■specimen_No.001_L Majuba Hill Mine, Antelope District, Pershing Co., Nevada, U.S.A.

Pharmacosiderite / 毒鉄鉱
□ KFe3+4(AsO4)3(OH)4・6-7H2O

我が国でも大分県や岐阜県などで美しい標本が産出することで知られる等軸晶系の砒酸塩鉱物です。 その色合いと形状、大きさがかなり個性的であり、個人的にお気に入り鉱物の一つです。 和名に「毒」の文字を含んでいるので何とも物々しい響きですが、これは化学式に砒素を含んでいるためです。 ただし実際には本鉱物は水に溶けにくいため、高い毒性を発揮することはありません。

Asを含む鉱物共通の注意点ですが、当然母岩にも砒素が含まれているため保管の際は一定の注意はすべきだと思われます。 母岩や結晶の風化によって砒素が生活圏内にばらまかれると長期的に体内に取り込むこととなり危険です。 神経質になる必要はありませんが、頭の片隅に置いておくと良いかも知れません。


■specimen_No.001_L Majuba Hill Mine, Antelope District, Pershing Co., Nevada, U.S.A.

正解はこの煌めくラメのような粒でした。毒鉄鉱はいわゆる「マイクロ鉱物」と呼ばれるタイプの鉱物です。 大型の結晶を作らず微細な結晶を無数に生じるため、鑑賞にはルーペなどの拡大のための光学機器が必須となります。


■specimen_No.001_L Majuba Hill Mine, Antelope District, Pershing Co., Nevada, U.S.A.

マクロレンズで撮影すると本鉱物の結晶が見えて来ました。 結晶は六面体で透明感のある美しい緑色。砒酸塩鉱物としては珍しく等軸晶系です。 この緑色は二価の鉄イオンによるもので、この穏やかな色合いが本鉱物の最大の魅力でしょう。


■specimen_No.001_L Majuba Hill Mine, Antelope District, Pershing Co., Nevada, U.S.A.

高倍率マクロを用いてほぼ最大倍率で撮影して何とか綺麗に写すことができました。 参考までに書いておきますと、中央の六面体結晶の一辺が約0.3mmです。繰り返します。0.3mmです。周囲の結晶はさらに小さいです。 こうしてサイトに掲載しているので何とか見れるものになっていますが、実際にはただのラメです。

そんなの所持していても意味無いと思われそうですが、ルーペを片手に美しい結晶を探すのも楽しいものです。





■specimen_No.002_M Majuba Hill Mine, Antelope District, Pershing Co., Nevada, U.S.A.

雰囲気は違いますが、これでも標本No.001と同じ産地の標本です。 確かに微細結晶も乙なものですが、ある程度肉眼でも分かる標本も欲しいと思い購入しました。


■specimen_No.002_M Majuba Hill Mine, Antelope District, Pershing Co., Nevada, U.S.A.

母岩に開いた空洞内部に美しい結晶が密生し晶洞を形成しています。 本鉱物は硫砒鉄鉱などの砒化鉱物の酸化によって生じる二次鉱物です。 もしかすると晶洞の周囲に見られる金属光沢は派生元として代表的な硫砒鉄鉱かも知れませんね。


■specimen_No.002_M Majuba Hill Mine, Antelope District, Pershing Co., Nevada, U.S.A.

晶洞内部をマクロ撮影してみると、数ある結晶の中にひときわ大きなものを発見しました。 それでも結晶の一辺が1mmしかありませんが、本鉱物としては間違い無く大型の結晶です。 ただ、残念ながら結晶が大型になるほど結晶面が乱れたり、内包物も増えたりするので結晶単体の綺麗さは落ちてしまうようです。 悩ましいですね。




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