■specimen_No.001_M Black Pine Mine, Flint Creek Valley, Granite County, Montana, U.S.A.

Philipsburgite / フィリップスバーグ石
□ Cu5Zn(AsO4)(PO4)(OH)6・H2O

一般に「レアミネラル」と称される、世界的にも発生量が少ない鉱物であり、産地はかなり限られています。 反面、国内でも産出例が存在しており、珍しいのかそうでもないのか良く分かりません。 銅を多く含む砒酸塩鉱物とされていましたが、燐酸塩鉱物と水酸化鉱物としての性質も持っており、 現在はそのバランスを示す化学式となっています。モンタナ州のブラックパイン鉱山(Black Pine Mine)は本鉱物の原産地であり、 この標本はタイプ産地標本となります。「原産地標本」と言う言葉の響きは鉱物収集家には耐え難い魅力ですからね。

結晶は単斜晶系で比重は4.07と意外と重いです。美しい鉱物ではあるのですが、 大型結晶にはならない上にモース硬度も3~4と低いので宝石としての価値はありません。 ちなみに学名の由来は原産地であるブラックパイン鉱山の付近の街、フィリップスバーグ(Philipsburg)に因みます。 GoogleMapで検索してみると、本当にすぐ近くに街があるのが確認できます。


■specimen_No.001_M Black Pine Mine, Flint Creek Valley, Granite County, Montana, U.S.A.

銅を豊富に含むため、青みがかった緑色をしています。 単斜晶系の肉眼的な結晶を形成することもありますが、多くはこのような球形で産出します。 これは微細な結晶が放射状に成長したことで生まれる形状ですね。 結晶面が見られる透明度の高い結晶もいつかは手元に置いてみたいものです。 元々珍しい鉱物なので、美麗な結晶となると入手難易度は相当高いでしょうけど。

ちなみに周辺に点々と見える青い部分は同じ銅の鉱物である青鉛鉱と思われます。 藍鉄鉱にしては青色が鮮やかで明るいですからね。


■specimen_No.001_M Black Pine Mine, Flint Creek Valley, Granite County, Montana, U.S.A.

孔雀石に似ていますが、球体1つ1つが細かく、また青みが強いので実際にはかなり印象が異なります。 複数回に分けて成長したようで、内部に剥離しやすい層が存在しているようです。 表面は光沢を失っていますが、表層が剥がれた場所からは光沢を維持した内部構造が確認できます。


■specimen_No.001_M Black Pine Mine, Flint Creek Valley, Granite County, Montana, U.S.A.

標本上部に大幅に表層が剥離した部分が存在しており、その場所は明らかに質感が異なります。 表層の1枚下は高い透明度を維持しており、まるでゼリーか何かのように見えます。 当然ですが石なので硬いですけどね。あと安定はしていますが一応ヒ素を含むので取り扱いは注意です。




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