的な利用はほとんどされていません。この標本は小さいながらも透明度は十分です。





■specimen_No.002_M Ambatovita, Mandrosonoro area, Fianarantsoa Province, Madagascar

最初に入手した標本です。購入したのは標本No.001と同じ場所で開催されたイベントでした。 と言っても2010年開催だったので干支が1周した12年振りの購入でしたが。 ちなみにこの標本は比較的大型でありながら数千円で入手できた掘り出し物です。


■specimen_No.002_M Ambatovita, Mandrosonoro area, Fianarantsoa Province, Madagascar

本鉱物のこの独特なラズベリー色はマンガンイオンの影響によるもの。 透明度も非常に高く、カットすれば小さいですがルースくらいは作れそうです。

長石を母岩として比較的大きな結晶が複数見られます。 購入当時は母岩は石英だと思っていましたが、結晶の形状から長石のようですね。 良く見るとムーンストーンのようなシラー効果が見られるので間違い無いでしょう。


■specimen_No.002_M Ambatovita, Mandrosonoro area, Fianarantsoa Province, Madagascar

結晶は三方晶系で緑柱石と間違われただけあって六角柱状になります。 綺麗な六角柱にはならず、このように徐々に太くなるように成長します。 この結晶の場合、結晶の形成が始まったのが上側で、下に向かって成長したことになります。 特徴的な先端部分が母岩に埋もれて見えていないのがちょっと残念。 手前を削れば見えそうではあるんですが、ちょっと怖くてできませんね。




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